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希少山野草「クマガイソウ」菌で元気に 掛川の自生地で生育促進の試み

 希少な山野草クマガイソウの自生地を一般公開している掛川市倉真地区で、植物の根に共生して養分の吸収を助ける菌根菌に着眼した生育促進の試みが始まった。地元保存会と日本菌根菌財団が連携して、自生地の土壌環境の改善を図る。保存会は「来年か再来年には株数を倍増させたい」と意気込んでいる。

クマガイソウ自生地で土壌環境改善の作業に当たる保存会メンバーら=掛川市倉真
クマガイソウ自生地で土壌環境改善の作業に当たる保存会メンバーら=掛川市倉真

 保存会と財団のメンバーら11人が16日、見ごろを迎えた自生地に菌根菌をまいた。土壌の腐植を増やすため、枯れたスギの枝葉も敷いた。一部の群生ではあえて手を加えず、来季に生育状況を比較する。財団の石井孝昭理事長は「菌の多様性を高めて、クマガイソウとの共生関係を強めていく」と話した。
 自生地は、新東名高速道路掛川パーキングエリア南側の「おいの久保池」近くの斜面。保存会は、自然の中で珍しい花を観賞したいと熱望する山野草ファンの思いをくんで2023年から、一般公開している。佐藤典雄代表によると、今季は25日ごろまで楽しめそう。盗掘被害はなく、前年からの自然増で株数が3割増えたという。
 クマガイソウはラン科の多年草。紫色の模様が入った袋状の花が源平合戦で熊谷直実が背負った母衣(ほろ)に似ていることから名付けられた。環境省レッドリストで絶滅危惧2類(絶滅の危険が増大している種)に指定されている。
 (掛川支局・高林和徳)

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