主張・解説の記事一覧
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大道芸W杯継続へ 組織のあり方見直しを【記者コラム 黒潮】
静岡市中心街で4日間にわたり開催された「大道芸ワールドカップ(W杯)in静岡」は、4年ぶりに新型コロナウイルス感染対策の制限なく行われ、約118万人が来場する盛況ぶりだった。一方、運営費は市の補助金と企業の協賛金に頼らざるを得ず、財政面での自立への道は遠い。30年以上かけて育んできた市の大道芸文化の継承や地域活性化のために今後も続いてほしい行事だが、大会を運営するボランティアも減少傾向にある。運営主体や実行委員会組織のあり方を見直し、継続に向けた改革を進めてほしい。 大道芸W杯は1992年に市の音頭で始まり、2007年に事務局が市から独立した。新型コロナの影響で21、22年は中止したが、今
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認知症高齢者の徘徊対策 見守りシステム登録を【西部 記者コラム 風紋】
性別や年齢、服装、背丈など、身体の特徴とともに袋井警察署が行方不明者の捜索の協力を呼びかける同報無線を度々耳にする。行方不明事案のほとんどは認知症が原因で徘徊(はいかい)する高齢者。最悪の場合、徘徊中に事故などによって死亡してしまうケースもある。 同署生活安全課によると、ことし1月~10月末までに同署が認知症と思われる65歳以上の高齢者を保護した件数は58件(暫定値)に上る。昨年も同時期で62件の保護があり、およそ5日に1回は高齢者が保護されたことになる。袋井市健康長寿課によると、同市内では昨年10月からの1年間で、捜索願の出た高齢者が亡くなった状態で見つかった事案が2件あり、うち1件は認
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戦後78年 戦争体験伝承 残された時間多くない【東部 記者コラム 湧水】
「被爆者の方たちはどんどん亡くなっています。今を生きる世代が、どのように継承していくべきか。残された時間は多くありません」-。今夏、戦争関連の取材で滞在した広島市で、原爆投下前の白黒写真のカラー化を通じて記憶の継承活動に取り組む東京大4年の庭田杏珠さん(21)が言葉を紡いだ。 被爆者の平均年齢は85歳を超えた。当地「ヒロシマ」ですら戦争、被爆体験の伝承が課題になっている。ならば、本県においても戦争体験の伝承が曲がり角に差しかかっているのは言うまでもない。 広島市では、自身の体験を語る「被爆体験証言者」に加え、証言者から研修を受けて講話する「被爆体験伝承者」養成制度を設けている。こうした取
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事業承継 鍵は支援者増 地域企業や店に関心を【記者コラム 黒潮】
地域で長年愛されてきた店舗や中小企業の事業承継相談の窓口役を担う「県事業承継・引継ぎ支援センター」。昨年から9月を「事業承継推進月間」と定め、重要性をPRする施策に取り組んだ。実施2年目の今年は「承継を円滑に進める鍵は支援者を増やすこと」をテーマに掲げ、事例を紹介するセミナーに加え積極的な広報を行った。ステークホルダー(利害関係者)である金融機関や保険会社、士業など多業種を巻き込んだ試みは、着実に支援者の意識を高めている。 推進月間の導入は沖縄県に続き全国2例目。2020年に後継者不在率が全国ワーストの81・2%を記録した沖縄県は、地元金融機関のトップ対談やセミナー、お笑い芸人のステージで
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「姫様道中」行列に専念 若い世代と共に再興を【西部 記者コラム 風紋】
浜松市北区細江町の春の風物詩「姫様道中」の実行委員会は、2024年3月に行われる次回行事について、運営方法を再検討する「テスト開催」に位置付け、道中行列に専念して開催することを決めた。事務局の人員不足などで存続が危ぶまれていたが、運営組織を改編して継続にこぎ着けた。若い世代も巻き込んで地域一体で楽しむ原点に立ち返り、再興のきっかけをつかんでほしい。 江戸時代に東海道の脇街道「姫街道」を通行した公家や大名の娘の豪華絢爛(けんらん)な行列を再現した時代絵巻。地域ごとに開かれていた祭りをまとめ「町民皆が楽しめる祭りを作ろう」と、旧気賀町の自治会長や商工組合の青年団員らの発案で1952年に始まった
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伊豆半島の地震対策 観光客の存在も念頭に【東部 記者コラム 湧水】
予想される南海トラフ地震を見据え、地域ぐるみの“共助”が根底に流れる「地域防災」という単語は社会に定着したように思う。しかし“共助”を構成するのは、地域住民に限らない。一時的に滞在している観光客も被災者となることを忘れてはならない。コロナ禍を越えて、旅行需要が本格的に復活してきた今、改めて考えたい。 川勝平太知事と伊豆半島5市5町の首長が地域課題を話し合う伊豆半島地域サミットが10月中旬に開かれた。意見交換のテーマの一つは地震対策。伊豆半島が「陸の孤島」になりかねないことに改めて危機感を示す首長もいた。「(有事に南北の動線を確保する)伊豆縦貫