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有機農業拡大へ後押し 静岡県、JA中央会が研究会 事例や技術紹介 情報共有の場に

 静岡県やJA静岡中央会などは本年度から、県内での有機農業の規模拡大に向け、技術指導に本腰を入れ始めた。農家らが先進事例の紹介や指導者養成を受けられる研究会を新たに発足。環境負荷を減らす農業の普及、担い手の拡充を目指す。

農家らが除草作業を一切行わない水稲栽培法について学んだ研究会=17日、藤枝市
農家らが除草作業を一切行わない水稲栽培法について学んだ研究会=17日、藤枝市


 取り組みの背景には、国が有機農業や化学肥料の使用量削減のビジョンを定めた「みどりの食料システム戦略」がある。同戦略は2021年時点で2万6600ヘクタールの有機耕作面積を30年に6万3千ヘクタール、50年には耕地面積全体の25%に相当する100万ヘクタールとする数値目標を掲げた。
 本県の有機栽培は主に茶や水稲で行われているが、栽培面積全体の約1%(578ヘクタール)にとどまる。県食と農の振興課酒井信尚課長は「手間がかかるというイメージと技術的な課題、消費者への浸透不足が相まって転換が進みにくい」と分析する。
 こうした課題への対応策として、県とJA静岡中央会が中心となり、みどりの食料システム戦略推進研究会を立ち上げた。初会合を昨年11月に開催し、関係者約100人が参加。国や自治体職員らが先進事例を紹介し、持続可能な食料システム構築のための戦略と課題を共有した。
 今月17日に藤枝市で開いた第2回会合には米農家ら80人が参加。約30年前から有機栽培の研究・実践を行うNPO法人民間稲作研究所(栃木県)の舘野広幸理事長を講師に、除草作業を一切行わない水稲栽培法について学んだ。舘野理事長は「自然生態系の維持が有機農業の本質。日本の古い農法にはそれがあり、技術を受け継いで未来につなげていくことが重要」と強調。土壌作りや育苗、水加減のポイントを指南した。
 掛川市で2年前から有機水稲栽培に取り組む松浦直矢さん(30)は「試行錯誤しながらやっているので、先進事例が学べ、他の農家とも情報共有できる研究会の場はありがたい」と話す。
 (経済部・垣内健吾)

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