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“家康治政”背景解説 徳川みらい学会 作家・安部龍太郎さん講演

 徳川時代の歴史的意義を研究・発信する徳川みらい学会は18日、本年度第3回講演会を静岡市葵区の市民文化会館で開いた。本紙朝刊小説「家康」を執筆した直木賞作家の安部龍太郎さんが「徳川家康の生き方」と題して講演した。

徳川家康の治政について解説する安部さん=静岡市葵区の市民文化会館
徳川家康の治政について解説する安部さん=静岡市葵区の市民文化会館

 安部さんは戦国時代の最大の特徴を「日本が初めてヨーロッパ諸国に出合い、国内の産業構造が大展開したこと」と指摘し、「ポルトガルやスペインが世界を席巻した大航海時代、鉄砲とキリスト教と南蛮貿易が一体だった。その背景から織田信長、豊臣秀吉、家康が目指した治政を捉え直すことが大切」との考えを示した。
 戦国時代は幕末と同じく植民地化の危機状態であったとし、信長や秀吉の失政の理由、家康が関東地域の復興に成功した実績などを解説。その上で「家康が本陣旗に掲げた『厭離穢土欣求浄土(おんりえどごんぐじょうど)』は単に宗教的理由だけではなく、この世を浄土に変えるという決意の表れ」と強調した。
 安部さんは「重商主義中央集権ではなく、農本主義地方分権を確立し、人間の欲と執着を排除するための幕藩体制と武士道が、その後の260年の平和をもたらした」と締めくくった。
 (教育文化部・岡本妙)

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