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21年の死亡率、2・2%増加 新型コロナや老衰など主要因

 人口動態統計を基に算出した2021年の人口10万人当たりの死者数(死亡率)は989・6人で、前年に比べて2・2%増加したとの集計結果を、国立がん研究センターのチームが31日、国際医学誌に発表した。前年比増は東日本大震災があった11年以来で、当時の1・4%増を上回った。

年齢調整死亡率の推移
年齢調整死亡率の推移

 新型コロナウイルスや老衰、心疾患といった循環器疾患による増加が主な要因とみられる。一方、日本人の死因第1位のがんによる死亡率は275・0人で前年比0・6%減だった。
 同センターがん対策研究所の田中宏和研究員は、新型コロナ禍の死亡率への影響を「感染拡大による直接的な要因の他、診療や検診の制限などが多面的に関係している」と分析。22年も死亡率増が見込まれ「21年が傾向の変わり目になった可能性がある」と指摘した。
 チームは、厚生労働省が集計している人口動態統計の死亡データを精査。1995~2021年に関し、比較できるよう人口分布を同じと仮定して計算する「年齢調整死亡率」を算出した。
 長期的には男女ともに減少傾向だったが、21年は前年に比べて男性が2・1%増、女性が2・2%増となった。死因別では新型コロナ380%増、老衰9・3%増、肺炎9・7%減、不慮の事故1・9%減。
 老衰の死亡率増加は、新型コロナ感染拡大による診療体制の制限で、自宅で亡くなる人が増え、老衰と診断されやすくなったと推測。循環器疾患は、新型コロナ感染による心疾患リスクの上昇や、救急医療の逼迫による治療の遅れが影響したとみられる。
 がんは、新型コロナ禍の20~21年でも減少傾向が続いていた。ただ治療の先延ばしや、がん検診の受診控えの影響が顕在化するには時間がかかるため、22年以降に増える恐れがある。
 国際医学誌は「BMJオープン」。

 死亡率 ある集団に属する人のうち、一定期間中に死亡した人の割合。人口10万人当たりで表すことが多い。一般的に、加齢によって高齢者の死亡リスクは大きくなるため、異なる集団の比較や、死亡率の経年変化を分析する際には、人口構成をそろえて計算する必要がある。比較する各集団が同じ人口分布だったと仮定して計算したものを年齢調整死亡率と呼ぶ。日本人の年齢調整死亡率は、生活習慣や社会環境の改善、医療の進歩などにより長期的には減少傾向にあった。

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