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コロナ、物価高対策に68兆円 政府、20~23年度に支出

 政府が新型コロナウイルス禍や物価高で落ち込んだ経済を下支えする対策として、2020~22年度に支出した金額と23年度に支出する見通しの金額を合わせると、約68兆5千億円に上ることが19日、分かった。経済財政諮問会議の民間議員が7月25日の会合に示した財政データを基に、共同通信が独自に金額を算出した。巨額支出の主な財源は借金だ。コロナ禍が落ち着いて経済活動が元に戻る中、歳出削減が岸田政権の課題となる。

経済財政諮問会議であいさつする岸田首相(手前)=7月25日、首相官邸
経済財政諮問会議であいさつする岸田首相(手前)=7月25日、首相官邸
政府の新型コロナ禍と物価高対策
政府の新型コロナ禍と物価高対策
経済財政諮問会議であいさつする岸田首相(手前)=7月25日、首相官邸
政府の新型コロナ禍と物価高対策

 民間議員が示したデータは、国と地方を合わせた基礎的な財政収支の赤字が国内総生産(GDP)に占める割合だ。コロナ禍や物価高対策の支出があったため、20~23年度の赤字の割合は、支出がなかった場合に比べ1・7~5・2ポイント悪化したことを浮き彫りにした。
 この数値を基に、GDPの実績額や予測額を踏まえて各年度の支出額を計算したところ、20年度は28兆円、21年度は15兆4千億円、22年度は15兆1千億円、23年度は10兆円であると判明した。
 支出額には、全国民に一律10万円を配った「特別定額給付金」、病床確保などに活用できる地方自治体向けの「緊急包括支援交付金」、ガソリンや灯油など燃油価格の急騰を抑える補助金、マイナンバーカードの取得者に、キャッシュレス決済サービスのポイントを付与するマイナポイント事業などが含まれる。
 巨額支出で政府の借金は膨らみ、内閣府の試算によれば、23年度時点の残高はGDP比で180%を上回り、1100兆円に迫る勢いだ。政府は6月に決めた経済財政運営の指針「骨太方針」で、歳出構造をコロナ禍前に戻す方針を掲げた。しかし、マイナンバーカード問題などで苦境に立つ岸田政権が支持率回復を狙って大規模な経済対策を講じ、財政再建がさらに遠のく恐れがある。

 経済財政諮問会議の民間議員 首相が議長を務め、国の経済、財政政策を議論する経済財政諮問会議にメンバーとして参加している企業経営者や学識経験者。現在は経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)、経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリーホールディングス社長)、BNPパリバ証券の中空麻奈グローバルマーケット統括本部副会長、東大大学院の柳川範之教授の4人。政府は民間議員の意見や提言を経済財政運営の指針「骨太方針」に反映する。

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