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訪日客13倍、国内旅行も好調 コロナ水際対策の緩和から1年

 政府が新型コロナウイルスの水際対策を大幅に緩和してから11日で1年を迎えた。今年8月の訪日客は216万人で、昨年同月の13倍に急増。日本人の国内宿泊も昨年を上回る水準で推移し、水際緩和と同じ日にスタートした全国旅行支援が寄与した。ただ関連事業者の人手不足が目立ち、さらなる誘客の懸念材料となっている。過剰に観光客が集まり、住民生活や環境が悪化する「観光公害」の解消も課題だ。

東京都内の観光地を訪れた訪日客=10日午後
東京都内の観光地を訪れた訪日客=10日午後

 斉藤鉄夫国土交通相は10日の記者会見で「オーバーツーリズム(観光公害)の未然防止に向けた議論をしている。訪日客の地方誘客や持続可能な観光地域づくりを推進する」と強調した。
 昨年10月の水際緩和は1日当たりの入国者数上限を撤廃。訪日客の旅行形態はパッケージツアーに限らず、より人気が高い個人旅行を解禁した。
 訪日客は昨年12月に100万人を突破。今年8月はコロナ禍前の2019年同月比でみると86%の水準だ。国・地域別は韓国人客が19年比84%増となる一方、中国人客は64%減と低迷している。
 中国政府は8月、日本行きの団体旅行を解禁。観光庁は今後、効果が本格的に表れると見込むが、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出の影響を注視している。
 ホテルや旅館での日本人の延べ宿泊者数は昨年1~9月、19年同月比5~34%のマイナスとなっていたが、10月にプラス6%へ転換した。
 帝国データバンクによると、人手不足を感じている企業の割合を7月に調査した結果、旅館・ホテルは正社員、非正社員ともに調査対象51業種中でワースト2位だった。
 観光公害については政府が9月、関係省庁会議を設置。公共交通の混雑緩和などを中心に月内にも対策を取りまとめる。

 2019年 年間訪日客が過去最多の3188万人を記録
 20年2月1日 日本政府が新型コロナウイルスの水際対策として、中国湖北省に滞在歴のある外国人の入国拒否
 4月 月間訪日客が前年同月比99・9%減の2917人を記録
 5月16日 入国拒否対象が100カ国・地域に
 7月22日 政府の観光支援事業「Go To トラベル」開始
 12月28日 コロナ感染再拡大でトラベル事業が全国で停止
 22年6月10日 パッケージツアーに限り、観光目的の訪日客受け入れ再開
 10月11日 訪日客の個人ツアー解禁など水際対策を大幅緩和。全国旅行支援開始
 10月 日本人の国内宿泊が19年同月を上回る
 23年4月29日 コロナ5類移行で水際対策終了
 7月 月間訪日客が232万人。コロナ禍後で最多

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