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コロナ自宅療養死、板橋区を提訴 保健所対応に不備と遺族

 2021年8月に新型コロナウイルスに感染し、自宅療養中に亡くなった東京都板橋区の男性=当時(57)=が症状の悪化を伝えたのに、保健所が適切な対応を取らなかったとして、遺族が12日、区に慰謝料など約6400万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

自宅療養中の死亡を巡り、訴状を提出するため弁護士と東京地裁に入る原告の久保田純子さん(右)=12日午後
自宅療養中の死亡を巡り、訴状を提出するため弁護士と東京地裁に入る原告の久保田純子さん(右)=12日午後

 男性は北端明さん。訴状によると、21年8月13日に感染が判明。糖尿病や高血圧の持病がありながら自宅療養と判断された。症状の悪化を訴え、保健所は血中酸素濃度の計測用機器を手配。北端さんが同月22日に測定結果を70%だったと報告したのに対し、機器の故障の可能性を指摘して医師の往診を受けるよう求めたという。北端さんは翌日に亡くなった。
 遺族側は当時の血中酸素濃度は危険性が高かったとして、医療機関に緊急搬送すれば死亡は回避できたと主張している。
 妹の久保田純子さん(56)=兵庫県=は提訴後に東京都内で取材に応じ、「兄が亡くなった過程を区に聞いたが、説明がなかった。真実を明らかにしたい」と話した。区は「訴状が届いておらず、個人情報に関わる可能性があるため、コメントできない」としている。

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