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感染症行動計画の見直しに着手 コロナ後初、対応検証へ

 政府は、国民の命や健康に重大な影響を与える恐れがある感染症の発生時に国が実施する措置をまとめた「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の見直しに向けた準備作業に着手したことが10日、分かった。3年以上にわたる新型コロナウイルス感染症の対応を検証し、国の計画を抜本的に見直すのは初。

計画見直しの主な項目
計画見直しの主な項目

 見直しの対象となるのは医療提供や検査、ワクチン接種の体制のほか、感染症対策物資の備蓄、初動態勢の在り方、国内外の情報収集など多岐にわたる。次の感染症危機に備え、医療逼迫を防げるかどうかが重要な課題となる。
 主な作業は9月1日に内閣官房に設置される「内閣感染症危機管理統括庁」が担う。専門家や自治体関係者などの意見を聴き、対策の有効性や課題を振り返る。関係者によると、統括庁発足に伴い廃止される内閣官房の新型コロナ対策推進室で、改定の時期など検証の進め方について議論が始まった。
 行動計画は2005年に作成後改定を重ねてきた。過去の世界的なインフルエンザ大流行のデータなどを参考に感染者数を推計。感染拡大を可能な限り抑えるため、発生段階ごとに実施すべき措置を医療や予防といった項目別にまとめている。
 平時には事前準備としてワクチンの研究開発や備蓄、地域医療体制の整備、自治体ごとの行動計画の作成を求めているが、コロナ禍ではマスクなど医療物資の不足や病床逼迫が問題となった。
 昨年5~6月にそれまでの新型コロナ対応を検証した政府の有識者会議(座長・永井良三自治医科大学長)は、改善が必要な課題として医療提供体制や検査体制、保健所の強化などを挙げた。行動計画で定められていても平時で危機意識が薄れ、病床確保などに必要な事前の備えが不十分だったと指摘。計画の定期的な見直しが必要と言及した。

 内閣感染症危機管理統括庁 感染症危機に対応するため、政府の司令塔として9月1日付で内閣官房に設置される組織。政府の感染症対応の企画立案や調整を一元的に担い、トップの「内閣感染症危機管理監」は官房副長官の中から首相が指名する。感染症危機管理監を助ける「内閣感染症危機管理対策官」には厚生労働省の医務技監を充てる。立ち上げ時には60人程度の職員を配置。危機時には他省庁の併任者も合わせ最大300人規模で対応に当たる。

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