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有機茶で海外需要つかめ 静岡市、生産拡大へ始動 モデル構築、茶どころ再興目指す

 静岡市は有機栽培茶の生産規模拡大に向けて、生産、茶商、研究団体と共同で推進事業に着手している。昨年6月に立ち上げた「市有機茶検討会」を中心に、海外輸出を見据えた生産体制の構築を検討。地元生産者がモデル茶園で栽培にも取り組み、“茶どころ静岡”再興を目指す。

生産者や茶商ら約40人が参加した有機栽培茶園の現場視察会=1月26日、富士市
生産者や茶商ら約40人が参加した有機栽培茶園の現場視察会=1月26日、富士市


 本山と清水の茶産地を抱える同市。長引く茶価低迷や担い手不足を受け、茶業関係者には産地存続の危機感も広がっている。一方、海外での有機茶需要が拡大していることから、市はモデル茶園で生産実証を積み上げ、2050年度に茶園面積全体の3割に有機栽培を広げる計画の基盤づくりを図る。
 1月26日には、初の現地視察会を実施した。農家や茶商ら約40人が長年有機茶栽培に取り組む農家を訪ね、栽培技術や有機転換する上での課題などについて指南を受けた。富士市の山平園では標高約400メートルの有機茶園を見学し、山間地に適した有機品種や摘採方法を学んだ。
 園主の平柳利博さんは農地選定と土壌整備、品種の組み合わせのポイントを解説。見学者たちは施肥や茶園管理について熱心に質問を重ねた。
 同事業のモデル茶園に名乗りを上げた「THE CRAFT FARM」(静岡市葵区渡)の井川健二工場長は「海外市場を想定し、うまみを重視した有機茶を作りたい。山間地でも優位性のあるお茶作りができるという点で参考になった」と視察の手応えを語る。
 栽培と合わせて消費の出口戦略にも目配りする。昨年11月には市とJAグループ、茶業団体でつくる「市茶業振興協議会」がフランス・パリへ商談会に出向き、海外で求められる商品や消費の動向を探った。
 来年度は四つのモデル茶園で栽培を始める方針。有機JAS認証を目標に、市や研究機関が土壌分析や経営診断で後押しする。
 市農業政策課の亀川育実主任主事は「有機でおいしいお茶ができるという“静岡モデル”の構築が理想。関係機関と連携を密にし、実効性のある施策を進めたい」と話す。
 (経済部・垣内健吾)

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