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大自在(6月11日)利水と治水

 詳細な字解は省くことにして、「災」の上部は水の流れに関係するという。大昔から人間は洪水や火事などの災害を身近なこととして捉えていたことがうかがえる。梅雨入りしたばかりというのに、県内外で大雨被害が出ている。
 水害が起きぬよう、被害を大きくしないよう、人々は川と向き合ってきた。「人がつくった川荒川」(長谷川敦著)は関東平野を流れ東京湾に注ぐ荒川の利水や治水の歴史を解説し「荒川があったから、東京も埼玉も発展した」と説く。
 江戸に幕府が開かれると、新田開発や物流活性化のため、荒川の流れを江戸寄りに変える大工事が行われた。江戸が東京になると、近代化の副作用のような大水害に見舞われ、大規模な放水路が掘られた。その放水路が今では荒川と呼ばれ、元の荒川下流は隅田川の名で知られる。
 徳川家康は大御所政治を行った駿府の町を洪水から守るため「薩摩土手」を造らせて安倍川の流れを西に移した。現在、安倍川の東に安西という地名があるのはナゼと郷土史クイズも。今は合流する安倍川と藁科川は500~600年前、別々に駿河湾に流れ出ていた。
 身近な河川が、昔からそこを流れているのか、農業用水のように後で造られたものか関心をもつことは有意義だと思う。水害の歴史についても知っておいたほうがいい。
 「人がつくった川」は読書感想文の課題図書(中学校の部)。川と町、人が織りなす歴史の見方を教えてくれる。この本や洪水ハザードマップ(被害想定図)が防災学習や感想文の宿題に役立つかもしれない。

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