テーマ : お茶・茶況

「晩茶」の魅力広がれ 産地の垣根越え消費開拓 静岡県内「研究会」活動本格化

 耕作放棄地を活用して、薄茶色の水色と豊かな風味が特徴の茶づくりに挑む「晩茶研究会」の活動が本格化している。発酵茶の需要を見込み、産地の垣根を越えて生産技術を磨き、魅力発信を進める。

晩茶の乾燥作業の様子。乳酸菌発酵を経て日光の下に置く=2021年、袋井市
晩茶の乾燥作業の様子。乳酸菌発酵を経て日光の下に置く=2021年、袋井市
世界お茶まつり2022秋の祭典で出展したブースに並ぶ菩提酸茶などの商品。たくさんの来場者が立ち寄った=10月23日、静岡市駿河区
世界お茶まつり2022秋の祭典で出展したブースに並ぶ菩提酸茶などの商品。たくさんの来場者が立ち寄った=10月23日、静岡市駿河区
晩茶の乾燥作業の様子。乳酸菌発酵を経て日光の下に置く=2021年、袋井市
世界お茶まつり2022秋の祭典で出展したブースに並ぶ菩提酸茶などの商品。たくさんの来場者が立ち寄った=10月23日、静岡市駿河区


 晩茶は十分に生育した硬い茶葉で作る。日々の煎茶栽培を行う中で「うまみの少ないお茶でもおいしく飲めるんじゃないか」と考えた袋井市の茶農家や焼津市の茶商らが、茶文化に詳しい元愛知大教授の松下智さんを会長に迎え、乳酸菌発酵の晩茶づくりに挑戦。刈り取った茶葉を熟成させ、天日干しで乾燥させて作り、「菩提[ぼだい]酸茶」と名付けて商品化した。
 菩提酸茶は県内の個性ある茶を顕彰する「ふじのくに山のお茶100選」に選ばれるなど、徐々に認知が広がった。静岡市駿河区で10月開かれた世界お茶まつり2022秋の祭典では、多くの来場者の興味を引き「今までになかったお茶の味わい」「肉料理と一緒に飲むとおいしそう」などの評価を受けた。
 国内には徳島県の「阿波晩茶」や高知県の「碁石茶」など多様な発酵茶がある。
 同研究会は、松下さんが所蔵する茶文化資料の管理と展示を担う「松下コレクションを活かす会」とともに、奈良や高知などの生産者を招き12月4日、晩茶に特化したサミット「BANCHATEN(バンチャテン)」を香りの丘茶ピア(袋井市)で開く。茶業者同士の交流を通して晩茶生産の活性化策を探る考えで、同研究会の多々良高行さん(50)=長峰製茶(焼津市)社長=は「日々改良しながら、消費開拓に向けた方策を考えていきたい」と話す。
 (経済部・平野慧)

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