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戦国期の高天神城、マイクラで再現 徳川・武田の攻防体験も 掛川市と常葉大、9月公開

 戦国期に徳川氏と武田氏が激しい攻防を繰り広げた掛川市の高天神城を人気ゲーム「マインクラフト」で復元する試みが進んでいる。常葉大造形学部有志が市の依頼に応じて、「高天神を制する者は遠江を制する」とうたわれた難攻不落の堅城を仮想空間で再現する。9月に公開して歴史ファンの掘り起こしを狙う。

構造物の位置などについて意見を交わす学生ら=7月中旬、静岡市葵区の常葉大静岡瀬名キャンパス
構造物の位置などについて意見を交わす学生ら=7月中旬、静岡市葵区の常葉大静岡瀬名キャンパス


 マインクラフトは、さまざまな素材のブロックを使って構造物を組み立てるゲームソフト。完成すれば、ユーザーが往時の城郭に手を加えて要塞(ようさい)化を進めたり、徳川方と武田方に分かれて攻城・籠城戦を楽しんだりできる。
 制作には、現実空間をレーザー照射などで測量して位置情報を集めた県の3次元点群データを活用する。静岡市葵区の同大静岡瀬名キャンパスで7月中旬に行われた初回の打ち合わせでは、学生らが点群データを基にしたゲーム内の地形を確認し、横堀や曲輪(くるわ)、本丸などの位置を探った。「堀をもっと急傾斜にした方が城郭の威圧感が増す」「通路を砂の色にすれば見栄えが良い」などと意見を交わし、イメージを練った。
 指導に当たるのは、プロマインクラフターとして知られるタツナミシュウイチさん(46)。「デジタルの利点を生かして、本物を超える世界をつくることも可能だ。点群データを使った地形にリアリティーがあり、間違いなく良い作品ができる」と断言する。3年生の佐藤葵さん(21)=静岡市駿河区=は「歴史の詳しさに関係なく、誰もが楽しく冒険できるワールドにしたい」と制作に励んだ。
 高天神城は徳川家康が1581年に奪還した後に廃城になった。廃城から440年以上の間に木が生い茂り、遺構や地形の風化が進んでいる。市観光交流課の担当者は「ゲームで関心を持った人が実際に足を運んでくれるかもしれない。現実と仮想空間の両方で発信していく」と話す。
 市は3月下旬、高天神城の特設ウェブサイトを制作し、当時の構造を再現したコンピューターグラフィックスを公開している。拡張現実(AR)と仮想現実(VR)の技術を利用した現地散策のアプリもリリースした。
 (掛川支局・高林和徳)

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