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尾身茂氏、中国コロナ会議出席へ 今月下旬、再流行の中で知見共有

 【北京共同】日本政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長を務めた尾身茂氏が今月下旬に中国を訪問することが10日、分かった。感染症に関する国際会議に出席し、コロナ対策を議論する。複数の日中関係筋が明らかにした。会議を主催する中国は最近、コロナが再流行しており、日本を含む各国と知見を共有したい考えだ。

尾身茂氏=昨年11月
尾身茂氏=昨年11月

 会議は28~30日に雲南省昆明で開かれ、感染症予防や治療、緊急対応を世界の専門家が議論する。尾身氏は29日に講演し、2020年のコロナ感染拡大当初から3年超にわたり日本政府に助言してきた立場から、日本のコロナ対策の経験や感染症対策のあり方について見解を述べる。
 会議は北京の「中日友好病院」と昆明の「雲南省第1人民病院」が共催する。中国は習近平国家主席が掲げた感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策の成果をアピールするとみられている。
 コロナ対策を巡っては、中国が情報開示に消極的で、感染実態を把握できないとして国際社会から批判された経緯がある。中国がこうした批判をかわすため、自国のコロナ対応の正当化に国際会議を利用するのではないかと懸念する声も関係国から上がっている。
 国際会議には日中両国の他にベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー、英国の各国から研究者が参加する方向で調整。米国も招待されているが、現時点で参加は決まっていないという。
 尾身氏は1990年代から世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局で同地域でのポリオ(小児まひ)根絶計画の指揮を執り、中国でも手腕が評価されている。


 中国の新型コロナ対策
 中国は新型コロナウイルスと共生を図るウィズコロナを拒否し、感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策を推進。ロックダウン(都市封鎖)や集中隔離などの強制措置に市民の不満が高まり、昨年11月に抗議活動が各地に広がった。昨年12月ごろに感染爆発が起き、ゼロコロナ政策は事実上崩壊。今年1月に正式終了し、規制は緩和された。2月時点で総人口14億人のうち11億~12億人が感染し、流行は沈静化した。4月に感染の再拡大が始まり、6月末にピークに達すると予測されている。

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