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RSVワクチン実用化間近 感染増、手洗いなど基本対策を

 発熱やせきなどいわゆる風邪の症状が出て肺炎になることもあるRSウイルス(RSV)感染者が増加傾向だ。インフルエンザなど新型コロナウイルス以外の感染者も多く、専門家は手洗いなどの基本対策を求めている。そんな中、欧米企業は高齢世代や妊婦向けに、RSVワクチンの製造販売を相次いで厚生労働省に承認申請。早期実用化への期待が高まっている。

米国で承認された高齢世代向けのワクチン(グラクソ・スミスクライン提供)
米国で承認された高齢世代向けのワクチン(グラクソ・スミスクライン提供)

 RSウイルスは接触や飛沫などにより、ほとんどの人が幼いうちに一度は感染する。通常は発症から1週間ぐらいで良くなるが、乳幼児や免疫の働きが弱い高齢者では肺炎を引き起こし重症化することもある。
 新型コロナウイルスの影響が出始めた2020年は感染報告数が少なかったが、21年の春から夏に例年を上回る流行が起きた。国立感染症研究所の集計では、今年も増える兆しが出ている。5月28日までの1週間の報告数は1医療機関当たり1・95人で21年の水準に近づいている。
 英製薬大手グラクソ・スミスクラインは60歳以上が対象のワクチンを開発し、5月に世界に先駆けて米国で承認された。日本でも昨年10月に承認申請した。米ファイザーも今年2月に妊婦用、5月に60歳以上向けを日本で申請している。
 妊婦用は胎児に抗体が渡ることで、出産後の赤ちゃんの症状を防ぐと考えられている。
 感染症に詳しい新潟大の斎藤昭彦教授(小児感染症学)はワクチンについて「有効な予防法が出てきた」と期待する一方、普及には時間がかかり対象者も限られると指摘。「流行する時期は例年よりも早まっており、まずは手洗いなどの基本的な感染対策をしてほしい」と話している。

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