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「飛ばないバット」接戦増える? 来春移行 変わる高校野球【しずスポ】

 “飛ばないバット”で高校野球はどう変わるのか-。来春の選抜大会、各都道府県の春季大会から使用する金属製バットに新基準が適用される。木製と同程度に反発性能が抑えられた新バット。静岡県内でも秋の公式戦を終えたチームは新バットを購入し、準備を始めた。12日まで開催された静岡市大会では参加した全17校が新バットでプレー。「戦術が、野球が変わる」などと反響を呼んでいる。 photo03 新基準のバットを使用して行われた静岡市大会=清水庵原球場
監督「内野守備と機動力が鍵」 選手「芯で捉え強振」 photo03 静岡市大会で試行 外野守備が前寄りに
 同大会に出場した静岡市立高の安井信太郎監督(59)は「芯で捉えれば打球は飛ぶが多くは外野で失速する。長打がなくなり外野は前に守るので、二塁に走者を置いてヒット1本でかえって来られない」と印象を語る。選手の反応はどうか。同大会で優勝した静岡高の主砲和田琉汰内野手も、新バットには苦戦中という。「当てにいって芯でも外野をオーバーしない。強く振らないと飛ばない。詰まったら内野フライ」
 接戦が増えるとして静岡高の池田新之介監督(46)は「1点を取りにいく練習が必要」と走塁、犠打など機動力を重視する。「本来の野球に戻る」と話す駿河総合高の望月俊治監督(58)は「内野の間を強く抜けるヒットが少なくなった。ぼてぼての打球が来るので内野手の判断力、脚力が大事になる」と守備での変化についても指摘する。同校の柳原武侍遊撃手は「打球が弱いので、今までレフトに任せていた当たりもぎりぎりまで追うようにしている」という。
 本塁打が激減し「野球が面白くなくなる」との声もある。ただ、新バット導入の主な狙いは投手の負傷、障害予防。極端な打高投低が懸念されてきた高校野球で、新基準が投手優位に働くなら狙い通りだ。「一発長打の怖さがないので投手は思い切って攻められるだろう」と安井監督。ストライク先行の投球で球数が減り、試合時間の短縮にもつながるとの期待もある。
 (結城啓子) photo03 新バット(右)と旧バット(左)を比べる駿河総合高の柳原武侍主将=駿河総合高
専門家「打高投低の流れに歯止め」  県高野連でメディカルサポートに携わる理学療法士の甲賀英敏さん(44)=掛川市=は新バットへの完全移行で「打高投低の流れに歯止めがかかる」とし、投手の負担軽減などにつながると見る。また、学童野球チーム・グッドフェローズの代表でもある甲賀さんは、新バットに対応できる「正しい打撃」を身に付けるためにも学童、中学の段階で、高校の新バットを念頭に置いた指導、育成を検討する必要があると考える。 photo03 甲賀さんが示すポイント

 <メモ> 日本高野連が定めた金属製バットの新基準は従来品と比較して最大径を67ミリから64ミリと細くし、打球部の肉厚を約3ミリから約4ミリ以上に厚くした。重量(900グラム以上)は従来通り。反発性能を抑制し、打球初速が遅くなった。バットの基準改正は過去にもあり、2001年にも打球が飛び過ぎるとの批判から、重量900グラム以上などと定めた新バットが導入されたが選手の大型化、肉体強化により、効果はすぐに薄れてしまった。

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