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ひらく【開く】 山崎皓司/価値あるもの自らつくる【SPAC俳優 言葉をひらいて㉗】

 僕のテーマです。

ひらく【開く】
ひらく【開く】

 「私有地を開いて共有地(コモン)をつくる」という試みです。僕は今、耕作放棄地を借りて食べ物を作っています。売っていません。あげています。
 お金を稼ぐ仕事だけではなく、使用価値のあるものを自らつくり出す仕事(趣味じゃなく断固として仕事!)もすると、将来への不安が減るし楽しいし、“自産自消”が世界平和につながると伝えるためのモデルファームです。この世界を楽園にしたいので、名前は「山崎パラダイス」。
 ただやっぱり欲がでて、私有したくなります。それでも「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」(宮沢賢治)から、自分にむち打って開く。
 今僕は子供が欲しいです。以前はこんな世界に子供を残していいんだろうかと思っていました。まぁ取り越し苦労で、次世代は勝手にうまいことやるとも思ってます。
 以前東京で“勝ち組”の友人と飲んだ際、友人は「東京で子供を育てるには億あっても足りないわ」と言っていました。一方、タイに住む友人には「タイは家族で助け合うからそこまでお金に頓着ないよ」と。「じゃあ僕はお金ではなく人に頼ろう」と思って地元に帰ってきました。
 ちょうど仕事とお金の関係が気になりだしていました。スーパーで100グラム100円の肉を見て、僕の体重は66キロだから肉としての価値は6万6千円? これは命というものを加味してない価格じゃないか? じゃあ野で幸せに暮らしている動物の命を食べるにはどのくらい働けばいい?―と思い、始めたわな猟。今年は1週間でイノシシが4頭捕れ、毎日妻と食べています。一銭にもなっていないけど、1年間フェアに肉を食べるための仕事。自産自消なら物価が上がっても仕事とその対価は変わりません。子供たちに技術を伝えれば肉が食べられて、畑の被害も減る。「平等に米を口にすると書いて平和」。みんなでおなかいっぱい食べれたらいいですね。

 やまざき・こうじ 掛川市出身。劇団「FAIFAI」所属。俳優業の一環として農業、狩猟、養蜂などに取り組む。生活を記録したドキュメンタリー「Koji Return」を動画配信サイトで公開中。

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