主張・解説の記事一覧
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磐田市のレモン産地化 安定した販路確保が鍵【西部/記者コラム 風紋】
磐田市は2024年度、JA遠州中央と連携し、レモンの産地化に乗り出す。主に茶生産者の新たな収入源として複合経営化を促す。高齢化や後継者不足などの課題が多い中、生産者の所得向上につなげ、地域農業の魅力を高める一手としたい。 市は24年度一般会計当初予算案に、レモン栽培を支援する補助事業費1千万円を計上した。定植に向けた農園の整地・土地改良費に加え、本格的な収穫が始められるまでの未収益期間の負担を減らすため、農薬・肥料散布などの管理費も補助対象にした。産地化は茶生産が盛んな磐田原台地を中心に進める。 茶業を取り巻く環境は厳しさを増している。茶価の低迷だけでなく、農薬や肥料など農業資材の価格高
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御殿場市火山避難計画 周知促し実効性高めて【記者コラム 湧水】
御殿場市が2月20日、独自の「市富士山火山避難計画」を策定した。「市内は全域が溶岩流に飲み込まれる」という従来の認識を覆し、市内での近距離避難を中心とする画期的な計画といえる。依然として富士山噴火時は広域避難が基本だと理解している市民は多く、今後は住民説明会や避難訓練などを通じた周知により実効性を高めてほしい。 計画の重要な要素が、同市の県道23号御殿場富士公園線沿いに存在する「分水嶺(れい)」だ。市内に源を発し南に流れる黄瀬川と北に流れる鮎沢川の境界となるラインを指す。今回、最新の知見に基づいたシミュレーションにより、想定しうる最大規模の噴火が発生した場合でも、分水嶺の影響で市中心部を含
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特殊詐欺被害多い清水区 地域全体 危機感共有を【記者コラム 黒潮】
特殊詐欺被害発生件数で毎年県内ワーストを争っている清水署管内。その様相は今年も変わっていない。2023年まで過去3年間の被害件数は静岡県内ワースト1位、2位、2位と推移しており、今年は2月21日時点の被害件数が4件と県内ワースト2位だ。 県内では近年、特殊詐欺のうち還付金詐欺が増加傾向にある。同署管内でも、昨年速報値で36件あった特殊詐欺被害のうち、還付金詐欺は13件と、前年比4件増加した。今年もすでに2件の被害が発生し、関係機関が警戒を強める。区役所では「『還付金があるからATMに行って』と求めることはない」と強調し、「少しでも不審に感じたら、電話を切って区役所の代表電話にかけ直して」と
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製造業 国内回帰の動き 日本製品 評価再浮上を【西部 記者コラム 風紋】
楽器メーカーのヤマハ(浜松市中央区)が、国内のものづくり基盤を強化する。連結子会社で楽器・音響機器製造のヤマハミュージックマニュファクチュアリング(YMMJ、磐田市)を吸収合併すると、昨年末に発表(効力発生日は4月1日)した。 ヤマハはこれまでの生産戦略として、コストや効率面で有利な海外工場への工程移管を積極的に進めてきた。しかし、技術・技能の分散や継承、市場変化への対応などに課題が出ていたほか、海外労務費の上昇や長引く円安なども重なり、国内回帰に方向転換した。中田卓也社長(4月1日付で取締役会長に就任)は「国内機能の強化につなげたい」と強調し、開発と生産現場の連携が同社の発展につながると
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沼津市議会 改革進め市民の利益に【記者コラム 湧水】
昨年の3月、沼津市議会の改革を期待する記事を小欄で書いた。議員の改選を経たこの約1年間、沼津市による現職市議の提訴や、その提訴議案審議中に飛び出した別の市議のいわゆる「タケノコ発言」で、市議会は市内外から注目を集めた。全国に広がった議会のネガティブなイメージを払拭しようと、高橋達也議長を中心に議会がさまざまな改革に乗り出したことは率直に評価したい。 1年前の記事で指摘した一般質問登壇者の明確化は、昨年11月定例会から実行に移された。同定例会の本会議傍聴者は前年の2・5倍に増加。情報公開が市民の関心を高めることにつながった結果といえる。傍聴席を訪れる人はまだ、市議の支持者とみられる市民が大半
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ジュビロ磐田ホームタウン拡大 静岡県内クラブ 切磋琢磨を【記者コラム 黒潮】
今季サッカーJリーグ1部(J1)に復帰するジュビロ磐田のホームタウンが、昨年から従来の磐田市に加え、新たに静岡県西部7市町(御前崎、菊川、掛川、袋井、浜松、湖西市、森町)まで拡大した。Jリーグ昇格31年目を迎えるクラブが活動を展開する舞台は大きくなった。それだけに、サッカーを通して以前にも増した密度の濃いスポーツ振興や地域貢献が求められる。 ジュビロ磐田は今年に入り、ホームタウンで生産・製造された緑茶を用いた「遠州お茶ぱん」を商品化した。お茶ぱんは災害時の非常食にも活用でき、地域防災意識の向上と緑茶消費の拡大という地域課題の解決を図るという。ホームタウンの広域化に伴う、とても良い取り組みだ