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鼻からコロナウイルス、脳炎症に 後遺症治療法開発へ、慈恵医大

 新型コロナウイルスの一部を鼻で感染させると、脳内炎症を引き起こすことがマウス実験で判明したと、東京慈恵医大のチームが19日までに米科学誌に公表した。倦怠感やうつ症状などのコロナ後遺症を発症する仕組みの一つとみられるという。既存の認知症薬がこうした症状を改善させる可能性があるとして、臨床試験(治験)を進めている。
 新型コロナでは感染後に症状が長引く後遺症として頭痛や疲労感のほか、集中力や記憶力が低下する「ブレインフォグ」などの脳神経症状が報告されている。発症の仕組みは分かっていない。
 チームはウイルス表面にある突起状のスパイクタンパク質に着目。マウスの鼻に入れて感染させると、脳でウイルスが増殖していないのにもかかわらず、脳で炎症が起き、マウスに倦怠感やうつなどの症状が出た。
 症状が出たマウスの脳を詳しく調べると、炎症を抑える働きがある神経伝達物質アセチルコリンが通常より少なかった。アセチルコリンを増やす働きがある認知症薬「アリセプト」を投与すると症状が改善したという。
 チームは横浜市立大などとコロナ後遺症患者を対象に、アリセプトの効果を調べる治験を実施中。東京慈恵医大の近藤一博教授は「後遺症が出たら早い段階で薬を飲むことで、重症化を防ぐことができるかもしれない」と話している。

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