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5類から1カ月、患者の増加続く コロナ、状況見えにくく

 新型コロナウイルスの感染症法の位置付けが「5類」に移行してから、8日で1カ月。感染状況の集計も「全数把握」から「定点把握」になったが、3週連続で前週を上回る患者数が報告され、いまだ広がっているとみられる。状況が捉えにくくなった一方でクラスター(感染者集団)が増えているとの報告もあり、専門家からは警戒の声が上がる。

記者会見する松野官房長官=7日午後、首相官邸
記者会見する松野官房長官=7日午後、首相官邸

 松野博一官房長官は7日の記者会見で「(5類移行後)全国の医療機関から報告される患者数は緩やかな増加傾向にある。重層的に感染状況を注視したい」と述べた。
 これまで都道府県などが毎日全数発表していた感染者数は、全国約5千の医療機関による定点把握となり、公表も週1回となった。厚生労働省が2日に発表した1医療機関当たりの感染者数は、全国で3・63人。前週比で1・02倍と微増した。
 厚労省が参考値として発表した5類移行直前の人数は1・80人で、移行後3週連続で「拡大」が続いている。移行直前は2千人台だった1週間当たりの新規入院者数は、2週連続で3千人を超えた。インフルエンザなどほかの感染症も増えており、大型連休などによる行動の活発化と対策緩和が要因との見方が強い。
 舘田一博・東邦大教授(感染症学)は「定点把握になり、正確な感染動向が見えにくくなったのは確かだ。把握できている感染者は氷山の一角に過ぎない」と強調。医療現場ではクラスターの増加もみられ、注意すべき状況だとの見解を示す。
 地域によるばらつきは大きいが、沖縄では定点当たりの報告数が10を超えた。舘田教授は「インフルエンザなら注意報レベル。そのような地域が広がってくると、次の波につながる恐れがある」と指摘。社会活動を元に戻すことは重要としつつ「各自ができる範囲で感染対策を心がけてほしい」と訴えた。

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