テーマ : 新型コロナ・全国

コロナワクチンで死者9割以上減 京都大チームが推計

 新型コロナウイルスワクチンの接種によって、国内の2021年2~11月の感染者と死者をいずれも90%以上減らせたとの推計結果を京都大・西浦博教授(理論疫学)らのチームがまとめた。この期間の実際の感染者は約470万人と推計され、死者は約1万人だったが、ワクチンがなければ、それぞれ約6330万人と約36万人に達した恐れがあるとしている。
 国内では21年2月から始まったワクチン接種に、どの程度の効果があったのかは十分検証されていない。今回の推計では、接種のペースが実際よりも14日間早ければ感染者と死者を半分程度に抑えられ、14日間遅かったら感染者は2倍以上、死者数は約1・5倍になっていたとの結果も出た。
 西浦教授は「結果的にワクチン接種はうまくいったと言えるが、それで終わりにしてはいけない」と指摘。「将来の感染症対策のためには、接種を進めつつ、感染状況の推移をリアルタイムで予測し、政策を決める人や社会に示せる仕組みが必要だ」と話した。
 チームは、1、2回目の接種をしていた21年2月17日~11月30日を対象に、接種した人が増加するペース、当時主流だったデルタ株の感染力、別の研究で示されていたデルタ株に対するワクチンの効果、人の移動の活発さといったデータを分析。さまざまな条件の下で、感染者数や死者数がどう変化するかを調べた。
 その結果、接種によって感染者数を92・6%、死者数を97・2%減らせたと推計。接種した人の感染が防がれると、その人が感染させる人も減る効果が特に大きかった。
 研究成果は10月18日付の英科学誌サイエンティフィックリポーツに掲載された。

新型コロナ・全国の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞