テーマ : お茶・茶況

静岡県産二茶、生産伸びず 営農コスト高騰で収益悪化 飲料は安定

 今年の静岡県内産二番茶の収穫が終わった。芽の生育が進まず、荒茶(製品加工前の茶)生産量は前年並みの低水準で終わる見込み。飲料関連以外の茶葉の需要が伸びないため販売単価は上向かず、営農コスト高騰に直面する農家にとって厳しいシーズンとなった。

県内産二番茶生産量と平均単価の推移
県内産二番茶生産量と平均単価の推移


 「生産量が少ないだけに少しでもいい値段をつけてほしい」。6月中旬の静岡茶市場(静岡市葵区)で、茶農家の佐藤真実さん(77)は買い手の製茶問屋と価格交渉を続けた。佐藤さんは、市内中山間地の茶工場グリーンティー大川(同区)の販売担当を務める。茶樹の芽伸びは緩慢で、病害虫の影響もあり、同工場の二番茶生産量は前年比で約4割減った。厳しい販売環境を嘆きつつ、「おいしいお茶を作るしかない」と前を向く。
 今年は梅雨入りが5月29日と平年より早く、朝晩の冷え込みもあって茶期前半の生産量が伸び悩んだ。品質重視で新芽の摘採を進めた茶工場が多かった一方、製茶問屋の調達姿勢は慎重で、販売価格を押し上げるには至らなかった。ペットボトル飲料の原料需要は安定していて、取引終盤の相場は引き締まり、終値は前年よりやや高値で終わった。
 気温が上昇した茶期後半に県西部で収穫量が伸びた一方、山間地や県東部で減少が目立つなど、産地・工場間の格差も生じた。JA静岡経済連は「県内全体の生産量は前年並み。平均単価もほぼ下がらない」(茶業部)とみる。静岡茶市場の6月30日までの二番茶取扱数量は前年同期比14・1%減の467トンと2年連続で減少した。1キロ当たり平均単価は1・3%高の587円だった。
 肥料・農薬の仕入れ値や重油代、電気料金などが高止まりし、茶工場の収益は年々悪化している。近年は生産者が飲料メーカー関連などの買い手と事前に契約し、売り先を確保した上での茶生産も広がっている。買い手のめどが付かない状態で出荷した荒茶の販売が難航するためで、経済連茶業部の担当者は「二番茶は数量・価格などを協議した上での受注生産が必須」と話す。

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