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日本経済、需要不足が解消 3年9カ月ぶり、内閣府

 内閣府は1日、日本経済全体の需要不足が4~6月期に解消したとの推計を発表した。新型コロナウイルス禍からの景気回復を受け、2019年7~9月期以来、15四半期(3年9カ月)ぶりに需要が供給力を上回った。物価と賃金が安定して上昇する好循環の芽が出てきたことを示し、長年にわたって経済成長の足かせになってきたデフレからの脱却に追い風となる。
 需要が供給力を上回っているか、下回っているかは「需給ギャップ」と呼ばれる経済指標で知ることができる。数値がプラスは需要超過、マイナスは需要不足を表す。内閣府が発表した4~6月期の需給ギャップの推計は、前期比1・3ポイント上昇のプラス0・4%だった。金額では、実質で年2兆円程度に相当する。
 19年7~9月期はプラス1・2%だったが、翌10~12月期にマイナス1・7%になってから需要不足が続いていた。需要不足の解消で物価は安定して上がりやすくなる。
 需給ギャップは日銀も内閣府と別の方法で算出して公表しており、23年1~3月期はマイナス0・34%だった。日銀が10月上旬に公表する4~6月期の数値もプラスになれば、デフレ脱却の可能性がさらに高まる。
 一方で、好循環の芽がはっきりすることで、政府、与党が検討する経済対策と、その裏付けとなる補正予算の規模は抑制すべきだとの声が、野党から上がる可能性がある。日銀が景気を下支えする大規模な金融緩和策をさらに修正するかどうかも焦点になりそうだ。
 政府は現在の物価動向に関し「デフレではない状況」との公式見解を示す。足元では物価上昇が著しいものの「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがない」と定義するデフレ脱却に至っていないとの立場だ。デフレ脱却の判定では需給ギャップを重視する。

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