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どうするアフター大河 駿府の歴史に観光客注目 再訪者獲得へ方策重要【解説・主張しずおか】

 静岡市歴史博物館(同市葵区)のオープンと大河ドラマ「どうする家康」の相乗効果で、駿府城公園(同)や静岡浅間神社(同)など、同市の歴史や文化を体感できる場所を訪れる観光客が増えている。ドラマが前半戦の今のうちに放送終了後を見据え、リピーター確保の方策を講じる必要がある。

東京から来た観光客を案内する駿府ウエイブのボランティアガイド=24日、静岡市葵区の駿府城公園
東京から来た観光客を案内する駿府ウエイブのボランティアガイド=24日、静岡市葵区の駿府城公園

 市歴史文化課によると、今年1月以降の駿府城公園内の発掘現場や東御門・巽櫓などの来場者数は、新型コロナウイルス感染拡大前の例年同期と比べて約2倍。市外からは約1・5倍で推移している。隣接する市歴史博物館は、昨年7月のプレオープンから2月末までに約12万6千人が来館した。市外からが4割以上を占め、静岡浅間神社の敷地内に1月27日に開館した大河ドラマ館は来館者が5万人を突破した。
 観光ボランティアガイド「NPO法人駿府ウエイブ」の内山和俊理事長(73)は「最近、中心街で駐車場に並ぶ県外ナンバーの車をよく見かける」と話す。要因として駿府城公園は近くに専用駐車場がなく、市歴史博物館には障害者専用以外の駐車場がないことを挙げる。両施設に近い市民文化会館に地下駐車場があるが、催事が重なると混雑するため、効率良く市内を周遊したい観光客にとっては使い勝手が悪い。
 駐車場探しで町歩きの時間が減るのは商店街にとっても痛手だ。観光客が心ゆくまで旅を楽しめるように「休日だけでも県庁駐車場を観光客に開放してほしい」との声を聞く。時間に余裕ができれば住民と観光客に交流が生まれ、リピーター獲得につながるだろう。
 駿府城公園周辺から中心街に人を回遊させる仕掛けも必要だ。中心市街地活性化を推進する官民協働の団体「I Love しずおか協議会」は、江戸時代に幕府が法令を掲げた高札場[こうさつば]を七間町通りに復元した。沼田千晴会長(55)は「家康が築いた駿府を体感できる。駿府九十六ケ町や碁盤の目の町割りに触れる街歩きの出発点になれば」と期待する。
 家康が諸外国を相手に外交手腕を発揮した舞台が駿府だった史実も市のブランド価値を高める。ターゲットに確実に届く情報発信を加速させ、国内外の歴史ファン誘客に生かすべきだ。
 観光と交流の拠点として期待される市歴史博物館の中村羊一郎館長(80)は「長期的な視点に立てば若者や子どもたちが静岡の歴史文化を誇りに思うことが肝要」とし、市民も通いたくなる博物館を理想として掲げる。アフター大河を見据えた観光振興のシナリオをどう描くのか。民間事業者や市民団体との連携が欠かせない。

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