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掛川南部にサッカークラブ 地域ぐるみの支援必要【記者コラム風紋】

 掛川市教委などは4月、地域の中学校にサッカー部が設置されていなかった市南部の大東・大須賀地区にサッカークラブを創設する。少子化の進展で生徒の文化・スポーツ活動の選択肢が先細る中、あえて空白地帯への新設に踏み切った背景には、地元の子どもたちからの強い要望があった。スポーツ機会の地域間格差解消の動きを歓迎したい。
 クラブ新設は、市が掲げる部活動改革の一環。1年前の市総合教育会議で佐藤嘉晃教育長が「最終的に学校と切り離す」と明言し、2026年度までに中学の部活動を全廃して地域クラブに移行させる方針を示した。備品の引き継ぎや調達、保護者の送迎負担など課題は多いが、すでに市内では市教委公認のクラブが20以上設立され、先行的に活動を始めている。
 発足するサッカークラブも部活動移行の受け皿の一つに加わる。サッカーは、市教委が実施した小学生ニーズ調査で、取り組みたい種目の1番人気だった。市内の中学校9校のうち過半の5校にサッカー部は存在しない。クラブチームの選抜に漏れた子どもは、中学進学と同時にサッカーから離れてしまう現実があり、競技を続けられる場が生まれた意義は大きい。1日2時間、週3回と設定した練習量は、保護者や指導者の負担を勘案すれば妥当だろう。
 安定したクラブ運営のためには、何よりも人数の確保が重要になる。市教委によると、少人数だった場合、全ての部活動が地域クラブに移行する26年度以降は市北部に創設予定のクラブと統合する可能性がある。小学生を対象にした体験会などを積極的に展開して、地域に根付かせる取り組みが必要だ。
 長期的には、資金面の懸念がのしかかる。4月発足のクラブは年会費3千円、月会費8千円。市の部活動改革は、指導者のボランティア精神に依存した従来の仕組みから脱却し、適正な報酬を支払って持続可能な運営を目指すことを重視している。一方で、保護者負担の引き上げは限界があり、地域を挙げた支援の広がりが不可欠になる。地区の事業所や商店からスポンサーを募って備品にロゴを入れるなど、多様な財源確保策を検討してほしい。
 (掛川支局・高林和徳)

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