テーマ : 新型コロナ・全国

コロナ下水調査、3自治体連携へ データ共有し流行把握

 家庭などから出る下水に含まれる新型コロナウイルスを調査している札幌市と石川県小松市、兵庫県養父市の3自治体が、データを共有して流行を把握するためのシステム作りに乗り出したことが9日、関係者への取材で分かった。新たな団体の設立発表会を8月下旬に開く。他の自治体にも積極的に参加を呼びかけて包括的にデータをまとめ、全国的な流行実態の可視化を目指す。

新型コロナウイルスの調査に用いる下水のサンプル=2022年4月、札幌市
新型コロナウイルスの調査に用いる下水のサンプル=2022年4月、札幌市

 新型コロナの感染者は発症前からウイルスを排出している。定期的に下水処理場の水に含まれるウイルス量をPCR検査で調べ、推移を見れば、実際の感染動向を把握できる。
 感染者の全数把握が5月に廃止されたことに伴い、厚生労働省も下水調査を流行把握の柱の一つに位置付けた。
 団体の名称は「全国下水サーベイランス推進協議会」。団体の運営や分析を支援する専門家として、片山浩之・東京大教授と北島正章・北海道大准教授、本多了・金沢大教授も参加する。
 まずは参加3市でデータを共有、分析する。将来的に参加自治体が増えれば、データを一元的に集約して管理し、全国の感染動向が一目で分かるようなウェブサイトを構築することを目指す。
 協議会では調査態勢の拡充を求め、国に来年度予算での支援を要望する方針。昨年、分析会社などを中心とした「日本下水サーベイランス協会」も設立されており、連携を進めたいとしている。
 北島准教授は取材に「自治体間で情報を共有する仕組みができれば、新型コロナ以外の新しい感染症が発生した場合にも有効だ」と強調。調査導入を希望する自治体には、協議会を通じて分析手法のノウハウを提供するという。

 新型コロナウイルスの流行把握 新型コロナの感染症法上の位置付けが5類へ移行したことに伴い、全ての感染者を国へ届け出る「全数把握」が廃止され、全国約5千の定点医療機関からの報告に基づく「定点把握」となった。ただ1医療機関当たりの感染者数と流行の対応関係が明確ではなく、状況を捉えにくくなったとの批判がある。厚生労働省は感染者数だけではなく、入院者数や抗体保有率の検査、下水調査などを組み合わせて総合的に判断する方針を示している。

新型コロナ・全国の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞