テーマ : お茶・茶況

体験型茶園で農地再生 産業、文化振興へ新事業 御前崎・やまま満寿多園

 御前崎市上朝比奈の製茶問屋「やまま満寿多園」が3月から、荒廃茶園を再生する独自の基盤整備事業「chatto(チャット)」に乗り出す。観光客や家族連れが茶栽培に参加する仕組みを導入し、苗を植えて茶葉が収穫できるようになるまでの約5年間で体験型の茶園づくりを進める。県内で荒廃農地が増加する現状を踏まえ、同社は「茶産業再生へのモデルケースにしたい」と意気込む。

茶畑の土壌整備の一環で石を拾い集める参加者=御前崎市上朝比奈
茶畑の土壌整備の一環で石を拾い集める参加者=御前崎市上朝比奈


 再整備するのは牧之原台地に広がる約1・1ヘクタールの農地。背丈以上に伸びた茶の木を刈り取って更地にして、同市ブランドの茶品種「つゆひかり」の苗を約1万7千本植える。2024年は土壌整備や苗植えを実施し、25年以降は木の剪定(せんてい)などを行う。約5年かけて茶摘みができる茶畑の完成を目指す計画だ。
 参加者による農作業は年3回程度、イベント形式で実施する予定。作業に合わせて茶摘みや茶葉を使った料理教室なども企画し、子どもの遊びや教育面を充実させる。明治時代に開墾された牧之原台地の歴史や日本の茶業発展に貢献した旧池新田村(現・同市池新田)出身の丸尾文六の功績も発信したい考えだ。
 近年は生活様式の変化などで日本茶文化の衰退が著しい。同社の増田剛巳社長は「実際に土に触れながら茶の栽培生産現場を体験し、急須で茶を入れる人が増えればうれしい」と語る。御前崎市の魅力発見につながることも期待し、「子どもの成長と茶が育つ時の流れを重ね合わせながら、茶園整備を体験してほしい」と呼びかけた。
 (御前崎支局・市川幹人)

石拾いゲーム 土壌整備 プレイベントに家族連れなど30人
 御前崎市のやまま満寿多園は10日、体験型の茶園整備事業「チャット」のプレイベントを同市上朝比奈で開いた。
 参加したのは家族連れら約30人。各チームに分かれ、土壌整備の一環で拾い集めた石の総量を競った。土に埋められた宝探しゲームも行われ、子どもたちは楽しそうな表情で取り組んだ。
 同事業は今後、本格的に始動し、3月9日に苗植えを行う。問い合わせや参加申し込みは同社<電0537(87)2056>へ。

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