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観光農園の可能性追求 キウイフルーツカントリージャパン(掛川市)/平野耕志代表【キーパーソン・最前線】

 循環型農業の実践に軸足を置き、キャンプ場整備や修学旅行の受け入れなど事業の多角化を進める。1月には中南米11カ国の省庁職員らが視察に訪れ、自然循環の仕組みに強い関心を示した。持続可能な開発目標(SDGs)実現に向けた機運の高まりを追い風に、観光農園の可能性を追求している。

平野耕志代表
平野耕志代表

 ―観光農園を取り巻く環境をどう見るか。
 「全国的に経営体は減っている現状。自園への来園者は新型コロナウイルス禍で半数程度まで落ち込んだが、今は持ち直している。売り上げ自体はコロナ前より上がった。新事業として始めたカフェやキャンプ場の寄与もある。新しい取り組みを生み出し続けて発信していく姿勢が大事だ」
 ―強みは。
 「多品種のキウイを最高においしい状態で食べ比べできる。自然農法で育てた果実のストーリーを説明できることも特徴だ。敷地内の湧水をためて魚を飼い、養分を含んだ水を太陽光エネルギーで揚げて水やりする。剪定(せんてい)した枝を燃料にしたバーベキューの煙は病害虫を防ぎ、灰は肥料として使う。循環型農業で育てるだけでなく、ビジネスに落とし込んで採算性を確保している」
 ―今後の目標は。
 「技術提供を通して循環型農業の仕組みを普及させたい。猛暑の影響でここ数年、500キロ以上のキウイの実が収穫前に落ちた。農家は気候変動の影響が収益に直結するため、危機感は強い。やりがいが伴わないとSDGsの実践は難しく、おいしさや楽しさの観点から世界中に広げていきたい」
 (掛川支局・高林和徳)

 ひらの・こうし 米国留学後、青年海外協力隊で2012~14年、ザンビアで農業指導に従事。15年のネパール大地震後は現地で復興支援に尽力した。19年12月から現職。37歳。

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