2023年1月29日(日)

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主張・解説の記事一覧

  • 多文化共生促進へ 静岡県、川根本町で実験 人材確保の一助に期待【解説・主張しずおか】

     静岡県は本年度から多文化共生の地域づくりに向け、川根本町で実証実験に取り組んでいる。同町の企業が参加し、外国人と日本人の町民が交流するイベントを昨年10~12月に開催した。まずは町内で働く外国人の声に耳を傾け、住みやすい環境のニーズを探る。国内外の外国人から、第二の故郷として選ばれるような地域を県全体で目指したい考えだ。  県が事業の委託先を募り、同町で経営コンサル事業などを担う「KAWANEホールディングス」が名乗りを上げた。同社の迫洋一郎代表取締役は「国籍にとらわれず、主体的に交流が生まれる関係が必要だ」と考え、さまざまな交流イベントを展開した。  町の人口は約6100人。近年は外資系企

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  • 掛川市職員の不祥事続発 知恵出し合い防止策を【風紋】

     掛川市では2022年、市職員の不祥事が相次いだ。乗用車を運転して制限速度を58キロ超過したとして、1月に職員が道交法違反容疑で逮捕された。以降も信頼を損ねる事態が続き、11月までに盗撮とストーカー行為で職員2人が摘発された。自治体の印象に及ぼす悪影響は大きく、根絶に向けた市の本気度が試されている。  いずれの事案も個人の倫理観の欠如が主因だが、市のガバナンス(組織統治)は再考の余地がある。浜松区検が11月、当時の男性主事をストーカー規制法違反罪で浜松簡裁に略式起訴した事案では、市は略式命令が出た当日まで職員が捜査対象になっていることを覚知していなかった。当事者からメールで連絡が入り、状況を把

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  • リニア大井川水問題 JRの十分な説明なく 田代ダム案、議論加速を【解説・主張しずおか】

     リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川減水対策として、JR東海が2022年4月に提案した田代ダム取水抑制案は議論が進展しないまま越年した。静岡県有識者会議の専門部会のこれまでの議論で、冬場の渇水期にも実行可能な案であるのかなどJR東海から十分な説明はなかった。リニア工事と水資源保護が両立できるのかを左右する核心のテーマであり、関係者は成案を得るための議論を加速させるべきだ。  JR東海は昨年12月の専門部会で、県外流出量が最も多い予測(毎秒0・68トン)でも、冬の渇水期に流出量と同量の取水を抑制でき、案は成立すると説明した。しかし、JRの試算は、ダムを管理する東京電力側が発電施設維持のため

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  • ロシアのウクライナ侵攻 避難者の素顔に触れて【記者コラム黒潮】

     ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、県内に避難してきた女性を昨年取材した。戦闘が長期化するほど、避難者との接触は難しくなっていると感じる。本人や支援者とのやりとりで感じたことを紹介したい。  避難者の交流会で出会った20代女性は日本語が堪能だった。来日前から相当勉強してきたのだろう。インタビューを打診すると「最初はNGにしていたけれど、そろそろ答えてもいいかなと思っている」と話した。  厳しい言葉で懸念を示したのは、身元引受人の日本人男性だった。「母国に対して『自分だけが』という心労は計り知れない。今起きている国難について、根掘り葉掘り聞かれる気持ちを考えて」との訴えだった。「遠い国なの

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  • 高齢者のごみ出し支援 富士宮の協議体が市に提言 地域社会再構築へ一歩【解説・主張しずおか】

     高齢者のごみ出し支援をテーマに議論を重ねてきた富士宮市地域支え合いプロジェクト第一層協議体が自助や互助、共助、公助の在り方を整理し提言書にまとめた。2015年の改正介護保険法施行を受けた取り組みの一環。地域での助け合いだけでは限界がある中、公的支援に依存しない地域社会の再構築に向けた新たな一歩となることを期待したい。  国は15年施行の改正法で介護予防や生活支援サービスの一部を住民主体にシフトさせる方向性などを示した。市は16年に自治会や福祉関係者、民間企業などと協議体を組織し、高齢者の困り事やニーズを掘り起こし、仕組みの模索を続けている。市福祉企画課の稲垣康次課長は「自助、互助、共助、公助

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  • 伊東のロケツーリズム推進 市民挙げて盛り上げを【記者コラム湧水】

     映画やドラマのロケ地を訪ね、地域の魅力に触れることでファンとなる「ロケツーリズム」。交流人口の増加や地域経済の活性化を目指して推進する伊東市は、映像作品の撮影受け入れの実績を重ねてきている。市民への理解を促し、多くの人を巻き込んだ形で誘致態勢をさらに強化してほしい。  同市では2020年度にロケ誘致を本格化させ、同10月には行政や経済団体、交通事業者、警察、消防など官民一体となった組織「伊東ロケーションサービス」を設立。ロケの受け入れ窓口を一本化し、撮影のサポートを行っている。  20年度当初から22年10月までの2年半で343件の問い合わせを受け、159件の撮影が決定したという。昨年8~9

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  • 茶園減少 静岡県茶商理事長が方針提案 需要対応の一手、不可欠【解説・主張しずおか】

     静岡県内茶園減少に歯止めがかからない。農林水産省の2022年作物統計調査によると、静岡県の茶栽培面積は21年比4・8%減の1万3800ヘクタールと、担い手が減る中で規模縮小は当面続くとみられる。ドリンク原料生産や有機栽培など、需要に適した茶づくりを通じ、静岡県基幹産業の維持発展につなげる努力が一層求められている。  全国の面積推計は3万6900ヘクタール(2・8%減)で、静岡県は減少率が最も高かった。生産量で静岡県とほぼ拮抗[きっこう]する鹿児島は8250ヘクタール(0・6%減)で、静岡・鹿児島の両県が過半を占める状況が続く。  本県の茶園は、1988年の2万3300ヘクタールをピークに減少

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  • 今切口導流堤の釣り禁止 安全な環境整備、探る議論を【風紋】

     浜松、湖西市境の浜名湖今切口の導流堤で釣り人の転落事故が相次いでいるとして、県が立ち入り禁止区域を設定し、12月から釣り人に退去を求めるパトロールを始めた。来訪者の把握や管理ができず、事故時の対応に困難を来している背景がある。一方、釣り人の間では禁止以外の事故防止策の検討を願う声が根強い。  今切口導流堤は県管理の港湾施設。県は2007年、転落死亡事故を機に立ち入り禁止の看板を立てたものの、魚が豊富なため釣り人は減らなかった。しかし、20年と21年にも死亡事故が起きたため、県と警察、漁協などでつくる協議会が今秋、禁止区域を明確にして本格的に規制に乗り出した。釣りは湖の内側にある公営の海釣り公

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  • 浜松・天竜の盛り土崩落 住民「SOS」生かせず 再発防止の意識、官民で【解説・主張しずおか】

     台風15号の記録的豪雨で浜松市天竜区緑恵台の盛り土が崩落し、住宅3棟が全半壊した。新興住宅街の空き地に長年にわたって無届けのまま積み上げられた産業廃棄物と残土の山は、8100立方メートルに達していた。熱海市伊豆山の土石流災害から1年余り。なぜ、教訓は生かされず、惨劇は繰り返されたのか。再発防止に向けた検証と実効性ある対応策の構築が急務だ。  緑恵台の盛り土崩落までの経緯をたどると、人災と言わざるを得ない実態が浮かび上がってくる。住民から最初の「SOS」が発されたのは、2014年。浜松市に産業廃棄物の投棄があると通報が寄せられた。17、18年には周辺の土地所有者から土砂の越境と瓦やコンクリート

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  • 富士市の自転車事業 社会実験に着手 観光から日常利用探る【解説・主張しずおか】

     自転車利用で活力あるまちづくりを目指す富士市が、サイクルツーリズム環境を充実させるための社会実験に着手した。標高差のある市域は自転車の利用が進まないことが積年の課題だが、乗りやすさの要素を示して現状の打開を図る。観光促進の取り組みを入り口に、日常の利用者も増やす狙いがある。  環境負荷の軽減、渋滞緩和、市民の健康増進、観光振興-。さまざまな効果が期待される自転車の活用に、国と県には推進計画がある。富士市も同様の計画を策定し、プロサイクリングチームの拠点や魅力的な景観など地域資源を生かした具体策を練る。半面、自転車利用を提供する施設や走行ルートは十分でないのが地域の実情だ。  市の社会実験は道

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  • 浜松・天竜の風力発電 相次ぐ計画撤退 住民の不安解消に努力を【解説・主張しずおか】

     浜松市天竜区で計画している大規模風力発電について、地元住民の理解が得られていない。地元住民の反対などにより、計画の撤退が相次ぐ。自然災害への不安視や建設過程の複雑さが原因。事業者は住民の意向を最大限配慮した計画を作る努力が求められる。一方、住民側にも納得できる説明を要求する姿勢が必要になる。  同区の山中で最大12基の風力発電機を設置する計画を進めていたJR東日本エネルギー開発(東京都)は先月11日、計画の撤退を市と地元自治連に伝えた。市によると、候補地の風力が見込みより足りないことが同社の調査で判明し、撤退が決まった。厳しい調査結果に加え、計画に対する住民側の理解も得られていなかった。事

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  • 焼津・スマートシティ事業本格化 官民協力、情報利活用へ【解説・主張しずおか】

     焼津市の「スマートシティ推進事業」が2022年秋から本格的に動き始めた。行政や各種機関が持つデータをシステムに蓄積させ、市民向けサービスの展開に結び付ける狙い。本年度は産業観光と防災の2分野のデータ利活用を目指す。情報に価値を持たせるためにはデータの量が必要になる。行政はもとより企業の協力が鍵を握る。  この事業は市が昨年11月に策定したDX推進計画で掲げたプロジェクトの一つ「官民連携データ活用組織の構築」を具体化する目的で着手した。  データを集める分野の一つ産業観光では、基幹産業の水産加工業の収益向上に焦点を当てる。主に水産品で構成するふるさと納税返礼品のデータは市が持っている。これら

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  • 細江「姫様道中」存続の危機 民間事務局では維持「限界」 住民理解得る形、模索を【解説・主張しずおか】

     浜松市北区細江町で70年間続く春の風物詩「姫様道中」(実行委主催)について、2023年度以降の存続が不透明な状況に陥っている。事務局の継続が困難になっていることに加え、住民アンケートで約45%が「継続不要」と回答した。実行委員会が存続を目指している以上、自治会や市、商工会などで作り上げる地域の象徴的行事として運営基盤を立て直し、地元住民の理解が得られる形での継続可能性を模索してほしい。  「細江のお祭りという意識が薄れている」。11月上旬に開かれた実行委の会合。細江町の全世帯を対象にしたアンケートの集計結果が示され、議論が交わされた。近年は少子化や若者の流出により地域住民が姫様役や腰元役を担

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  • 災害時のSNS情報 伊東高で接し方学習 デマ見極める力高めて【解説・主張しずおか】

     9月に静岡県内に大きな被害をもたらした台風15号。SNS(交流サイト)では、各地の浸水や河川増水などを知らせる大量の情報が出回った。そんな中、人工知能(AI)で作成された虚偽の画像が拡散し話題になった。情報をいち早く伝達できるSNSは災害時、命を守る行動に役立つ可能性がある一方、誰でも簡単に発信できるため、受け手には各情報の信頼性を見極める力が求められる。  伊東市の伊東高では11月上旬、生徒が災害時の情報への接し方を学習し、デマやフェイクニュースを見抜く力を養うための「情報防災訓練」の授業が行われた。静岡大教育学部の塩田研究室(塩田真吾准教授)と一般財団法人LINEみらい財団(東京都)が共

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  • 新居の「中根庭園群」 地域の財産守り、活用を【風紋】

     磐田市出身で世界的造園家として知られる中根金作(1917~95年)が手がけた庭園や公園が数多く残る湖西市新居町。整備から数十年が経過し、将来に向けた施設管理の岐路を迎えている。「作品群」はいったん失ってしまえば、元に戻ることはない地域の財産だ。文化的価値をいま一度見詰め直し、行政と市民が協力して守っていく姿勢が求められる。  中根は金閣寺(京都市)や足立美術館(島根県)、米・ボストン美術館、カーター元大統領記念館などの作庭や庭園修理で知られる。大阪芸術大学長なども歴任し、江戸時代の作庭家になぞらえて「昭和の小堀遠州」とも称された。  湖西市内でも、旧新居町の依頼で80年ごろから40以上の公共

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  • 新型コロナ遺体の扱い 国が指針見直し検討 現場は即合理的運用を【解説・主張しずおか】

     新型コロナウイルス感染者の葬儀、火葬について、国は遺体を納体袋に入れるよう推奨する指針の見直しへ動き始めた。流行初期に策定されたまま、感染対策の局面が変わってもなお遺族は最後の別れを過剰に制限され、故人の尊厳が守られない事態が続いている。火葬場を運営する市町と病院、葬儀社は国の改訂を待たず、遺族の意向に沿う合理的な運用にかじを切ってほしい。  現行の指針は2020年7月、厚生労働省と経済産業省が共同で策定した。納体袋の使用を推奨し、見送りの場では3密を避けるよう明記。葬儀社や火葬場は職員への感染や風評被害を懸念し、遺体を病院から火葬場へ直送したり、遺族による収骨を禁止したりと「指針以上の強い

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  • 増える移動販売車 磐田で連携体制づくり 持続可能な仕組み必要【解説・主張しずおか】

     静岡県内で食料品や日用品の移動販売車を営業する事業者が増えている。磐田市と市社会福祉協議会は事業者の連携体制づくりに着手した。高齢者ら買い物弱者の支援につながる移動販売車。過度な競争を回避し、事業者が共存・協調することで、支援を必要とする市民に持続的にサービスが行き渡る仕組みを構築してほしい。  磐田市と市社協は8月、市内の移動販売事業者を集めて情報交換会を初開催し、運行状況などの情報を集約した。今後、運行ルートが重複しないようにするなどの調整を図る。  行政が民間ビジネスの調整に関与するのは珍しい。市があえて連携強化に乗り出したのは、路線バスの撤退が相次ぎ、1人暮らしの高齢者が増えている中

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  • 起業家を地域で支援 「スタジオ」設立1年 三島を挑戦できる街に【解説・主張しずおか】

     Local to Global(地方から世界へ)―。そんな思いを抱く起業家が新事業に挑む「LtGスタートアップスタジオ」(三島市大社町)が11月で開設から1年を迎える。産官金の5者協定で始まった試みで多彩なネットワークを形成し、「チャレンジ」をキーワードにした三島の新たなブランディングにつなげる考えだ。  伊豆に配流された源頼朝が平家打倒に向けて旗揚げしたとされる三嶋大社から南へ約50メートル。旧商業施設を改装したLtGスタジオは現在、起業を目指す10組が利用する。教育関連やコミュニティーツールの開発など事業の構想はさまざまだが、人のつながりや起業、資金調達のノウハウなどを求めて三島に集まっ

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  • 障害者との共生、実現へ 議論と柔軟変化 継続を【風紋】

     障害者権利条約が2006年に国連に採択され、共生社会の実現は世界的な潮流となった。日本は11年に障害者基本法を改正し、14年に同条約の批准国となった。バリアフリー化をはじめ、共生に向けて設備整備などが進められているが、実現はまだ遠い先だろう。  浜松市は18~23年度を計画期間とする「第3次市障がい者計画」で、重点施策の一つに防災対策を挙げた。改正災害対策基本法によって策定が自治体の努力義務になった個別避難計画の作成を急ぎ、同意を得た高齢者などを含む市民約9800人のうち、約7千人分の整備を進めた。  ただ、要支援者全体では約18万5千人に上るため、市民理解や認知度の促進が課題といえる。県全

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  • 3年ぶり国体開催 大会に変革の波 意義は不変【解説・主張しずおか】

     新型コロナウイルス禍で2年連続中止された国民体育大会が、栃木県を舞台に3年ぶりに開催された。大会は今年で第77回となったが、中止を契機に、開催地の財政負担など現行方式での継続に多くの課題が指摘された。日本スポーツ協会は2024年までに新たな大会像を打ち出す方針だ。だが、競技力強化において大会が代え難い役割を担ってきたのも事実。静岡県スポーツ界も久々の開催を通じて現状を分析し、国体の意義を改めて考えたい。  国体は近畿で開催された1946年の第1回以降、数回を除いて47都道府県が持ち回り開催し、現在は2巡目の終盤にある。開催に合わせ競技場を建設するケースが多く、2003年静岡国体は県富士水泳

    速報NEWS
  • “シミズ事故”根絶へ余裕を 右折時歩行者と接触多発【黒潮】

     「またアレだよ。シミズ事故だよ」。ここ数カ月、静岡市清水区の交通安全関連団体や捜査員の間で被害の頻発が懸念されている交通事故の形態がある。“他地域に比べてシミズで顕著に見受けられる事故”、略してシミズ事故。自動車が右折時に歩行者と接触する人身事故のことだ。  清水署によると、今年管内で発生した右折時の事故は100件(9月末時点)で、そのうち約3割がシミズ事故。県内平均は約2割となっており、同区で特に多発していることがわかる。6日にも、小学6年生の女子児童2人が横断歩道をわたっている間に右折してきた乗用車にはねられる事故が発生した。幸い2人は軽傷で済んだが、一歩間違えれ

    速報NEWS
  • 託児付き美容室 静岡県内じわり増加 多様な店舗形態に注目【解説・主張しずおか】

     技術だけでなく接客や店の印象も重要視される美容業界で、託児施設を設けて女性の従業員、客に配慮する店が県内で増え始めた。県美容業生活衛生同業組合によると、保育士まで雇う店は県内ではまだ珍しいという。女性の働きやすさや居心地の良さに対する工夫や配慮は社会的な課題で、その取り組みが広がるか注目される。  8月下旬に浜松市浜北区にオープンした「ANS[’] DEAUX KITAHAMA(アンズ・ドゥー・キタハマ)」は施術室から託児ルームが見える。保育士が乳幼児の世話をきちんとできるよう、託児をする客の予約時間が重ならないようにしている。託児は従業員も利用可能で「安心感がある」と評判は上々

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  • 区協議会体制見直し 若者含め参画意識重要【解説・主張しずおか】

     浜松市は現行7区を3区にする行政区再編に合わせて、住民自治の要となる区協議会体制の見直しを進めている。鍵となるのは50の地区自治会連合会単位で設置が可能になるコミュニティ協議会(コミ協)。市民が地域課題の議論や施策提案により深く関わり、地域の特性を伸ばす推進力になると期待される、ユニークな仕組みだ。機能させるには市の後押しと市民の参画意識が重要になる。  2005年の12市町村合併の際、市は地域分権と個性の尊重を理念としたクラスター型都市を掲げ、政令市移行時は7区ごとの区協議会と旧12市町村単位の地域協議会で住民の声を市政に届ける、2層の自治組織体制を取った。後に地域協議会は行革の流れの中で

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  • 浜松の学生らバングラデシュ調査 国際問題に関心を【風紋】

     バングラデシュの少数民族支援を行う国際NGO「ジュマ・ネット」。稲川望事務局長(25)=浜松市中区=と静岡文化芸術大(同区)の学生7人が8月下旬から9月初旬にかけて行った現地調査の報告会では、同じ民族同士の内紛など同国の少数民族の現状を詳細に伝えた。「テレビなどで報道されるのは世界の問題の一部」と訴える学生の姿に胸を打たれた。  同NGOは国際協力などを専門とする同大の下沢嶽教授が共同代表を務め、同国南東部のチッタゴン丘陵地帯の少数民族「ジュマ」の教育支援に取り組んできた。ジュマは焼き畑をする11~13の少数民族の総称で、自治を求めて政府と対立。1979年の多数派のベンガル人を入植させる政府

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  • 熱海に新形態の宿 ワーケーションなど狙う 関係人口増加に期待

     首都圏に近く、企業のワーケーションや滞在型研修の需要が高まっている熱海市で、新しいタイプの宿泊施設が23日、オープンした。来訪者が熱海の生活文化や課題に触れながら市民と交流するための拠点で、運営会社はまちの関係人口の増加を目指す。交通弱者支援や空き家問題など同市が抱える課題の解決に向けて、市民と市外の企業、人材の共創が期待される。  宿泊施設は、若者が行き交う熱海銀座商店街に立つビルの2、3階に、同市のまちづくり会社マチモリが開業した。ここ数年、店舗出店の需要が高く、地価が上昇傾向にある同市だが、中心市街地には築年数が古く、上層階が空室になっている物件が多い。宿泊施設が入るビルも2階以上が長

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  • ⚾野球離れ対策 リーグ戦で魅力再発見【黒潮】

     野球の競技人口減少が止まらない。全国高校野球選手権の優勝旗が白河の関越えを果たしても、プロ野球がヤクルトの村上宗隆選手のシーズン日本選手最多本塁打に沸いても、足元では野球離れが確実に進んでいる。少子化に加え競技が多様化する中で、選ばれるために、野球本来の魅力を取り戻そうとする試みが静岡県でも始まった。  負けたら終わりのトーナメント戦が目先の勝利への固執を生み、偏った選手起用、投手の負担過多などの弊害につながるとして、注目されているのがリーグ戦のメリットだ。小中学生の硬式野球チーム・堺ビッグボーイズ(大阪)を運営するNPO法人が2014年に導入したリーグ戦「リーガ・アグレシーバ(スペイン語で

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  • ため池、全国で転落事故 静岡県内も防止対策進む【解説しずおか】

     農業用のため池に転落する死亡事故が全国で相次ぎ、ため池の安全管理や落下を想定した救命策に注目が集まっている。農林水産省によると、2021年度までの10年間で発生した死亡事故は232件。ことしは宮城、青森の両県で子どもが溺れる死亡事故があり、岩手県では草刈り中の男性が転落死した。ため池を巡っては災害対策の一環で管理の明確化が進んでいるが、市民や農業関係者の命を守る観点からも安全対策の強化が必要だ。  水難救助や事故に関する調査を行う水難学会はため池の危険性を考証した動画の公開や実演を交えた講習会などを通じ、斜面のはい上がりを補助する救命ネットの設置を呼びかけている。動画では大人でもコケや泥に足

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  • しずおかFG 10月発足 静岡銀行持ち株会社体制へ 課題解決、収益力を強化【解説・主張しずおか】

     静岡銀行は10月3日、持ち株会社体制に移行する。新設する「しずおかフィナンシャルグループ(FG)」を頂点に、静岡銀とグループ5社を同格の子会社とする。体制移行の背景にはガバナンス(企業統治)向上のほかに、提案力や課題解決力に磨きをかけて地域経済の持続的発展を促し、収益拡大につなげる狙いがある。  FG発足後は、静岡銀傘下にあった静銀経営コンサルティング、静銀リース、静岡キャピタル、静銀ティーエム証券、持分法適用関連会社のマネックスグループを格上げする。企業の経営改善支援やM&A(合併・買収)、事業承継、個人資産運用などを手掛けるこれら5社を自立させ、銀行依存の組織体質から脱却を図る。5社は採

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  • 静岡ビル火災、隊員殉職 事故調報告書と教訓、共有を【解説・主張しずおか】

     静岡市葵区呉服町の雑居ビルから出火し、市消防局の隊員1人が殉職した火災から3週間が経過した。同局の消防士3人ら計4人が死亡した吉田町の工場火災からわずか2年で起きた惨事。事故の再発防止には関係者全員がその原因や課題を共有し、教訓を今後の活動に生かす努力が不可欠だ。  静岡市の雑居ビル火災は8月13日深夜に発生。3階の倉庫兼休憩室が火元とされ、確認に入った市消防局駿河消防署駿河特別高度救助隊の消防司令補の男性(37)が活動中に亡くなった。事故を受けて静岡地域消防運営協議会は臨時会を開き、当時の活動の検証や再発防止策を検討する第三者らによる事故調査委員会の設置を決めた。  臨時会後の取材で、市

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  • 富士宮のワーケーション誘致、首都圏企業に照準 地域の理解と協力が鍵【解説・主張しずおか】

     富士宮市が首都圏企業をターゲットに、休暇を兼ねながら仕事をするワーケーションの誘致に動きだして3年目。日本航空がワーケーション推進を目指し自治体と企業をつなぐ目的で発足させた「ワークスタイル研究会」に県内で唯一参加し、地元民間団体とモニターツアーを企画するなど「富士宮ならではのワーケーションの形が見えてきた」と市担当者は手応えを口にする。魅力的なワーケーション体験の提供し、継続的なものにしていくには地域の協力が不可欠。地域にその価値をどう示せるかが鍵となる。  時間や場所にとらわれない働き方が広がる中、富士宮市は2020年度にテレワークやワーケーション誘致に向けた調査を始めた。首都圏企業を招

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  • 富士市 スケボー練習場開放、本格施設導入を検討 立地や設計、需要把握を【解説・主張しずおか】

     富士市郊外にある富士川体育館の駐車場兼ヘリポートが7月末から、無料のスケートボード練習場として一般開放されている。一時的な練習場で、市は将来的な競技人口の拡大を見据え、別の場所に本格的な練習環境の整備を検討していく。市民が利用しやすい公設施設に向け、利用の実態をつかみ、早期に筋道を固めることが必要だ。  東京五輪での日本人選手の活躍などでスケートボード人気が加速し、富士市は伸び伸びと滑れる専用空間が必要と判断した。路面の舗装が良好で滑走用に転用しやすい空間として、富士川体育館北側の約2500平方メートルの駐車場を一時的に活用している。  練習場の開放から約半月、小学生から40代の大人まで幅広

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  • 西伊豆の介護予防実験 住民が体操指導 行政、社協の下支えが鍵【解説・主張しずおか】

     高齢者の健康増進に向け、西伊豆町と町社会福祉協議会が近く、介護予防を目的とした「シルバーリハビリ体操」を活用した実証実験を始める。住民ボランティアが高齢者に体操を指導して自立を後押しする取り組みで、介護保険制度への適用も目指す。今後は継続性や成果につながる体制の構築が求められる。  シルバーリハビリ体操は運動療法を基に日常生活の動きを訓練することができる。92種類のメニューがあり、寝たきりの人も取り組めるのが特徴。発祥地の茨城県や東北地方の自治体を中心に導入が進んでいる。  西伊豆町は2020年2月にボランティアを募り、地域の実践者となる「3級指導士」の養成講座を始めた。指定のカリキュラムに

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  • 沼津駅付近高架 当初計画から事業費増 市財政への影響精査を【解説・主張しずおか】

     静岡県は7月、JR沼津駅付近高架事業の事業費が当初計画から1・3倍の1034億円となる見通しを明らかにした。事業費の一部を担う沼津市の負担額は、これまでより56億円増の228億円が見込まれる。市財政への影響は不可避で、市全体の財政見通しや高架以外の事業も含めた早急な精査が必要だ。  県は労務費や工事費の高騰、東日本大震災による耐震設計基準見直しなどを増額の理由に挙げる。新車両基地や貨物ターミナルの施設規模見直しによる41億円の削減も踏まえた額で、これ以上の大幅減は難しそうだ。  鉄道高架化本体とは別の関連事業として、市はこれまで駅南口再開発ビル「イーラde」や、県と共同で駅北口の「プラサヴェ

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  • 2023年春の静岡県議選 定数68を維持 今後の在り方、争点に【解説・主張しずおか】

     任期満了に伴う静岡県議選が来春、行われる。県議会は改選のたびに定数と選挙区について議論していて、次期県議選は定数を68で維持することが決まった。昨年は県議会と川勝平太知事の対立が先鋭化し、出席議員の4分の3の賛成で可決する知事不信任決議案の提出が現実味を帯びたことで定数について県民の関心が高まった。一方で、その定数を決める議論が県民に開かれているとは言い難い。今後、定数、選挙区をどうしていくべきか、来春の県議選の争点にしてほしい。  定数と選挙区についての議論は、会派に所属している県議で構成する選挙区等調査検討委員会が行う。今回のメンバー構成は自民改革会議7人、ふじのくに県民クラブ3人、公

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  • マニアック 独自の企画展で注目集める 磐田・竜洋昆虫自然観察公園【解説・主張しずおか】

     磐田市竜洋昆虫自然観察公園が、独自の企画展を展開して人気を集めている。ゴキブリやハエトリグモなど一般的には“嫌われ者”とされる虫の魅力にこだわり、マニアックな内容を次々と発信。新型コロナウイルスの影響がある中でも一定の集客力を見せている。今後も斬新なアイデアを打ち出し、県内で唯一の公立昆虫展示施設としてさらに存在感を示してほしい。  1998年に開園した施設は、野外観察ゾーンなどを含む敷地面積は約1万平方メートルで、職員はわずか8人。規模が大きいとは言えないものの、生きた昆虫を中心に定期的に展示を入れ替えていて、企画展ごとに生体約100種を見られる。  以前は未就学児

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  • 小笠地区の県立高再編 計画見直し不可避 地域の将来描く議論を【解説・主張しずおか】

     横須賀高(掛川市)と池新田高(御前崎市)を統合する小笠地区の再編計画が岐路に立っている。掛川市では官民を挙げた反対意見が強く、県教委は地元同意なしに候補地選定を進めない考えを示した。見直しは不可避の情勢で、8月以降に設置される地域協議会が新たな枠組みづくりの鍵を握る。課題の洗い出しに終始せず、高校の特色や役割を整理した上でどのような将来像を導けるか、建設的な議論が必要だ。  県立高の再編案を盛り込んだ第3次長期計画案は、県教委が2017年11月に公表した。横須賀、池新田を含む県立高7校を「新構想校」として3校に統合する内容。掛川市では強い反発があり、地域住民が「横須賀高校を守る会」を設立した

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  • 新居弁天地区再整備 湖西市が事業者公募 滞在型観光へ道筋を【解説・主張しずおか】

     湖西市は市営プール「新居弁天わんぱくランド」の跡地と、隣接する熱帯植物園、新居弁天海浜公園を一体的に活用する観光振興策を検討している。年間を通じて観光客が訪れるよう再整備を図るが、今ある地域の観光資源や魅力を分析、再認識した上で事業を進める必要がある。  古くからの民宿が立ち並ぶ新居弁天地区。緑豊かで木陰が多く、そばには浜名湖の開放的な風景が広がる。複数の観光資源が集まり、市内では際立って行楽地の雰囲気を帯びたエリアになる。  集客施設の一つだったわんぱくランドは1972年の開園以来、夏場の行楽施設として親しまれてきた。市内外からの来場者は例年約2万5千人。ただ、ウオータースライダーや階段、

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  • 吉田町水防センター 大井川河口備え強化 地域防災、人材の確保を【解説・主張しずおか】

     吉田町は駿河湾と大井川河口に面する同町川尻の沿岸部に今年、水害を軽減するための拠点として「吉田町水防センター」を設けた。平時は住民憩いの場としての活用を促すが、有事には水防活動を担う地元消防団の拠点となる。近年風水害が激甚化、多発化していることを踏まえ、施設の充実は防災対策に不可欠だ。加えて自治体や関係機関と一体になって活動する人材の確保が課題となっている。  同センターは国土交通省が洪水時の緊急対応を迅速に行うために整備した「大井川川尻地区河川防災ステーション」の中にあるコンテナ型の施設。電力は太陽光と風力による独立電源を採用した。一部のコンテナは取り外しが可能で、避難所などへ移して電力

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  • 掛川市茶振興計画見直し 業界全体で産地支援を【風紋】

     茶業界を取り巻く現状を有事と認識し、茶産地の生き残りを懸けた新たな指針とする-。掛川市は昨年度、市茶振興計画(2017~26年度)の中間見直しを実施した。「掛川茶未来創造プロジェクト」と名付けた計画を今月公表した。  車を走らせればあちらこちらに茶畑が広がる市内。美しい緑の風景がこれからも当たり前にあると思っていたが、市が実施した生産者アンケート結果を見て驚いた。  中間見直しのため、昨年9月に実施した調査は516経営体を対象に行った。回収率は74%。結果を見ると、経営主の平均年齢は64・4歳。後継者を問う設問に「後継者なし」と答えた割合は84%。  現在の経営状況を5段階で調査すると①「良

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  • トライアルパーク蒲原 交流拠点、7月2日開所 道の駅化へ防災機能を【解説・主張しずおか】

     静岡市清水区蒲原の国道1号バイパス近くに7月2日、市の広域交流拠点「トライアルパーク蒲原」が開所する。暫定的に太平洋岸自転車道のサイクルツーリズム拠点としつつ、地元企業とともに方向性を試行し、将来的な「道の駅」整備を目指していく。庵原地区は近年、特産品のサクラエビの不漁と新型コロナウイルス禍で来訪客減少が課題となっている。オープンを観光復活のきっかけとし、官民で発展させていくことが必要だ。  トライアルパークの建設場所は富士川河口部防波堤にほど近い旧庵原高校グラウンド跡地。約1万平方メートルの土地一帯に芝生を敷き詰めて広場にした。自転車利用者向けにレンタサイクルやシャワーなどを完備するほか、

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  • 御前崎市議会の要請書 過半数の意見反映せず提出 原子力、正面から議論を【解説・主張しずおか】

     御前崎市議会の議長ら一部市議が「既存原発の最大限活用」などを求める議長名の要請書を市議会に諮らず国に提出したことは、過半数の議員の意見を無視した点で民主主義を揺るがす行為だった。市議会には原発の立地市として、原子力政策を正面から議論する姿勢を求めたい。  増田雅伸議長ら6人の市議と市幹部は4月14日、経済産業省資源エネルギー庁など3省庁に柳沢重夫市長と連名の要請書を届けた。要請書は脱炭素社会の実現に向けた現実的な取り組みとして既存原発の早期再稼働を挙げ、市政運営や市内経済を中部電力浜岡原発(同市佐倉)が稼働していた東日本大震災以前の状況に「一日も早く戻す」必要があると指摘した。  要望活動や

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  • 清水港の新スタジアム 実現へ見えぬ道筋【解説・主張しずおか】

     静岡市清水区のエネオス清水油槽所遊休地に新サッカースタジアムを建設する構想。JR清水駅周辺の商店街などを中心とした盛り上がりに対して、実現までの道筋は見えない。老朽化した区役所や防災など複合機能を持たせる案もあり、期待に応えるには議論の加速が必要だ。  JR清水駅前のアーケード街。シャッターが閉まりきりのがらんとした大きな空間が広がる。サッカーJリーグ1部(J1)清水エスパルスのオレンジ色のユニホームを着た地元ファンを見掛けるのは最近はまれだ。  「公民連携でやっていきたい」。4月上旬の定例会見で記者から「民間での整備を考えているのか」と問われた田辺信宏市長はそう答えた。川勝平太知事も構想へ

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  • 菊川で大規模断水 情報早期発信と点検を【解説・主張しずおか】

     菊川市内で発生した断水は原因の特定に時間がかかり、影響が広範囲に及んだ。さらに、市民への情報提供が遅れたことで不安が広がった。水道管の老朽化は全国的な問題となっており、同様の事態が今後再発する可能性もある。市は住民生活に直結するライフラインの備えを再点検し、非常時の情報発信についても見直してほしい。  菊川市の断水や水圧低下は20日夜に発生し、23日まで続いた。影響を受けたのは住宅が密集する六郷、河城、西方、加茂、内田地区の一部で、最大で約6700世帯。市内の約3分の1の世帯に影響が出た。市は18日に水を一時的にためる配水池の水位が平常時の半分以下になったことを受け、漏水調査を開始していた

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  • 時論(5月23日)無理に漢字を当てなくても

     小説家の坪内逍遥は、にわか雨に「太田道灌」の字を当てた。道灌は室町時代後期の武将。江戸城を築いた。人名と気象が当て字でつながるのは、道灌がタカ狩りの帰途、にわか雨に遭った逸話が広く知られていたからだろう。  民家に駆け込んで蓑[みの]を借りようとした道灌に娘が差し出した山吹の小枝。〈七重八重花は咲けども山吹のみの一つだになきぞ悲しき〉。「実の一つ」「蓑一つ」。古歌を踏まえた娘の意を道灌は理解できなかった。後に無学を恥じて歌道を志したとされる。  戸籍の氏名に読み仮名を付けるための法改正へ、法制審議会の部会が中間試案をまとめた。戸籍に使える漢字は限られているが、読みの規定はない。例えば光宙を「

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  • 島田の水難死亡事故 人工構造物近くで発生 川の危険性、事前共有を【解説・主張しずおか】

     島田市川根町の家山川で5月上旬、小学生の女児が溺れて亡くなる痛ましい事故が発生した。現場は急な深みや複雑な流れが潜む人工構造物の近くで、女児は構造物の空洞部分に吸い込まれたとみられている。川の深さを地上から判断するのは難しく、流れの強い場所も判別しづらいとして、専門家は警鐘を鳴らす。  事故は3日午後に発生。女児は魚取りの最中だった。現場は段差があって流れが強く、川底の浸食を防いで橋脚を保護する「根固めブロック」が川を横断するように積まれていた。河川中央部のブロック上には魚が遡上(そじょう)できるよう魚道が設けられ、河川管理者などによると、女児は経年劣化などが原因で魚道に生じた穴から落ち、中

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  • 沼津・原に植物工場 26日完成、生産開始 農業で地区活性化期待【解説・主張しずおか】

     沼津市西部の原地区に26日、葉物野菜を量産する「ブロックファーム植物工場」が完成、生産を開始する。植物工場としては世界最大級の規模。生産や加工、冷凍の一体型施設で、事業者は販売面も加えた多角的な計画を描いているため、雇用面や地元経済への幅広い効果が見込まれる。県、市、地元は工場を柱に一帯を農業の一大先進地にと構想し、農業を核にした地域活性化を図る考え。衰退が進む地区全体に波及させる取り組みが欠かせない。  都内の三菱電機グループの菱電商事と農業ベンチャーのファームシップが合弁会社「ブロックファーム」を設立した。世界で初めて水耕栽培によるホウレンソウの量産を手掛けるほか、環境や省エネに配慮した

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  • ウクライナからの避難犬 待機期間短縮に賛否 検疫対応、慎重な議論を【解説・主張しずおか】

     農林水産省は4月、ウクライナから日本に来た避難者が帯同したペットの犬に狂犬病対策をすることを条件に、最長180日間の検疫施設での待機期間を大幅に短縮した。関係者からは人道的な措置と評価される一方、心配の声も上がる。日本は65年間、狂犬病の国内発生がない世界屈指の「清浄国」で、厳格な水際対策によって侵入を防いできたためだ。ウクライナが発生地域であることを踏まえ、“家族”への避難者の愛情に敬意を表しつつ、慎重な議論を続けてほしい。  対応は災害救助犬の規定を準用して、マイクロチップの装着や2回のワクチン接種、抗体価の確認が済めば、週1回の動物検疫所の報告やほかの動物と接

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  • 函南町の観光振興 脱“通過点”へ魅力発信【記者コラム 湧水】

     伊豆への玄関口に構える道の駅「伊豆ゲートウェイ函南」(函南町)が1日、開駅から5周年を迎えた。隣接する伊豆わさびミュージアム、めんたいパークなどを含め、特に連休中は大勢の観光客でにぎわう。一方、同町は伊豆に向かう“通過点”としてのイメージも色濃い。町内の豊かな自然や食、観光資源を生かし、滞在時間を少しでも増やす努力が欠かせない。  その一つとして注目されるのがご当地グルメ。地元産の食材を使ったメニューは、その土地ならではの魅力となる。同町でも2018年度、特産の丹那牛乳で作る「函南カルボナーラ」が立ち上がった。町は国の交付金を受けて500万円の予算を計上し、民間企業に

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  • 伊豆の国「大河ドラマ館」3カ月で来場5万人 市の魅力、複合的発信を【解説・主張しずおか】

     伊豆の国市ゆかりの鎌倉幕府第2代執権北条義時が主人公の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放映に合わせて市推進協議会が韮山時代劇場内に設置した大河ドラマ館の来場者が、開館から約3カ月で5万人に達した。新型コロナ禍のさまざまな制約を受ける中、関係者は「予想以上の来客数」と受け止めている。期間限定の設置ながら市内有数の集客スポットになった大河ドラマ館を、市の魅力を複合的に発信する場として存分に活用したい。  大河ドラマ館は1月15日にオープンした。同27日から県内にも適用されたまん延防止等重点措置の影響で団体客はほとんどキャンセルになったものの、オープン18日目の2月1日には来場者1万人に到達した。市

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  • 時論(4月24日)静岡県の「地域外交」は不要なのか

     沖縄県尖閣諸島周辺で海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件を巡り、日中交流が滞った2010年。就任2年目の川勝平太知事は、上海万博に合わせて企画した「ふじのくに3776友好訪中団」の継続を決め、訪問団を率いて友好提携を結ぶ浙江省と万博会場を訪ねた。  知事の同行取材で目の当たりにしたのは、日本では表面化しない中国政府や省幹部の歓待ぶりだった。  万博会場で川勝知事の携帯電話が鳴った。元駐日中国大使で政権中枢にいた武大偉氏からで、訪中をたたえる意を伝えるためだった。  「あなたは訪問の約束を守った。問題のある時期の交流は、中央(政府)を動かす役割を果たす」  川勝知事は習近平主席が副主席の

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  • 西伊豆町の海藻養殖 本格着手へ 漁業者との連携強化が鍵【解説・主張しずおか】

     西伊豆町は同町田子の田子漁港がある湾の内部が未利用であることに着目し、試験的な海藻養殖に取り組んでいる。町外の民間事業者に知恵を借りてハバノリなど複数種類の育成を試み、適した海藻を見定めるのが狙い。取り組みは緒に就いたばかりで、地域の水産業にどれほど効果が見込めるかは未知数だ。本格的な事業化を目指す上で、地元漁業者との連携が欠かせない。  「食害もなく、順調に成長している」。4月中旬、田子漁港で行われた生育調査。町に養殖技術やノウハウを提供する合同会社「シーベジタブル」(高知県)の蜂谷潤共同代表(34)は船から海中を観察し、手応えを口にした。  試験に用いる海藻の多くは昨年6月ごろに田子漁港

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  • 時論(4月20日)1キロ196万円の新茶とは

     静岡茶市場(静岡市葵区)の新茶初取引の最高値は1キロ当たり196万8千円で過去最高を更新した。上場されたうち、唯一の手もみ茶。機械製造の茶の最高値は「八十八夜」にかけて好まれる「8」を並べた8万8888円。  196万円はどれほど破格か。この日の県内茶の平均は5080円だった。昨年の全国手もみ茶品評会の入札販売で農林水産大臣賞受賞茶に付いた約111万円も大幅に上回った。  農林水産物の初取引の話題と言えば、東京市場のマグロ初競りが頭に浮かぶ。3億円を超えたこともある。  静岡茶市場では、競りや入札ではなく、売り手と買い手が直接交渉して価格を決める。上場される少量多数の荒茶を短時間でさばくには

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  • 高額な電気料金 電力安定供給に戦略を【黒潮】

     ここ数カ月、電気代の請求を恐る恐る確認している。以前は冬場でも1万円台だったが、最近は2万円を超える月が続く。暖房や温水を使うため、ある程度の“痛み”は覚悟しているが、それにしても、だ。自宅がオール電化という職場の上司は「うちは5万円近くまでいった」と嘆いた。  新型コロナウイルス禍からの経済回復に伴う需要拡大で、原油や天然ガス価格が上昇しているのが背景。それにウクライナ危機が拍車をかけている。中部電力ミライズによると、4月の電気料金は標準的な家庭で8076円。昨年同月から1766円、割合にして28%も上昇している。一般家庭だけでなく、事業者もあえいでいる。  電気料

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  • 富士市街地で自転車レース クリテリウム初開催 効果波及へ運営工夫を【解説・主張しずおか】

     国内ではまだ数少ない市街地の公道レース「富士山サイクルロードレース 富士クリテリウムチャンピオンシップ」(市実行委主催)が3月に富士市で初開催された。運営面では課題もあったが、日本一の富士山を望む目抜き通りを舞台にした、クリテリウム(短距離周回レース)日本一決定戦という新たな価値を示した。レースの定着に向け、効果を地域全体に波及させる工夫が求められる。  レースは、富士市役所や中央公園などが並ぶ市道臨港富士線(通称・青葉通り)に1周1・8キロのコースを設けた。ジャパンサイクルリーグ(JCL)、全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)、日本学生自転車競技連盟(JICF)の3団体が参戦する全国初

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  • 藤枝市のプログラミング教育 専門知識持つ教員不足、好奇心刺激する指導を【解説・主張しずおか】

     全国に先駆けて市内の全小中学校にソフトバンクロボティクスの人型ロボット「ペッパー」を配備し、プログラミング教育に活用している藤枝市。同社主催のプログラミングコンテスト全国大会で多くの藤枝市チームが入賞するなど、成果が表れている。一方、学校間での温度差や専門知識を持った教員の不足など、取り組みを発展させていく上での課題も出ている。  「好奇心を刺激するようにしている」。葉梨中のプログラミング教育を主導する技術科教諭の秋山友徳さん(46)は、指導する上での心掛けを語った。理系科目が苦手な生徒らが“食わず嫌い”にならないようにするため、まずは興味を引き出すことが大切という。

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  • 浜松市の行政区再編 サービス格差懸念 中山間地に寄り添って【解説・主張しずおか】

     浜松市が2022年5月に区割り案の最終決定を目指す行政区再編を巡り、天竜区北部地域の住民は行政サービスの格差をはじめ、さまざまな懸念を抱えている。市には地域住民に寄り添い、具体性を持って不安を解消する姿勢が求められる。  市の区割り案で、C区(仮称)として単独で残る天竜区の人口は約2万7千人。市全体に占める割合は3%程度で、過疎化、高齢化が進む地域だ。一方で、面積は全市の約6割を占める。中、東、南、西各区と北区の一部を含むA区(同)の人口は約61万4千人、北区の大部分と浜北区を含むB区(同)が約15万8千人と顕著な差がある。  天竜区北部の水窪町や佐久間町、龍山町など北遠地域には、産業振興や

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  • 時論(4月3日)デジタル化 問われる思考力

     小中学校に続き、本年度から高校教育が「主体的・対話的な深い学び」を掲げる新学習指導要領に移行する。検定結果が公表された新教科書は、思考や探究を促す仕掛けがみられる。  評論家の外山滋比古さんはロングセラー「思考の整理学」(1983年)で、先生と教科書に引っ張られて勉強する生徒を自分では飛べないグライダーに例え、自分で物事を発明、発見するいわば飛行機を育てよと主張した。  「ゆとり教育」の失敗と、それが一因でもある格差拡大、デジタル技術の進化で「読解力」「思考」の危機感が高まった。書店に並ぶ本の表題や帯にはこれらの言葉があふれている。  新年度、心機一転という人は多いはず。新たな人間関係で言語

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  • 桜ケ丘病院23年度移転 一層の医療機能拡充を【黒潮】

     施設老朽化により、2023年度にJR清水駅東口公園への新築移転が決まっている静岡市清水区の独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)桜ケ丘病院。新施設は津波被害への備えのみならず、医療の機能面においても広域的に核になるよう一層の拡充を目指すべきだ。  「駿河湾フェリーで通院している人もいる」。元県職員の男性(74)は話す。フェリー乗り場は24年度病院の移転先に近い場所に移る。伊豆西岸の患者にとって新病院は朗報になるかもしれない。  同病院の経営は実は健全そのものだ。20年度決算は約2億4千万円の黒字。貸借対照表によれば、総資産約19億円3千万円に対し負債は約4億8千万円しかなく、自己資本比

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  • 浜松少女いじめ訴え 市教委ずさんな対応露呈 抜本的対策、早期提示を【解説・主張しずおか】

     浜松市の少女(18)が市立小中学校在校時にいじめを苦に転校した問題の再調査を担った第三者機関が公表した報告書は、市教委が2018年に行った調査のずさんさを浮き彫りにした。市教委は23日の記者会見で少女や保護者に謝罪したものの、調査時の認識不足を露呈。再発防止に向けた具体策の提示にも至らなかった。  「ガイドラインを軽視していたわけではない」。記者会見で、市教委の幹部らは何度も繰り返した。  ガイドラインとは、文部科学省がいじめ防止対策推進法に基づいて17年に制定し、いじめ被害への対応策をまとめた「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を指す。鈴木康友市長が設置した第三者機関の再調査委

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  • 裾野のキヌア特産化 生産と販売拡大、両輪で【湧水】

     裾野市で特産化に向けて試験栽培されている南米原産の雑穀「キヌア」を使ったクラフトビールが2月下旬、発売された。裾野産キヌアの認知度向上とブランド化を目指す取り組み。生産者を増やすには、収益につながる販路開拓が不可欠。裾野産キヌアの付加価値を高め、消費者に訴求する戦略を展開してほしい。  キヌアは高タンパクでミネラル、ビタミンが豊富なスーパーフードとして、健康や美容への意識が高い女性に人気が高い。日本で流通するキヌアはほとんどが輸入品で、国内での生産は限られる。国産キヌアの産地としてイメージを定着できれば、新たな特産品として注目を集めるチャンスになる。  市と須山東富士農事組合、静岡大農学部は

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  • 袋井市「ごみ30運動」 8年で30%減目指す 市民の能動的実践必要【解説・主張しずおか】

     袋井市は4月から、8年間で家庭系可燃ごみの排出量を30%減らす「ふくろいごみ30(さんまる)運動」を開始する。2024年度までに15%削減の中間目標を設定し、市民や事業所に分別、リサイクルなどの徹底を求める。ごみ処理量の限界が近づく中、減量化を市民運動として定着させる狙いで、目標達成には市民の理解が欠かせない。  「あらゆる場面で協力をお願いし、一丸で取り組みたい」。2日の市議会2月定例会。大場規之市長がごみの減量へ決意表明した。市は22年度一般会計当初予算案に雑紙、草木、古布の回収事業費3200万円を計上。ごみの排出量を減らすための環境を整える。  ごみの減量は脱炭素化などの課題解決を目的

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  • スポーツのまち磐田の転換点 資産生かし新機軸戦略を【風紋】

     サッカーJ1ジュビロ磐田本拠地の磐田市で2月、多様なスポーツ資産のまちづくりへの生かし方を考えるシンポジウム(市主催)が開かれた。表題は「どうする磐田」。しかし「今ごろ?」と違和感を持ったのが本音だ。20年前のサッカー日韓W杯では市内にベースキャンプを張った日本代表を支え、長年プロサッカー、ラグビーチームが拠点を置く。市出身の卓球五輪金メダリストの存在もある。一連のスポーツレガシーや集客、話題力から、本来は既に先進地であってしかるべきだ。  課題はこの輝きを放つスポーツ資産が点と点で存在すること。チーム名や有名選手の影響か、民間調査会社が公表した「地域ブランド調査2021」で「スポーツのまち

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  • 沼津市が積極型予算 市全体再生、「動き、創る」実感へ 事業周知を【解説・主張しずおか】

     沼津市が発表した2022年度一般会計当初予算案は、781億8千万円と過去最大の積極型編成となった。市役所近くの新総合体育館整備をはじめ、中心街再生へ道筋を付けたのが特徴。頼重秀一市長は22年度を「動き出す、創り出す」が実感できる年になると位置付けているが、予算化した周辺部での事業についても市民に発信し、広く周知することが求められる。  「市民から『何だか街中だけのような気がする』と言われた」。複数の市議は、当初予算案が公表された2月初め、「中心街偏重では」と直接、市民から指摘されたと明かした。  頼重市長は同10日に市議会2月定例会で施政方針演説を行い、30年来の懸案だったJR沼津駅周辺総合

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  • 藤枝市の新庁舎整備 次世代見据え機能的に【黒潮】

     藤枝市は2022年度、同市岡出山にある市役所本庁舎の建て替えに向けた構想づくりに着手する。8年後の30年度ごろの完成を目指して計画を具体化させていく。アフターコロナを見据え、社会や時代の変化に対応した過不足のない機能を備えた建物にしてほしい。  市によると、本庁舎は1973年の建設から49年が経過した。建物としての余力は残っているというが、庁舎の建て替えには土地の設定や公共施設の再編を含め、多岐にわたる調整が求められる。早めに動きだし、議論を尽くすことを重視すべきだろう。  構想を練る上で、行政のデジタル化やスリム化がキーワードになりそうだ。窓口での手続きを電子申請で済ますなど、行政手続きの

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  • キャンプ富士のコロナ感染 米軍情報把握に課題 住民の安全安心担保を【解説・主張しずおか】

     昨年末から今年初めにかけて、御殿場市中畑の米海兵隊キャンプ富士で海兵隊員らの新型コロナウイルス感染が相次いだ。市は状況把握に苦慮し、感染が市中に広がるとの懸念から地元住民の不安が高まった。情報提供の在り方を含め、住民の安全安心を担保できる関係や態勢づくりを目指すべきだ。  キャンプ富士の12月29日付発表で日本人従業員1人を含む10人の感染が明らかになった。その後も感染が拡大し、御殿場市によると、累計感染者は50人を超えた。沖縄県や山口県では米軍基地内での感染拡大が市中感染につながったとの見方が強く、キャンプ富士周辺でも懸念の声が上がった。  隊員の感染情報は県などに提供されず、基地のフェイ

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  • がん検診 受診控え顕著 情報基に正しい判断を【湧水】

     新型コロナウイルスの感染拡大で全国的にがん検診の受診者数が減少する中、本県でも受診控えとみられる傾向が顕著になっている。がんは早期に発見し治療につなげることで生存率を上げる可能性が高いとされる。検診控えなどにより発見が遅れ、今後進行した状態で見つかる人が増えると懸念される。コロナ禍が長期化し、がん治療が手遅れにならないよう、検診の重要性を再認識してほしい。  昨年発表された関係機関のデータで、新型コロナの急速なまん延により緊急事態宣言が初めて発令された2020年のがん検診の受診が大幅に落ち込んでいることが明らかになった。日本対がん協会によると、20年の主な5種のがん検診受診者数は全国で延べ約

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  • 下田市庁舎移転、市が新計画提示 決着へ着実な再始動を【主張・解説しずおか】

     コロナ禍での財源不足などを理由に延期された下田市の庁舎移転事業が2022年度から再び動きだそうとしている。最初の移転計画発表から10年、4人の市長が関わり、政治や社会情勢に翻弄[ほんろう]された計画は、当初のほぼ半分に規模を縮小した新築庁舎と、築40年の中学校舎を活用する形で決着を見せようとしている。  「現実的な最適解にたどり着けた」。事業の延期発表から1年3カ月、松木正一郎市長は市庁舎移転方針を説明した24日の定例記者会見で安堵[あんど]感をにじませた。  市の新計画は、伊豆急行線蓮台寺駅に近い同市河内の移転計画地に、延べ床面積2500~3千平方メートルの新庁舎を建設し、3月末で閉校する

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  • 有機茶栽培面積拡大 県が茶業振興計画案 生産力向上へ戦略急務【解説・主張しずおか】

     静岡県は茶業振興計画案(2022~25年度)で、県内の有機茶栽培面積を20年の約2倍の400ヘクタールとする方針を示した。目標到達に向け、農家の生産意欲向上につながるような生産・販売戦略づくりが求められる。  県が目標設定の参考としたのは、国が21年に策定した「みどりの食料システム戦略」だ。有機農業は化学的に合成された肥料や農薬を使わず、生物多様性の維持や環境負荷軽減につながる期待がある。国は現状1%未満の有機農業の国内耕作面積を、50年までに全体の25%まで広げる構想を掲げる。  県が有機栽培の重点品目に茶を選ぶ背景には、海外輸出の好調さがある。国内リーフ茶需要の減少傾向に歯止めがかから

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  • 焼津駅前に「こども館」効果 周辺に出店希望増 港と一体、魅力創出期待【解説・主張しずおか】

     焼津市の焼津駅前通り商店街に、にぎわい創出の兆しが徐々に見えてきた。子育て施設の開設を機に客層が変化。出店希望の相談が増えている。徒歩圏内の内港と一体化したまちづくりで、駅周辺地区に新たな可能性が広がりそうだ。  商店街はJR焼津駅南口から約400メートルの道路の両側に店舗や事務所が連なっている。一時期はシャッター街化が進んでいたが、2020年ごろから地元の若者が中心となり、空き店舗を活用した私設図書館やカフェ&ワークスペースを開設。若い人が訪れやすい下地が整ったところで、昨年夏に市がターントクルこども館を開館させると、子育て世代が立ち寄り始めるようになった。  営業店舗も増えている。21年

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  • 富士富士宮道路期成同盟会発足 早期整備へ認識共有を【湧水】

     富士市と富士宮市を結ぶ一般広域道路「富士富士宮道路」の早期実現を目的に富士富士宮道路建設促進期成同盟会が1月末に発足した。脆弱(ぜいじゃく)な岳南地域の南北交通網整備に向け、今後、要望活動が展開される。工場立地や観光地に恵まれた富士山西麓。同道路の実現は地域全体への波及効果が大きい。関係者が将来を見据え、認識を住民とも共有してほしい。  静岡国道事務所によると、現時点で富士富士宮道路の起点や終点、経路などは未確定。同事務所の資料などからは、富士市の国道1号バイパス付近から富士宮市の北山インターチェンジ(IC)までの国道139号付近の南北約16キロを結ぶことが推察される。  20~30年間の道

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  • 早生樹の木材利用 国、県の共同研究進む 新たな林業体系構築へ【解説・主張しずおか】

     林業の持続的成長に向け、静岡県の林産地ではスギ・ヒノキ以外の新たな木材の候補として早生樹への注目が集まっている。国と県による共同研究や家具材としての新たな利用に向けた調査などが進められ、民間から期待の声も上がる。産業構造の見直しが求められる中、早生樹は業界の救世主になり得るか。今後の研究と活発な情報共有が鍵を握る。  先月、天竜森林管理署と県森林・林業研究センターが、国有林での共同研究に取り組む連携協定を結んだ。中心となるのは、早生樹テーダマツの研究。全国2位の植栽量を持つ本県の強みを生かし、広大なフィールドでの研究調査を通じた知見の集積を目指す。  テーダマツはこれまでチップやパルプの材料

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  • 留学生の就職促進 プログラム委託終了へ 静岡県内、求められる継続支援策【解説・主張しずおか】

     企業と連携したインターンシップなどを軸とした年間プログラムを通じ、静岡県内の大学の留学生の就職支援を手掛けてきた産学官連携組織による事業「ふじのくに留学生就職促進プログラム」が3月末で、国の委託期間を終える。学生や関係者からは戸惑いや不安の声が上がっている。各大学や関係機関には、支援の継続を含め、実情に合わせた対応を求めたい。  プログラムは5年の委託期間で、就職説明会を開催する企業や自治体の調整役を担ってきた。留学生を受け入れる大学側には「これまでのように円滑な就活ができるだろうか」との懸念がある。事業開始以前は調整役が不在のため、試験期間中だったり、開催日程が企業・団体間で重複したりして

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  • 則本佳選手が社会人野球復帰 背中押した兄の言葉【黒潮】

     東北楽天ゴールデンイーグルス元投手の則本佳樹さん(27)がプロ入り前に所属していた社会人硬式野球チーム「山岸ロジスターズ」(島田市)に復帰した。一時は野球から身を引く考えもあったという則本さん。野球を続ける意思を固めた裏には、兄で楽天投手陣の柱、則本昂大選手のある言葉があった。  則本さんの武器は多彩な変化球だ。山岸ロジスターズ加入後も5種類以上ある変化球を武器に、打たせて取る投球術でアウトを積み重ねた。活躍がスカウトの目に留まり、2018年のドラフト会議で楽天から育成2位指名を受け、入団。悲願のプロ入りだった。  目標は支配下登録。ただ、プロの壁は想像以上だった。“則本昂大の弟

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  • 伊東のブランド 市民全体への波及期待【湧水】

     伊東市の観光協会や交通・旅行事業者などが観光庁の事業採択を受けて、市民に地域資源や魅力を再認識してもらい、意識の共有を図る「インナーブランディング」の取り組みを進めている。新型コロナウイルス禍で観光産業の在り方そのものが見直される中、長期的な視座で、新たな時代に即した観光地としての地位を確立していってほしい。  活動の軸になるのは、市の観光事業者や市民団体の関係者らでつくる市ブランド研究会が作製した観光ブランドブック。研究会は市の観光をブランドとして磨き上げ、市民の宝物として次世代につなぐために2019年に発足した。56ページの冊子に、市の成り立ちから歴史を追って地域資源をまとめ、共通シンボ

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  • コロナ後の浜松中心街 胸躍り歩き回れる街に【風紋】

     昨年のクリスマスに浜松市の中心街で久々に行われた餅まきイベント。地元の住民や親子連れが餅や菓子をつかみ取ろうと手を伸ばし、笑顔あふれるひとときを過ごした。夜に街中を歩けば、日付が変わった深夜にも多くの人が行き交い、華やかな雰囲気に包まれていた。  長引くコロナ禍で人通りの少ない街中が続いていたため、12月はわくわくした。新型コロナウイルスによる影響が小さくなれば、こんなにもにぎわいが変わるのかと驚いた。  中心街では有楽街に建つ浜松松竹ビルが改修されることが決まった。東京都内の不動産コンサルティング会社の関連会社がビルを取得し、主に飲食店が入居しやすいように早ければ今春にもリノベーションを始

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  • 静岡市の人口減少「70万人維持」撤回 子育て支援策が不可欠【解説・主張しずおか】

     静岡市の人口減少に歯止めがかからない。2020年国勢調査では政令市の目安とされる70万人の大台を割り込み、市は総合計画で掲げる「25年に人口70万人維持」の目標を23年度からの次期計画に盛り込まない方針だ。人口減対策に特効薬はなく、目標撤回はやむを得ないが、中長期を見据えて若者や子育て世代への支援策を強く打ち出していく必要がある。  20年国勢調査(確定値)によると、静岡市の人口は69万3389人で、5年前の前回調査から1万1600人(1・6%)減った。減少数は県内35市町でワーストで、全国の市町村でも13番目に大きかった。  とりわけ懸念されるのは若年層の流出だ。進学や就職を機に首都圏など

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  • タブレット活用の悩み相談 対応力磨き機能発揮を【風紋】

     掛川市教委が導入した児童生徒向け悩み相談システム「こころの相談ノート」は、運用開始から1カ月が経過した。年末年始を挟み、寄せられた相談は150件以上。相談に踏み切る心理的なハードルをデジタル技術で引き下げた好例だ。機能を十分に発揮するために、個別の悩みに寄り添う対応力が試されている。  システムは2021年12月10日に運用が始まった。1人1台配備のタブレット端末のホーム画面にアイコンを配置して、勉強と家庭、いじめ、身体、その他の5項目から相談内容を選択・入力していく仕組み。さまざまなケースを想定し、匿名入力や相談相手の指名を可能とした。  外部委託に頼らず、ウェブ上のアンケート作成・管理ソ

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  • 下田市の広域ごみ処理計画対応 詳細説明で市民の信頼を【湧水】

     下田市と南伊豆、松崎、西伊豆の各町が進める南伊豆広域ごみ処理計画は2021年9月、焼却施設の建設候補地を下田市清掃センターの敷地とする基本構想がまとまった。この構想に同市の一部市民でつくるグループが懸念を示し、市に公開質問状を提出している。市はごみ処理を巡る現状をデータとともに丁寧に説明してほしい。  事業の再考を求める市民グループは21年11月までに3度、市に質問状を提出している。質問内容は主に①中学校や認定こども園がある候補地周辺の環境への懸念②ごみの再資源化への取り組み-を挙げる。  現在の市清掃センターは1982年に完成した。周辺には84年に現在地に移転した下田中や、2014年に開園

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  • 牧之原市 脱炭素推進に市民の理解促進不可欠【黒潮】

     昨年、2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにすることを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言した牧之原市。杉本基久雄市長は7日の定例記者会見で、今年の一文字として「脱」を掲げ、脱炭素社会実現に向けた取り組みをさらに加速させる意志を鮮明にした。目標達成のためには市民らの協力が不可欠となる。脱炭素に対する意識を共有し、一体となった施策の実現に期待したい。  国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は昨年、報告書を発表し、異常気象を引き起こす要因となる温暖化について人類が放出した温室効果ガスに原因があることに「疑う余地がない」と断じた。市内でも同5月、竜巻とみられる突風が複数箇

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  • 伊東商業高ビジネスプラン 地域課題解決へ高評価 地元起業人、育成に期待

     伊東市の伊東商業高が地域課題の解決に向けたビジネスプランの発案で、高い評価を得ている。生徒たちがプランを考え、地元企業などと連携して新商品開発につなげる活動は、地域の将来を担う人材の育成を見据えている。高校生の発想を現実のまちおこしに取り入れながら、地域で若い可能性を育んでほしい。  プランの考案は、3年生が選択で取り組む課題研究「生活に役立つ経済学」で実践してきた。2014年度から始まり、21年度は13人が受講。宿泊施設を起点とした商店街の活性化策、地元産トマト「アイランドルビー」の活用策、廃棄木材に着目したスキンケアアイテム製作の3プランが形になった。いずれも地域の事業者や団体の協力で実

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  • コロナ後の観光戦略 新たな生活様式に活路【風紋】

     静岡県東部から両親が浜松市を訪れたため、西区の舘山寺温泉街を案内した。ロープウエーに乗って大草山から浜名湖の絶景を楽しみ、舘山寺に参拝した後、正午前に温泉街のウナギ料理店を訪れたところ、既に50分前後の待ち時間になっていた。新型コロナウイルスの感染拡大以降、緊急事態宣言下などに取材で何度も温泉街に足を運んだ身としては、観光客が少しずつ戻っているのを実感した。  2020年度の同市の観光交流客は977万7982人で前年度から半減し、07年の政令市移行後で最も少なかった。日常生活が戻り始め、21年度は増加に転じると期待されるが、コロナ前の水準にまで回復するのは難しいとみられる。  最大の理由は訪

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  • 地元舞台の大河ドラマ開始 長期視点で客受け入れを【湧水】

     伊豆の国市ゆかりの鎌倉幕府第2代執権北条義時が主人公の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放映が始まった。市内外に関連のある史跡が点在し、15日には作品の世界観を伝える大河ドラマ館がオープンする。関係者は「全国から注目されるまたとない好機」と期待を膨らませる。新型コロナ感染拡大の影響がちらつく中、単発で終えるのでなく、長期的な視点でファンやリピーターの獲得につなげたい。  大河ドラマ館は同市の韮山時代劇場に設置される。ドラマ内で使用した衣装や小道具の展示に加え、地元ガイドが常駐して市内の関連史跡を紹介する特別企画展示「義時の里」や、地場産品を中心に約250品を販売する物産館も整備した。それぞれの事

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  • 函南メガソーラー条例 適用巡り割れる見解 事業「起点」施行前か後か【解説・主張しずおか】

     民間企業が進める函南町軽井沢の大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設事業で、設備の設置を規制する町条例の適用を巡り町と一部住民の見解が食い違っている。論点は事業の起点が条例施行の前か、後か。建設反対の立場は同じだが、施行前に動きだした当初計画への適用に難色を示す町に対し、条例を改定して全面適用を求める住民の動きも出始めた。  条例が適用されると、業者は町長の同意なしに設備の設置が禁じられる。電力の固定買い取り制度(FIT)は法令順守を前提とし、業者が条例に違反すれば経済産業省から認可を取り消されかねない。町は事業への「不同意」を示しているため、条例適用が事業の阻止につながるとの見方は強い。

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  • 成年年齢引き下げ 成人式 再考の機会に【黒潮】

     来年1月3日、静岡市の成人式がグランシップ(駿河区)で行われる。民法上の成年年齢を18歳に引き下げる改正民法の施行を2022年4月に控え、今回が最後の20歳の成人式だ。市は23年も20歳を集めた式典を行うとしているが、全国では自治体によって対応が分かれる。漫然と継続するのではなく、成年を祝福する意味を捉え直す機会にしたい。  自治体単位での「成人式」という行事は、1949年に国民の祝日「成人の日」が始まったことを機に全国で広まった。条文によれば「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」ことが趣旨という。同年1月13日付の本紙コラム大自在は困惑する世間を紹介しつ

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  • 浜松湖西豊橋道路ルート決定 変わるまちの姿に関心を【風紋】

     東名高速道三ケ日ジャンクション(JCT)と三河港(愛知県豊橋市)を結ぶ自動車専用道「浜松湖西豊橋道路」について、湖西市北部を通るルートが11月に決定した。インターチェンジ(IC)は同市太田付近などに設置する方針。まちの活性化の好機と捉え、地域で議論に向けた準備を始めてほしい。  国土交通省中部地方整備局が三つのルート案の中から選んだのは、湖西市の新所原市街地北側を通る最短の「西側ルート(約26キロ)」。ICは同市のほか、浜松市北区三ケ日町と豊橋市の計5カ所の設置を検討する。予定するIC周辺には自動車関連などの工場が多いため現道の渋滞解消が見込まれ、防災拠点や観光圏域へのアクセス向上も期待され

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  • 沼津市内浦の憩いの場 再起へCF 地域が活気づく拠点に【湧水】

     沼津市内浦重寺で11月に起きた火災で全焼した駄菓子屋兼飲食店「とらちゃん」。地域住民の憩いの場を復活させようと、クラウドファンディング(CF)による資金調達に乗り出した。CFを通じて地域の絆を強め、内浦を多くの人に知ってもらう機会につなげてほしい。  「とらちゃん」店主の石津太雅さん(45)は高知県から地域おこし協力隊として約4年半前に内浦地区に移住した。地域住民との交流を深め、地域の人に恩返しする場として、「親戚のお兄ちゃんの家」を目指して開店した。昼は駄菓子屋、夜はバーとして2019年9月に開業し、次第に地域に浸透。年齢を問わず住民に愛されていたという。  火災は突然だった。11月11日

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  • プレ葉ウォーク浜北 大改装、直営面積拡大 商業施設間競争、一層激しく【解説・主張しずおか】

     総合スーパーのユニー(愛知県稲沢市)が11月、浜松市浜北区で運営する商業施設「プレ葉ウォーク浜北」を大規模改装した。直営の売り場面積を従来比2割増の約1万2900平方メートルに拡大した。人口が増加傾向の同区周辺には競合店がひしめく。プレ葉の改装により、商圏内の競争は一層激化しそうだ。  プレ葉は2008年、約150店で構成する施設としてオープンした。今回の改装で、1階は生鮮4品(青果・鮮魚、精肉・総菜)を中心に食料品を1割増強。人気のアウトドアブランドを展開する「グリーンステージ」や、韓国コスメを新たに取り扱う化粧品の「ビューティーテラス」なども導入した。持ち家があり、趣味などに敏感な「ニュ

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  • 空き家狙った侵入盗 被害防止へ管理徹底を【風紋】

     空き家の増加が社会問題になる中、全国各地で空き家を狙った侵入盗事件が発生している。住居と比較して見つかるリスクが低く、県内で捕まった窃盗犯の中には空き家をいくつも探して、侵入していた例もあった。放置が続けば犯罪の拠点になる可能性もあり、適切な管理が求められる。  浜松市中区の住宅街にある2階建ての空き家が7月、侵入盗の被害に遭った。勝手口のドアを壊され、一眼レフカメラやレンズを盗まれた。近くに住む所有者の60代男性は「周辺に街灯はあるし、夜間の交通量もそこそこ多い場所なのに…」と肩を落とした。空き家はもともと男性の実家。盗まれたカメラは亡くなった父親の遺品だった。生前、写真撮影

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  • 富士宮市議会再出発へ 存在意義 示せるか鍵【湧水】

     「ようやく一歩踏み出した」-。富士宮市議会11月定例会の初日、小松快造議長はそう、力を込めた。わいせつ事件や議長選に絡んだ贈賄申し込み事件で現職市議3人の摘発に揺れた市議会は、補選で新議員5人を迎えて再出発を目指す。政治倫理条例の制定や議員定数削減を巡る議論が進む中、この町における議会議員のあるべき姿や存在意義をいかに市民に見せていけるかが鍵となる。  元議長の逮捕・辞職などに伴い10月24日に投開票が行われた市議補選で街頭演説を見つめた市民からは市議会に対し「不信感がぬぐえない」「誠意を見える形で示してほしい」などと厳しい声が上がった。約2800票が無効票だったことの意味は重い。11月25

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  • 島田市版「ネウボラ」 担当保健師制3年目、母子支援で成果

     フィンランドの母子保健システム「ネウボラ」を参考に、島田市は、生まれてくる全ての子どもとその世帯に担当保健師を付ける「島田市版ネウボラ」に取り組んでいる。核家族化に加え、新型コロナの影響もあって育児に悩む保護者の孤立は大きな課題。妊娠期から保健師と顔の見える関係を構築する同市の実践例は、効果的な母子支援のヒントとなりそうだ。  島田市は2019年度の母子手帳交付から担当制を開始した。市内を2ブロックに分けてリーダー保健師を置き、経験の浅い保健師もチームで支える。新生児訪問に加え、これまで生年月日で来所日を決めていた7カ月児相談、1歳6カ月児健診などの仕組みを見直し、常に担当保健師が母子や父親

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  • 焼津市第2期基本計画 新たな日常へDX推進【黒潮】

     焼津市の第6次総合計画(2018~25年度)の第2期基本計画(22~25年度)が示された。今回の特徴は、各施策の横断的視点を入れた点。なかでも「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」は、別立ての施策としても盛り込んだ。コロナ禍でテレワークやリモート会議は職場や家庭で進んだ。行政サービスはもとより、教育、産業など各分野でDXを加速し、アフターコロナをリードしてほしい。  第2期基本計画の審議会の議論は新型コロナ感染拡大の状況にあった4月に始まり、11月中旬に中野弘道市長に答申した。計画で盛り込まれた「健康・医療・福祉」「子育て・教育」「産業・観光」など六つの政策と21項目は立案するに

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  • 富の東京集中 地方都市の権限強化を【風紋】

     コロナ禍で東京と地方都市の経済力の差が広がっている。11月上旬、全国20政令市長が加盟する指定都市市長会の部会で、日銀や日本政策投資銀行の統計を基に地方の厳しい現状が協議された。地方の経済圏を守るには核となる大都市の力の強化が必要だ。  企業の設備投資額の都道府県別割合は、2019年度と21年度の計画値を比較して東京は23%から28%に伸びた。コロナ後を見据えた投資の兆しが東京で最も顕著になっている。  全国の一般預金残高の総額に占める都道府県別の割合は、16年7月から21年7月にかけて東京は31%から33%へ増えた。他の道府県は相対的に低下か横ばい。地方が疲弊する半面、都内では大企業が業績

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  • 沼津の魅力 再認識し発信を “よそ者”の存在が貴重【湧水】

     沼津市の市街地などを流れる狩野川。川沿いでは、平日の早朝はジョギングや犬の散歩、昼は休息する勤め人が多く見られ、週末には、ボートの練習のほか、自粛していたイベントが再開しつつある。20日は狩野川花火大会の代替イベントが開かれ、2年ぶりの“復活”に多くの市民が歓声を上げた。狩野川は市民にとって癒やしの場となっているのを改めて感じた。  市内には無限の魅力がある。見上げると富士山がそびえ、南には駿河湾、隣接する伊豆半島と箱根西麓には雄大な自然が残る。山と海、有数の観光地など日本一と表現できる素材がいくつも存在する。これらの恵まれた環境は地域を売り込む際の大きな武器とも言え

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  • 掛川市の副市長公募 全国から1498人 民間登用で改革加速、採用に試される目利き力【解説・主張しずおか】

     静岡県内で初めて副市長の民間公募に踏み切った掛川市で、選考作業が進んでいる。10月18日~11月14日の募集期間中、全国から1498人の応募があった。公募の副市長が担うのは、スピードと柔軟性を備えた市政改革。人事が行政運営の中枢に与える影響は大きく、採用に当たる市の目利き力が試されている。  新たな副市長が決まれば、来春以降は副市長が2人体制になる。現任の高柳泉副市長が予算や人事など内部管理業務を担い、公募副市長は広報やデジタル技術による変革「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の強化に注力する。分業化で改革を加速させる狙いがある。  公募では、人材サービス大手エン・ジャパン(東京)と

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  • 島田市のLINE活用 多面的な効果を生かせ【黒潮】

     島田市がコロナ禍の経済対策として開始した無料通信アプリ「LINE(ライン)」の公式アカウントを使ったクーポン配信事業が好評で、11月末まで第3弾が行われている。同アカウントの友達登録数は市外在住者を含めて8万4975人(21日現在)。県内の大半の自治体が公式アカウントを開設する中で人口規模(10月末現在で9万7106人)を考えると突出して多く、行政の情報発信ツールとしての効果も高まっている。  LINEクーポンは紙の商品券を使わず、大型店に利用が偏ることを防ぎ、過去2回の事業では個店の売り上げアップやPR、地元経済の循環につながった。多くの人に使ってもらうことを優先し当初は必須としなかった居

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  • 伊豆山の復興計画 被災者の生の声反映を【湧水】

     26人が死亡し、依然として1人が行方不明になっている熱海市伊豆山の大規模土石流は、発生から5カ月近くが経過した。主要な生活道路が復旧し、伊豆山小での教育活動も再開した。日常を取り戻しつつあるように見えるが、心に傷を負ったまま現実に向き合えない被災者は少なくない。市が本年度中に策定する復興計画は、安全安心な地域づくりだけでなく、傷ついた住民を支える指針としても重要な役割を担う。  「まだ本気で泣けていない」「本音が語り合える場がほしい」。今月中旬、地元のボランティアらの会合で、市伊豆山ささえ逢(あ)いセンターの担当者は、被災者から聞いた生の声を報告した。  同センターは、市内外の応急仮設住宅で

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  • 影潜めた原発議論 国と立地市、橋渡しを【風紋】

     10月の衆院選の静岡3区で当選した立憲民主党の小山展弘氏(45)と、比例復活を果たした自民党の宮沢博行氏(46)。中部電力浜岡原発が立地する御前崎市での街頭演説で、小山氏は「1回だけ触れさせていただきたい」、宮沢氏は「浜岡の皆さんにはきちんと申し上げなければならない」と、それぞれ前置きして原発に関する持論を語った。  神妙な口調に思わず耳をそばだてたが、いずれも「住民の皆さまの意見に寄り添う」「エネルギーをどう選択するかを国民に問う」など、内容は具体性に欠けた。  衆院選で各政党は脱炭素社会の実現を目標とする一方、原発の活用に関しては与野党で考えが分かれた。立民は党綱領に「原発ゼロ社会」をう

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  • 新型コロナワクチン接種 静岡市、3回目は着実かつ効率的に【解説・主張しずおか】

     静岡市は、新型コロナウイルスワクチンの接種を希望する12歳以上の市民への2回の接種を11月上旬までに終了した。最終的には国の接種率を上回り、県にも追い付いた同市だが、長らく1回目の遅れを取り戻せず、同じ県内の政令市である浜松市にも大きく差を開けられた。原因の分析と反省を踏まえ、3回目接種は着実かつ効率的に実施してほしい。  静岡市は7月末までの完了を目指していた高齢者の接種完了が後ろにずれ込み、一般接種に影響を引きずった。7月中に全年代に一斉に接種券を発送したものの、49歳以下の予約が始まったのは約2カ月後。接種を待つ市民からは不満の声が多数上がった。  接種加速を図るため、モデルナ製の使用

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  • 選択的夫婦別姓制度 若い感覚 選挙で反映を【黒潮】

     10月に行われた衆院選では、選択的夫婦別姓制度について、導入に慎重な自民党を除く主要政党のほとんどが制度の実現を公約に盛り込んだ。夫婦の姓に関する決まり事が、一部の関心事でなく、ジェンダー不平等を象徴する課題として認知され始めたように思う。  選挙に合わせ、夫婦別姓を望んだため事実婚を選んだという三島市在住の夫婦に話を聞いた。意外だったのはその理由が、妻の側も「家を継ぐため」ということ。男兄弟のない旧家の長女で、必要があったという。少子化が進む中、こうした状況は珍しくないだろう。  この夫婦の事情を聞くと、導入反対論で語られる「日本の伝統的な家族観が壊れる」という懸念には疑問符が付く。彼女の

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  • 元「山の神」の神野 浜松の陸上界けん引を【風紋】

     まだ薄暗い早朝の浜名湖畔。かつて「山の神」と称され名をはせたランナーの姿があった。2時間ほどの練習を終えると、「都心と違い信号も少なくスピードを出せる。市民にも声をかけてもらえ、やりがいを感じています」。表情に充実感がにじんだ。  ランナーは神野大地さん(28)。2015年の箱根駅伝往路5区で圧倒的な走りを見せ、青山学院大に初優勝をもたらした。山登り区間での快走から、今井正人さん(元順大)、柏原竜二さん(元東洋大)に続き、「3代目山の神」の異名をとり、現在はプロランナーとしてマラソンで五輪を目指している。  神野さんが浜松市に拠点を移したのはこの4月。以前から指導を受けていたロンドン五輪代表

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  • 構図一転の松崎町長選 確かな目で見る選挙に【湧水】

     任期満了に伴う松崎町長選が23日に告示される。現職の長嶋精一町長(70)が15日に急きょ出馬を断念し、新人同士の一騎打ちになる見通し。現町政の評価を問う選挙から一転し、「明確な争点がなくなった」との声が聞かれる。確かにその感は否めないが、候補者の訴えに耳を傾ける必要性が高まったとも言える。貴重な一票を誰に託すべきか、有権者はじっくり考えたい。  立候補を予定するのは元町議の藤井要氏(70)と元町職員の深沢準弥氏(54)。藤井氏は少子化対策に力点を置き、遊び場の整備などを訴えるとみられる。深沢氏は民間と連携したまちづくりや防災などに注力するとしている。選挙戦に目を凝らせば、町民一人一人にとって

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  • 磐田・遠江国分寺跡 半世紀ぶり再整備 遺産価値の認識向上を【解説・主張しずおか】

     磐田市の国指定特別史跡「遠江国分寺跡」で、約半世紀ぶりの再整備が本格的に始まった。2025年度末の終了をめどに、建築物の土台部分を木で覆っていた「木装基壇[きだん]」の復元などを進める。県内では登呂遺跡、新居関跡とともに最高位の国の特別史跡に指定される一方で、有形物が無く、古代の姿を想像しづらい側面があった。整備と並行し、市が誇る歴史遺産との認識をいま一度醸成する取り組みも必要だ。  遠江国分寺は約1300年前の奈良時代、疫病流行などで不安定だった世の平安を願い、聖武天皇の命で全国60カ所以上に造られた国分寺の一つ。JR磐田駅北口から約1キロと徒歩圏内で、市役所に近接する。1923年に国史跡

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  • サクラエビ秋漁が解禁 地域の成長余力生かせ【黒潮】

     駿河湾サクラエビ秋漁が解禁し、大井川港で10月28日夜にあった初水揚げを取材した。漁船から降ろされる半透明の魚体は美しい。自然の神秘を感じる瞬間だ。  2018年秋漁の全面休漁以降、漁業者は漁獲自主規制に取り組んでいるが、資源量は思うようには回復していない。ことしの秋漁解禁以降、主産卵場の湾奥で由比・蒲原地区(静岡市清水区)の80隻が資源調査を複数回行ったが、魚影は見当たらない。  ことしの春漁終盤で湾奥に群れが確認できたことなどから、県は「回復の初期段階」とする。しかし、最盛期の1960年代後半に比べ60分の1まで減った昨年の漁獲量を見れば、由比・蒲原地区と大井川・小川地区(焼津市)の計1

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  • 「ジュビロ飯」開始 資源生かし経済活性を【風紋】

     磐田市とサッカーJリーグ2部(J2)ジュビロ磐田、静岡産業大、農林環境専門職大、磐田商工会議所の5者が10月、「ジュビロ飯」と称した事業を開始した。産学官連携で、地場産品を取り入れた健康づくりに役立つ献立と、運動プログラムを提供する。食とスポーツで市民の健康増進を目指すと同時に、市内企業と連携したメニューの開発・販売を通じ、新型コロナウイルス禍で落ち込む地域経済の活性化につながるよう期待したい。  新型コロナは世界経済に大打撃を与えた。市内企業にも影響が出ている。市が昨年12月にまとめた企業実態調査報告書によると、コロナ禍以前の3カ月と、直近3カ月の売り上げを比較して、6割以上の店舗・事業所

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  • 富士市、被害情報集約システム導入検討 災害対応迅速化へ熟慮を【湧水】

     富士市は災害発生時に被害状況をいち早く把握するため、複数台の小型無人機「ドローン」を同時に使用するシステムの導入を検討している。現場からの中継映像を災害対策本部で即座に分析でき、本部での情報処理の労力削減や指示の迅速化が期待される。だが、システムの肝となる通信が停止した場合への備えが欠かせない。  同市は災害用にドローンを持たず、民間2団体の機体が出動する態勢を構築する。市の要請を受けた操縦者が災害現場に接近してドローンを飛ばし、撮影された空撮映像を市職員が災害状況の把握や救助活動に必要な情報分析に役立てる。  現在の運用では、映像は搭載した記録媒体に保存され、映像を見るにはドローンを回収し

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  • 浜松市の家庭ごみ有料化 なぜ必要か説明明確に【風紋】

     浜松市環境審議会は、鈴木康友市長から諮問を受けていた家庭ごみ有料化について「ごみ減量に有効な施策」と答申した。市は今後も市民に意見を聞き、有料化の可否を判断する。コロナ禍で家計が厳しい世帯もある中で今なぜ必要なのか、明確な説明が求められる。  「政令指定都市の平均を上回る量のごみが出ています」。市広報紙6月号に掲載した有料化検討の特集記事で、市はごみ減量を喫緊の課題と強調した。2014~19年度の市民一人1日当たりの家庭ごみ排出量は487~499グラムで、各年とも20政令市平均を上回る。  市は18~20年度、自治会と協力し「ごみ減量天下取り大作戦」を展開。生ごみの水分を絞り、雑紙を分別する

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  • 「旅するチョウ」児童が研究 地域越えた交流に期待【黒潮】

     藤枝市岡部地区にある朝比奈第一小の児童が「旅するチョウ」として知られるアサギマダラの研究を進め、地域を巻き込んだ活動に発展させている。子どもたちが昆虫の生態だけでなく、さまざまな関係者と交流を深めることにも期待したい。  アサギマダラは東アジア原産のチョウで、黒や茶色にまだら模様がある美しい羽が特徴。2千キロ超の距離を移動し、暖かい場所に南下する秋ごろには日本から海を渡って台湾や香港などに到達する個体もいるという。一方、詳しい飛行ルートなど、謎に包まれている部分も多いとされている。  同校近くの「玉露の里」で、好物のフジバカマの蜜を求めてアサギマダラが集まっていたことをきっかけに、昨年度に研

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  • 長泉町議会に女性議員復活 政治参加の機運醸成を【湧水】

     9月の長泉町議選で16年ぶりに女性町議2人が誕生した。男性中心の町議会に新しい風を吹かせてほしい。「子育ての町」とも呼ばれる長泉町だけに、子育て現役世代の女性が政治に参加しやすい環境を整備し、さまざまな町民の思いを町政に反映できる機会につながるよう期待したい。  2人が出馬を決めたのは、5月に開催した女性議会への参加がきっかけ。町議会が議会の女性不在に危機感を抱き、10年ぶりに企画した。公募で集まった町内在住女性9人が模擬の一般質問に臨み、町幹部が答えることで、町の状況や予算の使い方などを実感し、町政への理解を深める場になったという。  今回選では、子育て世代の女性による自主的な動きもみられ

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  • 水中ドローン港湾点検 事業化に期待【解説・主張しずおか】

     静岡商工会議所の外郭団体「新産業開発振興機構」(理事長・藤田綾子同商議所副会頭)が、水中ドローンを使って人手が足りない港湾設備などの点検作業を行う新ビジネスの創出を目指すプロジェクトを進めている。実験を通じてドローンによる点検の有効性を実証し、事業化につなげてほしい。  同機構が9月、清水港の港湾設備の点検作業実験を本格的にスタートさせた。国土交通省の「海の次世代モビリティの利活用に関する実証事業」に採択され、交付された補助金約500万円を活用する。  ドローン製造販売「フルデプス」(東京都)の遠隔操作型無人潜水機(ROV)と呼ばれる水中ドローンで、潜水士の作業の一部である目視検査や撮影を

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  • コロナ禍の危機管理 心に寄り添う行政を【黒潮】

     新型コロナウイルス第5波を巡るワクチン接種や経済活動の再開に向けた取り組みを取材し、「行政は心に寄り添い、応える存在であってほしい」という思いを新たにした。  「『この街に住んだばかりに』と不幸に感じた」  静岡市に住む育児中の女性(39)の言葉は痛烈だった。女性は家庭内感染を避けたい一心で早くワクチンを打ちたかったが、予約すらできず、ひどくいら立ったと明かした。  確かに静岡市の接種は浜松市など他市町と比べ遅れ、初期のつまずきを挽回できずに夏場を迎えた。国内の接種は欧米より約2カ月遅れて始まり、「せめてわがまちは速やかに」という願いに応えられなかった。  「不幸」という感情を抱かせてしまっ

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  • 選挙の低投票率 着目点は人それぞれ【湧水】

     選挙の度に候補者の政策、主張の違いに着目する。いわゆる「争点」を求め、有権者に分かりやすい構図を示すのがメディアとしての仕事でもある。ただ、今回の参院補選や衆院選のように目立った争点が見えにくいケースは多い。それでは有権者は何に注目して投票するのか。政策や主義主張はもちろん、声、姿、立ち振る舞いなど、あらゆる角度から候補者を眺めてみてはどうだろうか。  国政選挙では、国全体の政策から地域の課題解決まで主張は多岐にわたる。それだけ幅広い仕事を担うのが国会議員の仕事であるのだが、国や地域を良くしたいと思うのはどの候補も同じだろう。考え方に違いはあっても、それが有権者には伝わりにくい。  先日、裾

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  • 粟ケ岳市道事故 観光振興と安全、両立を【風紋】

     大きな茶文字で知られる掛川市東山の粟ケ岳(標高532メートル)は秋の行楽シーズンを迎え、多くの観光客が訪れる。その中で懸念されるのが、山頂へ続く市道の混雑。昨年3月から物損事故が8件発生し、8月には山頂付近でバイクと車が正面衝突する重傷事故が起きた。コロナ禍でアウトドア需要が高まる中、観光客の安全対策が急がれる。  2019年、山頂に粟ケ岳世界農業遺産茶草場テラスが完成し、車で訪れる観光客が増えた。市道は車がすれ違える場所が少なく、カーブが多い。市は側溝にふたを付けるなど幅を広げているが依然として狭く、週末は渋滞することもしばしば。特に混雑する連休などは交互通行を実施しているが、毎週末は行っ

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  • 妊娠SOS相談 適切な支援、社会全体で【解説・主張しずおか】

     思いがけない妊娠に悩んだり、出産に迷ったりしている女性が匿名で電話やメールで相談できる「妊娠SOS相談」。静岡県内は10年前から、県と浜松市が妊娠SOSの看板を前面に出す。命に関わるデリケートな悩みを一人で抱える女性は絶えない。適切な支援にどうつなげるか、関係者の模索が続く。  窓口開設のきっかけは、厚生労働省が2011年にまとめた児童虐待に関する通知。生後間もない虐待死事例は、妊娠が計画外だったために周囲に相談できないまま妊娠を継続してしまったケースが多い。最悪の事態を防ぐには妊娠期からのケアが重要と同年に浜松市、12年に県が窓口を開設した。  県の窓口は県助産師会が業務を受託し、週2回実

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  • テレワーク、市民にも利点 コロナ収束後も継続を【風紋】

     業務生産性の向上、新規雇用・離職防止、社員のワークライフバランスの向上、コスト削減-。  新型コロナウイルス感染拡大の影響で導入が進むテレワーク。浜松市がその関連情報をまとめたポータルサイト「ハマリモ」には、テレワークの効果が列挙されている。  実際にテレワークを推進する自動車部品メーカー「ソミック石川」グループのソミックマネジメントホールディングス(浜松市南区)では、テレワークの場所として9月から市内のコワーキングスペースを法人契約した。働く場所の選択肢が増え、社員からは好意的な声が上がる。駐車場の場所探しなど、従来の出勤における当たり前が思いの外、時間浪費やストレスになっていたことに気付

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  • 静岡市上水道更新工事 深刻な人手不足、遅滞招く【黒潮】

     静岡市の上水道管入れ替え工事が、入札不調などにより遅滞している。入れ替えは老朽化による更新と耐震化を目的としたもので将来的な漏水事故や災害時の深刻な断水を防ぐために必須だが、建設業界全体の全国的な人手不足や工事の高い専門性、配管技術者の高齢化など多くの問題が立ちはだかっている。  市は2015年度から、「本管」とよばれる市内約2600キロの上水道管を年間平均30キロのペースで更新する計画を進めてきた。水道管は耐用年数の推定から約80年に1度更新する必要があり、また工事を短期間に集中せず平準化するためだ。市内の水道管の多くは1960年代から70年代始めの高度経済成長期に敷設していて更新時期が迫

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  • 御殿場市12年ぶり新市長 将来像提示と対話に期待【湧水】

     3日に投開票が行われた御殿場市長選で、元副市長の勝又正美氏(66)が初当選し、就任した。辞職した前市長の事実上の後継者として出馬し、陣営の規模で相手候補を大きく上回りながら、票差はわずかだった。当選翌日に自身が語った「市民全員のため」の市政運営を期待したい。  静岡新聞社が期日前投票期間中に実施した出口調査で、前市長の市政運営を「評価する」「どちらかといえば評価する」と答えた有権者は約7割に達した。しかし、市長選全体の勝又氏の得票は有効投票の51・7%だった。長引くコロナ禍で閉塞(へいそく)感を抱く有権者が、「刷新」を掲げた相手候補に期待を寄せていた結果とも考えられる。  その上で、勝又市長

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  • J3沼津が連携活動 東海地域で防災力強化【解説・主張しずおか】

     サッカーJ3アスルクラロ沼津が、地域住民や行政、企業、学校などと3者以上で協働して地域課題の解決を目指すJリーグの社会連携活動「シャレン!」に取り組んでいる。南海トラフ巨大地震への備えの大切さが叫ばれる中、地域と共存する団体として防災力強化に注力する。他のクラブとの連携を強め、サッカーという競技にとどまらない地域活性化につなげてほしい。  J3沼津の活動の柱は、東海地域6クラブが連携して地域住民の防災意識を高めるプロジェクト「ソナエル東海」。J3沼津が地元自治会や沼津市と連携し、子ども向け防災マップを制作したことをきっかけに2020年9月に始まった。  J3沼津はサポーターらでつくる「全力防

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  • 静岡市のふるさと納税戦略 共感呼ぶ取り組み期待【黒潮】

     静岡市がふるさと納税の寄付額増加に向け、返礼品の拡充に本腰を入れている。過熱する自治体間競争とは一線を画してきたが、財政が硬直化する中で自主財源の確保を目指す。地域資源をアピールする好機と捉え、市のファンを増やすために知恵を絞ってほしい。  今年7月、民間事業者から初めて返礼品を公募した。条件をクリアした359品目を採用し、738品目へとほぼ倍増させた。缶詰やマグロ、お茶など市を代表する地場産品の種類を増やし、「安倍川もち」「とろろ汁」といった名産品も新たに加えた。現在は第2弾の公募を受け付けている。  市が返礼品の導入を始めたのは2015年度。当初、過度な返礼品競争とは一定の距離を置いてい

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  • 裾野市の行財政構造改革 市民理解へ説明丁寧に【湧水】

     裾野市は、財政調整基金(財調)に頼った財政体質からの脱却に向け、新たな行財政構造改革計画をまとめた。ただ、数値目標が示されないなど、物足りなさを感じた。実効性を高めるため、進捗(しんちょく)を検証できる具体的な目標を設定し、市民の理解を得られるよう丁寧な説明を進めてほしい。  市は2月、独自の財政非常事態宣言を発令した。市の貯金に当たる財調の取り崩しなどの要素を除いた実質単年度収支は12年連続赤字。このままでは財調が数年後に払底するとの懸念から宣言に踏み切った。  財政力指数は08年度に1・60と全国で上位だったが、20年度は0・99まで低下した。歳入を見ると、リーマン・ショックを皮切りに法

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  • 治山の改善や強化 官民一体で在り方 再考【風紋】

     浜松市が進める行政区再編で、市議会特別委員会と市は各区で住民への中間報告を行っている。単独で残ることになった天竜区の多くの住民に共通する願いは、区により強い権限を持たせ、ワンストップで迅速に地域の諸課題を解決する体制の構築だ。そして、行政システムの在り方と同時にたびたび耳にするのは、治山事業の強化を求める声だ。  浜松市は面積の66%を森林が占める。天竜区にはスギやヒノキをはじめとする樹木が立ち並び、日本三大人工美林の一つに数えられる「天竜美林」を構成する。地域の木材を加工した天竜材は市内の小中学校や金融機関などのほか、東京五輪の競技会場でも使われ、その用途は広がりを見せている。  さまざま

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  • ボトルキャップ回収通じ就労創出 環境と福祉の連携モデルに【解説・主張しずおか】

     浜松市内で、ペットボトルのキャップ回収を通じた障害者就労支援の取り組みが地道に進められている。コロナ禍の影響もあり、企業の障害者雇用環境は依然、厳しい状況が続く。ただ、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)への関心が少しずつ高まる中、環境、福祉という複数の課題の改善につながる「環福連携」のモデルとして注視したい。  浜松市東区の「昭栄商会」は主に輸送機器や楽器メーカー向けの部品、材料を取り扱う総合商社。リサイクル製品事業の一環で2010年、ペットボトルキャップによる障害者の就労機会創出に乗り出した。同社が回収した使用済みのプラスチック製品を新たな製品材料として販売するマテリアルリサイクル

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  • 川根本町議選 無投票 定数の見直し検討を【黒潮】

     9月28日に告示された川根本町議選(定数12)は現職8人と新人4人以外に立候補の届け出がなく、無投票で新町議が決まった。旧中川根町と旧本川根町の合併以降、町議選の無投票は初だった。議会活動にどう民意が反映されるのか。町民は注視している。  選挙を前に現職の町議3人が町長選に立候補し、さらに3人が引退を表明した。後継者の選定に苦戦し、定数割れの懸念もあった。  「定数が埋まらないなんて情けない」―。そんな有権者の切実な声を背景に一転、引退表明した町議が続投を決意した。何とか定数を満たしたものの、選挙戦のムードは既に薄れていた。告示直前に新たな動きもあったが、「選挙戦になるなら」と出馬を取りやめ

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  • コロナ禍でペット飼育増 「動物との共生」理解を【湧水】

     動物愛護福祉活動に取り組む三島市のNPO法人「人と動物のハッピーライフ」が、オンラインで寄付が可能な動物専門の寄付サイトに認定された。コロナ禍で癒やしを求めペットを飼う人が急増し、飼育への関心が高まる中、動物愛護福祉団体を取り巻く現状にも目を向け、人と動物が共生した社会を目指すことが重要だ。  寄付サイトを運営するのは公益社団法人アニマル・ドネーション(アニドネ)。年間約3万匹の犬や猫が殺処分されているとされ、集まった善意はそういった境遇から動物を守るために活動する団体の活動資金などに充てられる。同NPO法人のように、動物健康講座や飼い主同士の交流を深めるフェスティバルを開催する啓発団体のほ

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  • 浜松市のスタートアップ支援 「伴走型」で息長く【風紋】

     浜松市が地域経済の振興を目指して力を入れているスタートアップ(ベンチャー企業)の育成や誘致が徐々に成果を挙げている。新型コロナウイルス感染拡大は浜松にも大きな影響を及ぼしているが、着実な取り組みで新しい産業の芽を育ててほしい。  市のまとめでは、同市で2020年度に創業したスタートアップは24社だった。19年度は16社で増加傾向にある。20年度の市外からの進出は25社、市内スタートアップの投資ファンドによる資金調達額は約56億円に上る。  市は、米・シリコンバレーがモデルの浜松バレー構想の実現に向け「ヒト・技術」「カネ」など五つの支援分野を設定している。19年度開始のファンドサポート事業はス

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  • 東京パラリンピックの「遺産」 共生社会道半ば…環境構築に期待【解説・主張しずおか】

     新型コロナウイルスが世界的に大流行する中、無観客で開催された東京パラリンピック。選手たちは競技を通じて、誰もが活躍できる共生社会の実現を訴えた。大会の意義や成果をどう社会変革につなげるか。静岡県にも課せられたテーマだ。  161の国・地域と難民選手団を合わせ、史上最多の4403人が出場した東京パラは、異なる個性や価値観を認め支え合う「インクルーシブ社会」の発展を目標に掲げた。  国内では東京パラを契機とし、4月に改正バリアフリー法が全面施行されるなどし、目に見える形で要配慮者へのハード対策が急速に進んだ。国土交通省によると、駅などの1日当たり3千人以上が利用する旅客施設のバリアフリー化率は、

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  • 牧之原市の沿岸部活性化 今夏盛り上がり、弾みに【黒潮】

     今夏は牧之原市がサーフィン関連の話題で活気づいた。日本初の本格的な人工造波施設「静波サーフスタジアム」の開業、東京五輪サーフィン米国代表の事前キャンプの実施など、盛り上がりを見せた。海水浴客が減少傾向にある中、海辺をどう再興するかは大きな課題だ。にぎわいを継続し、さらに活力ある地域に発展させていくため、この夏を契機に官民が連携を強化して力を注いでほしい。  静波サーフスタジアムは幅150メートル、奥行き60メートルのプールを備え、最新の造波装置が約100種類の波を自由自在に繰り出す。事業者はレベル別のコースを提供し、サーフィン初心者から上級者までが満足に波に親しむことができる。家族で楽しめる

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  • 「Beパレットふじ」が始動 民間の強み、発信力生かせ【湧水】

     中小企業支援の相談窓口を担う富士市地域産業支援センター「Beパレットふじ」が9月に始動した。全国的に有名だった前身の「f―Biz(エフビズ)」が事業休止してから1年余り。コロナ禍にあえぐ地元企業には待望の再始動だ。企業の本質的な課題の解決とともに、事業者の利益に直結する情報発信の強化を求めたい。  エフビズは12年余りの間、企業の経営改善や起業支援で実績を上げてきたが、昨春、判明した国の専門家派遣事業での不正受給問題を巡り、責任を取る形で事業を休止した。  市中小企業等振興会議に設けた専門部会による事業検証では、絶大な知名度を誇るセンター長の下、市の統治が及ばない運営など長期民間委託の弊害や

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  • 浜松市行政区再編 自治を問う機会に【風紋】

     浜松市の行政区再編を検討する市議会特別委員会は8月末、天竜区を現行のまま残す区割り3案を決定した。これを受け、今月から各区自治会連合会と区協議会に向け、これまでの決定の内容や今後の検討事項などを説明する中間報告会を開いている。天竜区では決定を歓迎する一方で、山積する課題への懸念が払拭(ふっしょく)されたとは言い難い。  天竜区自治会連合会は今年5月、市長と議長に同区の単独と専任副市長の設置を求める要望書を提出した。区割りの方向性は、同区の意向に沿ったものとなった。ただ、新設の副区長に関しては、市は天竜区の専任ではなく、区政全般を統括する役割を想定している。一方、市議会ではまだ議論の遡上(そじ

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  • 富士宮市議会 信頼回復の道見えず【解説・主張しずおか】

     2019年10月の議長選を巡る贈賄申し込み容疑で、現職の議長だった遠藤英明容疑者(79)が逮捕され、議員辞職した富士宮市議会。5月に当時の現職市議が県迷惑防止条例違反容疑で逮捕されたばかりで、相次ぐ不祥事に市民の不信感は高まっている。市議会は新たな正副議長を決めたが、信頼回復への具体的な対応策はまだ見えず、“いばらの道”が続く。  遠藤容疑者が逮捕された翌日の8日、議会事務局に捜査員約10人が家宅捜索に入った。9月定例会が開会した10日以降も委員会室には「終日入室不可」と張り出され、ほかの市議への任意聴取も行われるなど、異常事態が続く。「今の議会は頼りにならない」「全

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  • 伊東市、飲食店向け商品券計画 消費喚起と業者支援両立を【湧水】

     新型コロナウイルスの「第5波」の影響を受ける飲食店の支援策として、伊東市が30%プレミアム付き商品券の発行を計画している。事業費5千万円で1億5千万円規模の経済効果を見込む。ただ、市内業者の7~8割が観光業に関連し、緊急事態宣言の影響は幅広い業種に及んでいる。事業継続と雇用維持のため、当面の運転資金を補助できるような施策を両立できないだろうか。  8月19日までのまん延防止等重点措置期間、その後の宣言期間とも、時短営業や休業の要請に応じた飲食店には売り上げに応じて1日当たり最大10万円が支払われる。また、県は業種を問わず売り上げが減少した事業者に応援金を給付する。ただ、申請数や時期によって支

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  • カトリック清水教会 取り壊し決定から1年 地域と所有者の対話重要【解説・主張しずおか】

     築90年近くが経過し、耐震基準を満たしていない木造のカトリック清水教会(静岡市清水区)について、カトリック横浜司教区が昨夏取り壊しを決め1年余り。地域住民らが保存を求め続けるなか、工事の日程は決まらず、取り壊しは宙に浮いたままになっている。戦争遺産としての側面もあり、地域と所有者は対話加速が必要だ。  欧州の教会は石やれんが造りだが、専門家は「清水教会は西洋の伝統的な建築形式を『翻訳』して、日本の木造技術を生かして造られている」と話す。二つの鐘楼とゴシック様式が特徴的だ。  清水教会は1945年7月の空襲や艦砲射撃を免れ、多くの負傷者の救護所にもなった。6千世帯、1万2千人を擁する文教地区の

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  • 東京パラとものづくり 福祉機器開発レガシーに【風紋】

     5日まで13日間、県内を含め開催された東京パラリンピック。今大会はこれまで以上に、パラアスリートが操縦、装着した競技用車椅子や義足などの機器に大きな注目が集まった。3年後のパリ大会も見据え、東京大会のレガシー(遺産)として、ものづくりが盛んな本県でもこうした福祉機器の開発のさらなる促進を望む。  5年前の前回と比べてデザイン、機能とも進化し、まさに選手の「体の一部」として躍動した。今大会では陸上競技やバスケットボール、ラグビー、テニスなど、車椅子の競技で日本勢が活躍した。陸上男子400メートル(車いすT52)などで優勝した県勢の佐藤友祈選手は、前方に三つ目の車輪が付いたレース用車椅子で疾走。

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  • 伊豆、自転車の聖地へ 五輪パラ追い風 レガシー継承 連携が鍵【解説・主張しずおか】

     コロナ禍で異例ずくめとなった東京五輪・パラリンピックが閉幕した。自転車競技の主会場となった伊豆市の日本サイクルスポーツセンター(CSC)では五輪とパラで計13日間、白熱のレースが繰り広げられた。観客の上限設定や無観客での開催で盛り上がりが限定的になる中、関係者が目指したレガシー(遺産)の創出を長期的視点で将来へ継承していけるか、一時の盛り上がりで終わるかは関係機関それぞれの本気度にかかっている。  「五輪の自転車競技で日本人メダリストが誕生したのは国内で伊豆だけ。大きな歴史を残してくれた」。五輪最終日の8月8日、自転車競技女子オムニアムで梶原悠未選手が銀メダルを獲得したことを受け、緊急記者

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  • 湖西に雇用型乳牛牧場 静岡県内最大、2022年秋開業目指す【解説・主張しずおか】

     浜名酪農業協同組合(浜松市東区)の酪農家らが出資する法人「満咲[まんさく]牧場」が2022年9月ごろ、従業員を雇用して乳牛約千頭を飼育する県内最大の牧場の開業を湖西市太田で計画している。狙いの一つは、酪農経験がない若い就農希望者の育成。後継者不在に悩む組合員の牧場の経営継承につなげられるかどうかが課題となる。  県西部の酪農家でつくる同組合で搾乳を行っている戸数は年々減り、現在26戸。高齢化や後継者不在の問題は深刻化している。産業縮小の影響は乳業メーカーに限らず、飼料や機械など裾野に広がる関連業者にも及ぶ。伊藤光男組合長(67)は「今後10年ほどで組合員が半減する可能性がある」と危ぶむ。  

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  • ユニバーサル就労 富士で支援相談急増 柔軟な働き方の創出を【解説・主張しずおか】

     富士市の働きたくても働けない事情を抱えた人の就労を支援する「ユニバーサル就労支援センター」への相談が急増している。2020年の新規相談者が前年の3倍を超えた。利用者それぞれの個性や希望に沿う就労実現に向けて働き口の選択肢を一層広げなければならない。センターには協力企業の開拓と柔軟な働き方の創出が求められている。  富士市は、高齢やひきこもり、家庭環境、言語などさまざまな理由で就労できない人への支援を目的に17年、ユニバーサル就労推進条例を全国で初めて施行した。市の福祉保健施設「フィランセ」内に同年開設されたセンターでは、常駐の支援員が面談で希望の仕事内容を考え、企業見学や仕事体験などの段階を

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  • 袋井市とアイルランド 五輪契機に継続的交流を【風紋】

     東京五輪が8日、閉幕した。袋井市では約1カ月間にわたってアイルランドチームの事前合宿が行われた。コロナ禍でさまざまな制限がある中、同市は最大限のサポートを行い、選手やスタッフ、対応した市職員からも感染者を出さず合宿を終えた。市は今後も同国とのつながりを維持したい考えで、五輪を契機とした継続的な交流の実現を期待している。  チームは7月5日から8月3日まで、同市を拠点に調整した。受け入れは計11種目128人。スポーツ政策課によると、いずれも県内で事前合宿を行った五輪チームで最多という。袋井のおもてなしは選手団から好評で、近代五種競技のナタリア・コイル選手がSNSに投稿した、市職員らの見送りの動

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  • 災害現場でドローン活躍 救助や安全確保に活用を【黒潮】

     熱海市伊豆山で発生した大規模土石流の現場でドローンの活躍が目立った。人が近づくのが危険な場所でも低空からの詳細な撮影が可能になる。機体やカメラの性能も日々向上していて、今後も災害現場などで存在感を発揮しそうだ。  静岡市消防局は災害が起きた7月3日にドローンを現場に持ち込んだ。二次災害のリスクがあるため安易に近づけない中、状況を素早く確認して活動範囲を設定するのに役立てた。堆積した土砂の総量を推計する調査にも生かした。  同消防局は2019年度からドローンによる偵察業務の担当職員を配置し、操縦訓練を実施してきた。山岳、水難事故での行方不明者捜索や、大規模な倉庫火災で消火隊の進入前に内部を確認

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  • 下田市長就任1年 市民との信頼感醸成を【湧水】

     2020年7月、現職を大差で破った松木正一郎氏が市長に就任して1年余りが経過した。市民の大きな期待を背負っての船出だったが、さまざまな施策の停滞が続き、市民の一部には失望感すら広がっている。行政と市民の信頼関係の再構築が急がれる。  この1年で市民が特に市役所の対応に疑問を抱いた一つが、新型コロナウイルスワクチン接種の混乱だ。一時、高齢者接種が9月末までの見込みとなり、市民の不満は高まった。この混乱が象徴的だが、下田市は場当たり的な対応が目立つ。白浜大浜海水浴場での条例違反業者問題は条例改正など根本的な対応を先送りにし、次善策のパトロール強化でも、警察や地元との事前連携をおろそかにしている。

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  • 混乱の東京五輪閉幕 レガシー継承、地元主導で【湧水】

     静岡県を舞台に自転車競技が実施された東京五輪が閉幕した。伊豆市の日本サイクルスポーツセンターでの競技実施が決まった2015年当時、このような状況になると誰が予想しただろう。コロナ禍での開催という観点でも歴史に刻まれる大会になった。観客を入れる数少ない会場となった伊豆で日本人メダリストが誕生するなど、創出されたレガシー(遺産)を今後どう継承するか。地元主導の取り組みに期待したい。  「日本人がメダルを手にする瞬間を目の前で見られるなんて。感動です」。東京五輪最終日の8日、伊豆箱根鉄道修善寺駅(同市)から帰路に就く観戦客が興奮気味に感想を話してくれた。女子オムニアムで梶原悠未選手が銀メダルを獲得

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  • 熱海の土石流災害 心のケア、継続不可欠【黒潮】

     大規模な土石流が発生してから1カ月以上が経過した熱海市伊豆山では、いまだ行方不明者の捜索が続く中、避難者の生活再建への動きが少しずつ進んでいる。その中で継続的に必要とされる支援に、被災者、そして救援者の心のケアがある。  災害時の心のケアは阪神淡路大震災でその重要性が注目された。これまでに日本赤十字社県支部のこころのケア班や、静岡DPAT(県災害派遣精神医療チーム)などが支援に入り、現在も県精神保健福祉センターや県公認心理師協会などが相談態勢を整えている。熱海市の被災者からも他の災害と同様、不眠やイライラするなどの訴えが寄せられた。  対応に当たった引佐赤十字病院の伊藤宏子看護部長は「内にあ

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  • 新型コロナ感染拡大 危機感発信、人流抑制を【風紋】

     新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。県西部で新規感染者が際立つ浜松市では、7月下旬の4連休明けに新規感染者が増加した。8月に入って急拡大し、17日には1日当たりとしては過去最多の118人の感染が確認された。5~6月の流行を大幅に上回るペースで広まり、最も深刻な事態を迎えている。  県内は特別措置法に基づくまん延防止等重点措置が初めて適用された。浜松市も対象市町となったが、既に緊急事態宣言や同措置が発令される首都圏では感染者が抑制されず、効果がどの程度あるかは未知数だ。鈴木康友市長は16日の臨時記者会見で「(今の)感染状況が続けば近いうちに医療提供体制が崩壊する事態を招く。今が正

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  • 原爆投下76年 被爆者手帳交付に長い道のり 被爆証明の難しさ課題【解説・主張しずおか】

     米国が広島市に投下した原子爆弾で被害を受けた伊東市の樺山公一さん(82)が4月、被爆を認める被爆者健康手帳を受け取った。70年以上前の被爆状況を示す“証拠”を5年がかりで集め、ようやく交付にたどり着いた。広島、長崎両市への原爆投下から76年。認定を求める人は今も全国にいるが、被爆事実の証明の難しさが改めて浮かび上がった。  被爆者は、当時の罹災(りさい)証明書や記録書類を基に認定され、書類が無い場合は被爆の事実を証言する証人が複数必要とされる。証人もいない場合には、被爆した場所や当時の行動を詳細に記した申述書を、国から交付事務を託されている居住地の都道府県(広島、長崎

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  • 熱海土石流と富士川問題 「人間の開発」真剣に考えて【黒潮】

     熱海市の土石流災害で亡くなられた方々が日々増えることに本当に胸を痛めている。  伊豆山地区の被災状況は、「サクラエビ異変」で繰り返し取り上げてきた富士川水系の環境破壊の光景とダブる。「土石流を拡大させた」とされる盛り土は「開発」の残滓(ざんし)であり、不法投棄や雨畑ダムの堆砂など同水系に環境問題や水害を引き起こしたのも人間の経済活動だ。  「一見しただけでは自然がどれほど壊れているのか把握しにくい」という点が最も共通しているように思う。  富士川水系に流れ出た高分子凝集剤入り汚泥(ポリマー汚泥)を特定するため、研究者と「サクラエビ異変」取材班が実施した実験を後押ししたのは、「静岡新聞が実験を

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  • 沼津市のシトラスリボンプロジェクト 互いを思いやる地域に【湧水】

     沼津市が、コロナ禍の中で生まれた差別や偏見をなくし、笑顔で暮らせるまちづくりを目指す「シトラスリボンプロジェクト」を推進している。プロジェクトの理念を市民に啓発しながら、誰もが安心して暮らせるまちづくりを目指す。取り組みをきっかけに思いやりのある地域づくりにつなげてほしい。  同プロジェクトは愛媛県の有志グループが始めた。コロナ禍の差別や偏見をなくそうとの思いを込め、特産のかんきつにちなみシトラス色のリボンで結った三つの輪を身に着ける。輪は「地域」「家庭」「職場(学校)」を表し、「ただいま」「おかえり」を言い合える暮らしやすい社会を目指している。  市は市職員が勤務中に着るポロシャツにシトラ

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  • 居心地良い空間、学生が提案 掛川市が社会実験 活気取り戻す糸口になるか【解説・主張しずおか】

     学生がデザインしたベンチなどのストリートファーニチャー(街路設備)を歩道などに置き、中心街を居心地の良い空間に変えようと、掛川市が本年度から社会実験を始めた。市から委託を受けたNPO法人かけがわランド・バンクが静岡理工科大と協力して実施している。若い柔軟な発想が街中の活気を取り戻す糸口になるか期待がかかる。  利用者がベンチやテーブルなどを自由に組み立てられるよう棒と板を貸し出し、二宮金次郎がまきを背負うように持ち運んではどうか。7月5日に大日本報徳社で開かれたストリートファーニチャーのデザインコンペには独創的な作品が数多く出た。  発表したのは同大の田井幹夫准教授の研究室で建築を学ぶ大学4

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  • 新磐田スマートIC 降車促す「目的地」創出を【風紋】

     磐田市とNEXCO中日本が同市北部の豊岡地区敷地に整備した新東名「新磐田スマートインターチェンジ(IC)」が17日、供用開始になる。工業団地直結の特徴を生かし、進出企業の交通利便性向上や災害対応の迅速化が期待される。これまで新東名上では“通過点”だった磐田。新たな人や車両の流れを呼び込む潜在性に着目し、幅広い活用戦略の構築が求められる。  新東名の浜松浜北IC―遠州森町スマートIC間に位置し、2013年に国交省が連結許可した。土地取得の難航や軟弱地盤対策工事の曲折を経て、約8年がかりで完成にこぎ着けた。  供用開始後の即時的な効果は、近接する新平山、下野部の両工業団地

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  • 富士宮のE-BIKE事業2年目 新たな観光の形に期待【湧水】

     富士宮市が推し進める電動アシスト付き自転車「E-BIKE」のレンタルサイクル事業は2年目。今年からは新たにE-BIKEを活用した街巡りモデルツアーの発信が始まった。富士宮の新たな観光の形を模索する試みに期待したい。利用推進に向けては、E-BIKEを借りた先の楽しさをどこまで提案できるか、が鍵となりそうだ。  新たに始まったのはスルガ銀行と連携したシティープロモーション企画「宮ぽた」。富士宮を気ままにポタリング(自転車で散策)がテーマ。来年4月まで毎月1回、市内各地に置いたレンタル施設を発着にした計12コースを市職員らがモデルになって巡る。スルガ銀行の担当者がツアーに同行し、その様子を撮影して

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  • 牧之原の海水浴場2年ぶり開設へ コロナ感染防止策の徹底不可欠【解説・主張しずおか】

     牧之原市は16日から、静波海水浴場とさがらサンビーチを開設する。昨夏は新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえて中止したため、開設は2年ぶり。緊急事態宣言が発令されている地域などからの来訪は制限する。首都圏を中心に感染の再拡大が指摘されているだけに、実効性のある対策を講じて安心して海水浴を楽しめる環境を整えることが必要だ。  5月上旬に開いた市海水浴場運営委員会の会合で、開設を決めた。コロナ対策の柱は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域からの来訪を禁止すること。東名高速道吉田インターチェンジから海水浴場までの道中に、当該地域からの来訪自粛を呼び掛ける看板を設置し、駐車場の入り口では車

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  • 清水区死亡事故最多 交通安全、当事者意識を【黒潮】

     静岡市清水区で今年、交通死亡事故が多発している。清水署管内で6件発生し、コロナ禍で外出自粛が広まり事故件数が減少傾向にある県内の全警察署管内の中で最多。署や道路管理者の市は個々の事故の原因を分析し、道路改良や啓発活動など対策を進めているが、根本的な事故防止には区民が事態を自分ごととして受け止め、交通安全意識を確固たるものにすることが必要だ。  6月30日の速報値で同署管内の今年の累計人身事故件数は461件(前年比31件減)、負傷者数は557人(同28人減)と減少傾向を見せている。その中で死者数は6人(同1人増)で次点の富士、浜北両署管内と比べて2倍となった。全てが道路横断中の歩行者、自転車と

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  • ウナギの流通改革 消費者も問題意識を【風紋】

     ウナギ養殖「発祥の地」の浜名湖。浜松市内にはかば焼き専門店が多く、街中を歩いている時に香ばしい匂いが漂ってくると、思わず食欲をそそられる。28日の「土用の丑(うし)の日」に向け、1年で最大の需要期を迎えるが、日本の伝統食文化を支えてきたウナギの養殖業界はいま大きく揺れている。  ニホンウナギの稚魚のシラスウナギ漁は現在、養殖に使う「特別採捕」だが、密漁の厳罰化を目的に2023年12月までに漁業法が適用される「漁業」に変わる。県の規則で「県内採捕、県内出荷」となっている稚魚の取引は原則自由化される方針で、県外にも出荷できるようになる。  ニホンウナギは絶滅が危惧され、稚魚の国内池入れ量は上限2

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  • 清水町地域通貨 QRコードに 価値創出を【湧水】

     清水町が、地域通貨「ゆうすいポイント」をICカードからQRコード方式に移行し、スマートフォンのアプリ運用も始めた。利便性を高めて利用者、加盟店の増加を目指す。地域の施策と融合させて展開できるのが地域通貨の利点。強みを最大限活用した町ならではの取り組みを進め、地域通貨に新しい価値を創出させたい。  ゆうすいポイントは、加盟店での買い物や飲食で付与され、1ポイント1円相当で利用できる。コロナ禍で落ち込んだ消費の喚起策として町内事業者を支援するため、町は子育て世帯にポイントを配布。経済効果と地域通貨の利用拡大も狙った。  県内では西伊豆町が効果的に活用する。釣り人が遊漁船で釣った魚を地域通貨で買い

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  • 松崎町の防災教育 2年連続モデル指定 地域一体の推進に期待【解説・主張しずおか】

     文部科学省が推奨する学校安全総合支援事業に基づき、松崎町が防災教育の充実に力を入れている。2020年度に引き続き、6月に県のモデル地域に指定された。昨年度は津波のAR(拡張現実)体験授業などを実施し、児童生徒の意識の高まりに一定の成果があった。今後は保護者や住民も巻き込み、地域一体で教育推進を図れるかが問われる。  同事業は子どもの防災や防犯意識の向上を目的に2018年度に始まった。文科省の委託で各都道府県が年度ごとにモデル地域を決め、有識者らアドバイザーの知見を生かした教育の実践、普及を目指す。県によると、県内ではこれまで藤枝市や南伊豆町など9地域が指定を受け、2年連続は松崎町が初めて。

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  • 静岡市の多文化共生条例 多様性理解する契機に【黒潮】

     静岡市は多文化共生のまちづくりを推進するための条例制定に乗り出した。人口減少が深刻化する中でも、市内で暮らす外国人住民は増え続け、互いの文化や習慣を認め合う機運を醸成する狙いがある。国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)を推進する同市がどのような条例をつくるのか、注目したい。  市内の外国人住民は3月末時点で1万1097人。全人口に占める割合は1・6%で、浜松市の3・3%と比べると決して高くはないが、国籍はアジアを中心に85カ国と多彩だ。  外国人住民は増加傾向にあり、5年前から約4割増えた。新型コロナウイルスの影響で直近は伸びが鈍っているものの、入管制度の改正などで今後も外国人の受け入

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  • 浜松市の行政区再編と浜北区 将来の自治考える契機【風紋】

     浜松市の行政区再編に対する浜北区民の関心がこれまで以上に高まっているのを感じる。自治会連合会は同区を単独で残すように求める要望書を市長と市議会議長に提出した。区協議会の会合でも委員から関連の質問や意見が出ることが多くなった。再編議論の進展は、将来の地域の在り方を住民自らが真剣に考えるきっかけをもたらした。  市議会特別委員会は行政区再編に関し、現行の7区を2~4区に減らすたたき台6案を選定して議論を進めている。この6案には浜北区が単独で残るものは含まれていない。こうした中で同区自治会連は、旧浜北市時代を含めて行政範囲が変わっていない点や10年前に比べて人口が約6400人増加したのを踏まえ、要

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  • 沼津市の第一、第二中校区統合 住民の理解も不可欠【湧水】

     児童・生徒数の減少が続く沼津市の第一、第二中学校区について、市教委が18日の市議会6月定例会文教産業委員会で、2023年4月に統合する方針を示した。近年、市街地から離れた南部地域で小中一貫校化を進めるなど、学校規模・配置の適正化を図ってきた市教委。だが、今回対象となる両校区は中心エリアで、従来と様相が異なる。市全体への影響も大きいとみられ、これまで以上に住民への丁寧な説明と理解が求められる。  市教委によると、中学校は第一、第二中が統合して1校に、小学校は第一、第二、千本の3校が1校になる。17年5月に策定した適正化基本方針では、10年以内の早急な対応が必要としてリストに挙がっていたのは第二

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  • 静岡オーガニック抹茶 川根本町に加工施設 県茶業振興、足掛かりに【解説・主張しずおか】

     静岡県中西部の茶農家、茶商の共同出資会社「静岡オーガニック抹茶(SOMA)」(川根本町)が昨年、国内最大級の有機抹茶加工施設を同町に構えた。近年の健康志向で海外の日本茶需要が拡大し、特に抹茶の人気は高い。同町を含む中山間地を軸に有機抹茶のグローバル産地化を図り、県茶業振興の足掛かりにしたい。  SOMAは国内外で急進する有機抹茶の大規模需要に対応するため、2018年に設立した。国の補助金を活用し、生産基盤となる加工施設を整備した。抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)はKAWANE抹茶(島田市)を中心に同市と川根本町、藤枝市の生産者組織から調達。加工施設で仕上げ、殺菌、粉砕、包装などを行う。完成し

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  • 牧之原の突風被害 災害対応の検証を【黒潮】

     竜巻とみられる突風が5月に発生し、多数の建物被害が出た牧之原市。現地では大勢の周辺住民らが協力し、復旧作業に当たった。ただ、家屋が大破した住民は今も不自由な生活を強いられている。自助、共助、公助の各観点から今回の対応を点検し、今後の防災や被災者支援の改善につなげたい。  突風が発生したのは1日の夜7時ごろ。この日は大気の状態が不安定で、竜巻注意情報が出ていた。竜巻が発生したとみられる布引原地区の複数の住民は、「ゴー」という異様な音が数十秒程度続いていたと証言する。  人的被害は、3人がガラス片で軽傷を負った。被災直後の現地の惨状を踏まえると、さらに多くの負傷者が出てもおかしくなかったと感じる

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  • 熱海市の遺体収容所問題 最悪想定し指定急げ【湧水】

     熱海市議会6月定例会の一般質問は、新型コロナウイルス感染対策や観光振興策に関する質問が相次いだ。いずれも市民生活には重要な問題だが、自分はある議員が投げ掛けた「忘れてはいけない課題」が印象に残った。大規模災害時に必要になるであろう遺体収容所についてである。  同市は県第4次地震被害想定で、相模トラフ沿いで発生する最大津波(レベル2)で約1900人の死者が出るとされる。県は被害想定の8割削減を目指して河川への水門整備などを進めている。市も津波避難ビルの指定や避難誘導標識の整備などの施策に取り組んでいる。  だが、自然の猛威を前に防ぎきれない被害はあろう。県内の多くの市町は遺体収容所を事前に指定

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  • 自立援助ホーム 社会的関心高めて【風紋】

     浜松市児童相談所の2020年度の児童虐待対応件数が前年度比69件増の833件に上り、07年度の相談所設置以降、最多を記録した。こうした状況の中、家庭内で何らかのトラブルを抱えた青少年に自立に向けた支援と生活の場を提供する自立援助ホームが6月、西区で運営を開始した。近年、児童福祉分野の支援の必要性は高まっている。施設や里親のもとで暮らす子どもたちが希望を持ち、自分の力で人生を歩むためにも、地域社会のサポートが不可欠だ。  自立援助ホームは児童福祉法に基づく施設で、虐待や経済的貧困などの理由で家庭を出ざるを得ない場合や、児童養護施設などを退所した原則として15歳から20歳(就学者は22歳になる年

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  • クラフトビール組合設立 多彩な味、地域の魅力に【解説・主張しずおか】

     クラフトビールの一大産地になっている静岡県東部の製造業者など6社が5月下旬、共同で原材料の仕入れや商品の販売に取り組む協同組合を設立した。クラフトビール専門の組合は県内初で全国的にも珍しい。各社の独自色があふれるビールは観光資源となる。経営の安定化だけでなく、多彩なビールが楽しめる地域という魅力発信に努めてほしい。  消費者の嗜好(しこう)の多様化に伴い、クラフトビールの人気は高まっている。一方で、大手メーカーの参入が相次ぎ、競争が激化。さらに、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外食の自粛ムードで、飲食店向けの出荷が激減した。観光需要も低迷し、各社は厳しい経営環境に置かれている。輸送などのコス

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  • 島田、3期目の染谷市政 課題着手へ将来像共有を【黒潮】

     5月の島田市長選で3選を果たした染谷絹代市長が、市総合計画の後期基本計画(2022年度から4年間)策定に向け、新たに三大戦略として「縮充(しゅくじゅう)」「循環型社会」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を掲げる方針を示した。  「縮充」は人口減少・少子高齢化の中で必要な施策や事業に資源を集中させつつ充実を図る-という考え方だが、市民側からは単なる「縮小」と受け止められかねない。「将来も持続可能なまちであり続けるため、3期目だからこそできることがある」と語る染谷市長の決意と受け止め、課題に切り込む姿勢とともに、目指す将来像を丁寧に説明し、住民と共有する市政運営に期待したい。  市の人

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  • 掛川のまち協発足5年 多様な担い手で活性化を【風紋】

     掛川市が市内全地区にまちづくり協議会(まち協)を設立して5年を迎えた。地域課題を住民主体で解決する優れた取り組みが生まれる一方、既存の自治区との併存で市民の負担が増えたとの批判が根強く、4月の市長選でも是非が割れた。各地区のまち協を訪ねると、地区ごとの温度差や多様な悩みが垣間見えた。全市での定着は道半ばのようだ。  まち協制度は地区ごとにまちづくり計画を定め、福祉、防災、交流といった専門部会を置き、市から計画に応じた交付金を得て事業を実施する。生活支援車の運行や高齢者の身の回り支援などを独自採算に近い形でこなす地区もあり、うまく全市で機能すれば市の人的、財政的余力を戦略的投資に回せるようにな

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  • 松崎の産官学民事業 知恵結集し理想の町を【湧水】

     松崎町が静岡大などと連携し、町民を交えた持続可能なまちづくりを進めている。昨年末から住民ワークショップを重ね、5月に10年後の町の理想像を示す13のゴールが決まった。現在は複数のチームが発足し、各ゴールの実現に向けた具体策の検討に乗り出している。多くの知恵を結集させ、画期的なアイデアが飛び交う展開を目指したい。  取り組みは「2030松崎プロジェクト」と題し、同大や町観光協会、伊豆半島ジオガイド協会と協定を結んで始動した。チームに携わる町民は現在、中学生から高齢者まで100人近くに及ぶ。  「プロジェクトが町を動かすという意識で関わっている」。13のゴールのうち、エコツーリズムの推進を目指す

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  • 御前崎市の人口急減、5年早く目標割れ 危機感持った対策急務【解説・主張しずおか】

     2020年秋に行われた国勢調査の御前崎市の人口は3万1120人(速報値)で、市が地方版総合戦略に示した25年の人口の目標(3万1275人)を早くも下回った。市の財政は10年前の中部電力浜岡原発の全面停止以降悪化し、豊かな“原発財源”で建設された公共施設は今後、巨額の維持修繕費が生じる。税収に直結する人口の急減は極めて深刻だ。減少の歯止めと施設の集約は急務と言える。  速報値は1月の御前崎市議会全員協議会で市が報告した。国が修正を加えた「速報集計」は6月25日に公表されるが、大きな差はないとみられる。  市の人口ビジョンによると、15年の国勢調査の人口(3万2578人

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  • 風紋=中田島砂丘の防潮堤 防災と景観の維持 課題

     浜松市南区の中田島砂丘に県と市が整備した防潮堤で、頂上部を保護している砂が強風で飛散し、堤の基礎部分の一部がむきだし状態になっている。県は「ロの字形」のコンクリートブロックや堆砂垣(たいさがき)を設置するなどの対策を講じたが、効果は「未知数」(県担当者)だ。砂が恒久的にとどまる方策を関係機関が地元の協力も得ながら、進める必要がある。 防潮堤は断面が台形で、土砂やセメントを混ぜた「CSG」と呼ばれる資材を基礎として、その上に砂を30センチの厚さで盛ってCSGを保護している。県浜松土木事務所によると、特に砂丘西側頂上部の砂が北西の強風によって飛散し、砂丘区間の防潮堤の完成から約2年で砂の多くが流

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  • 湧水=富士市住宅地初のクマ出没 被害出さぬ対応徹底を

     富士市で5月上旬にクマの目撃情報が相次いだ。同市の住宅街にクマが出没するのは初めての事態で、市の関係部署は前例のない対応に腐心した。被害防止を第一に素早く注意喚起した一方、捕獲などの安全確保活動は二の足を踏んだ。クマ出没が全国で相次ぐ中、人的被害を出さないためには、情報発信や危険回避など徹底した対応が必要だ。 目撃されたクマは体長約1メートル。5月5日夜に入山瀬地区のJR身延線の駅から近い住宅街に出没した。富士宮市から南下したとみられるクマは6日早朝に3キロほど離れた岩本山でも目撃され、同日午後には北上して市境を越えた。 一報が入った5日夜、市は被害が出る前に警戒情報を発するべきと判断し、平

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  • 磐田市スポーツ実施率アップ 30~50代の施策課題 団体や大学との連携が鍵【解説・主張しずおか】

     磐田市の10年間のスポーツまちづくり施策を示した「市スポーツ推進計画」(2016~25年度)の中間見直しによると、市内に住む成人(20歳以上)の直近のスポーツ実施率は51・0%で国と県による同様の調査の数値を下回った。プロスポーツチームの拠点やスポーツ関連施設が多数ある同市。実施率の最終目標は60%以上だが、達成には、実施率が低い30代から50代の生活様式に合わせ、環境を生かした施策が必須だ。  市のスポーツ実施率は、20分以上のスポーツを週1回以上行う人の割合。20年4月までに無作為抽出した市民3千人にアンケートを行った。実施率は計画策定時より7・3ポイント上昇したが、中間地点目標の55%

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  • さかなセンター入場数激減 個人客誘導、打開の鍵【黒潮】

     焼津市の観光施設「焼津さかなセンター」の入場者数が新型コロナウイルスの影響で激減している。中京圏や首都圏からの団体客が、県境をまたいだ移動を自粛したことが大きな要因。一方で、マイカーで訪問する個人客は回復の兆しが見え始めた。団体需要が見込めない中、個人客へのアプローチが現状を打開する鍵と言えそうだ。  同施設を運営する焼津水産振興センターによると、20年度の入場者数は約49万人。19年度は約152万人で、新型コロナの影響で100万人ほど落ち込んだ。観光バスの台数も平年1万台ほどだが、20年度は約千台と10分の1にまで減った。  東名高速道焼津インターの近くに位置し、「魚の町焼津」を体感できる

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  • 湖西市ワクチン接種計画転換 柔軟対応にも説明必要【風紋】

     湖西市は5月下旬、新型コロナウイルスワクチンの集団接種に関し、1回目接種から3~4週間後に2回目接種を受けられるよう予約枠を拡充することを決めた。2回目接種までに6週間以上の間隔が空く当初計画に、市民の懸念の声が高まったことが理由。ワクチン接種は前例がない大規模事業なだけに、柔軟な方針転換は許容されるべきだ。ただ一方、今回は説明の不十分さが市民の不安を募らせることにつながった面がある。  「2回目接種が遅くても効果があるのか、ちゃんと説明してほしい」。5月中旬、市内のある高齢男性は憤りを口にした。集団接種初日の5月8日に1回目接種を受けた男性は、2回目の予約が7週間後だったという。  米ファ

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  • 沼津・戸田の浮桟橋エリア活用 観光交流、人口拡大に期待【湧水】

     定期船廃止で使われなくなった沼津市戸田港の浮桟橋エリアの活用が進んでいる。海を活用した観光振興を図るため、浮桟橋にプレジャーボートの一時係留を許可する実証実験を昨夏に開始。今年5月に清水港-戸田港間で開かれたヨットレースは好評のうちに終了した。コロナ禍後を見据えて「海の玄関」整備に力を入れ、観光交流人口の拡大につなげてほしい。  これまで同エリアは海上と港湾、道路など管轄機関が複雑に絡み、活用のハードルが高かった。公共空間の活用に向けた法整備が進み、昨年はコロナ禍を受けて道路占用許可基準が緩和され、路上利用が柔軟に認められるようになった。「経済振興に役立ててほしい」との戸田漁協の後押しもあり

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  • 焼津こども館、7月4日開館 3年後に市民運営へ 担い手を育て交流期待【解説・主張しずおか】

     焼津市がJR焼津駅前地区に建設中の子育て支援施設「ターントクルこども館」が7月4日にオープンする。おもちゃで遊んだり、絵本や図鑑を読んだりと、多様な機能を備える。市直営でスタートし、3年後に市民主体の法人に運営を移管する計画だ。「独り立ち」するために、より多くの市民の参画が鍵となる。  幅広い世代が集い、子どもを育てる場の創設は、子育て世代の定住拡大を狙う焼津市にとって長年の課題だった。市民への運営移管に当たり、市は運営を担う「市民人材」を募る講座を開いた。31人が参加し、うち修了した12人が3年間、受付業務や予算管理などを実践で学び、法人設立の屋台骨を担う。  開設当初、おもちゃの遊び方や

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  • 中心街にストリートピアノ 音楽のまち、広がり期待【風紋】

     「音楽のまち」浜松市の玄関口のJR浜松駅周辺に、誰でも自由に弾けるストリート(街角)ピアノが新たに登場し、関心を集めている。街角ピアノは世界各地の駅や空港、公園などで憩いの場としての役割やにぎわい創出に一役買っている。市内で設置の動きが広がり、市民に愛される仕掛けとして定着することを期待したい。  浜松まちなかにぎわい協議会が遠州鉄道新浜松駅高架下の商業施設1階に、4月に開設した「はままちプラス」。ガラス張りの半円形スペースに、市民から譲り受けたアップライトピアノを常設した。平日9千人、休日には1万9千人が往来する一等地に誕生した仕掛けの外観は、市内出身・在住の画家大沢朗さんが装飾を手掛けた

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  • 三島の転入超過、静岡県内1位 コロナ後へ地域力に磨き【湧水】

     人口の一極集中に変化の兆しが出始めているのだろうか。新型コロナウイルスの影響でテレワークや大学のリモート授業が広がる中、首都圏から地方へと目を向ける人が増えている。都心まで新幹線で40分程度の三島市は2020年、人口の転入超過数が4年ぶりにプラスになり県内1位。人口流出に歯止めがかからない本県にとって、この流れを追い風にしたい。  住民票の転入、転出の数を元にした総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、20年の三島市はプラス140人の転入超過。マイナス416人だった19年と比べると大幅な増加に転じている。年代別では30~40代の転入者が多く、それに伴い子ども世代の0~4歳も増加した。大学生

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  • 藤枝市、統括監が着任 デジタル推進モデル地域に【黒潮】

     藤枝市が通信大手ソフトバンクから招いた「デジタル統括監」が着任した。市役所で常勤し、デジタル化の総合指南役を担う。市は本年度に「情報デジタル推進課」も新設し、さまざまな分野での情報通信技術(ICT)活用に向けて本腰を入れた。統括監は民間の立場から、取り組みを後押ししていく。  統括監に就いたのはソフトバンクで長年営業職を務めた山田義則さん(53)。山田さんによると、今後のデジタル化の方針は、庁舎内システムの刷新▽市民サービスの充実▽まちづくりへの活用-の3本柱という。  システム刷新では、脱はんこやペーパーレス化などで業務の省力化に結び付ける。多くの人が煩わしさを感じていると思われる行政手続

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  • 任期折り返しの池谷・小山町長 独自色と発信力に期待【湧水】

     小山町の池谷晴一町長の任期が折り返しを迎えた。就任からの2年間、都市計画税条例廃止や副町長1人制などの公約を実現した。一方、町政運営に独自色が見えず、発信力に乏しいとの指摘が上がっている。町政に向けられた町民の目は厳しさを増し、任期後半は真価が問われる。  「昨年の評価では6割くらい(完了または着手)。本年度の予算はかなり新規事業を盛り込むことができた」。池谷町長は4月末の定例記者会見で2年間の評価を問われ、2019年の町長選公約の進捗(しんちょく)状況を語った。7~8割は本年度中に完了または着手すると述べた。  確かに主要公約は実現している。町長選の最大の争点だった都市計画税条例は19年に

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  • イシバシプラザ8月閉館 市街地再生へ理念の共有を【湧水】

     沼津市中心部の商業施設イシバシプラザが8月22日に閉館することが決まった。かつて商都・沼津と呼ばれた街の象徴的な存在としてにぎわった施設がまた一つ消えることになり、市街地のさらなる衰退を懸念する声は多い。一方、近くのJR沼津駅周辺では鉄道高架化事業が動きだすのに伴い、イシバシプラザの跡地利用を含めた今後の再開発に期待が集まる。人口減少社会の進展もにらみながら、街はどう変貌していくのだろうか。  同施設は1978年、旧石橋製糸の工場跡地に開業。現在の大型ショッピングモールの先駆け的な施設でもあり、中核テナントとして売り場面積の約半分をイトーヨーカドー沼津店が占め、残る半分は衣料品店や飲食店など

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