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ノーベル賞の米2氏が会見 「科学は大変、でも楽しい」

 【フィラデルフィア共同】新型コロナウイルスワクチン開発の基礎を築き、今年のノーベル生理学・医学賞に決まった米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授とドリュー・ワイスマン教授が2日、大学内で記者会見した。カリコ氏は「科学の営みは思い通りにならないことばかり。だが大変でも楽しく、幸せなことだ。それを分かってほしい」と科学を志す若者を励ました。

ノーベル生理学・医学賞に決まり、米ペンシルベニア大で記者会見するカタリン・カリコ氏(左)とドリュー・ワイスマン氏=2日、フィラデルフィア(ロイター=共同)
ノーベル生理学・医学賞に決まり、米ペンシルベニア大で記者会見するカタリン・カリコ氏(左)とドリュー・ワイスマン氏=2日、フィラデルフィア(ロイター=共同)

 カリコ氏は1989年からペンシルベニア大で研究。ワイスマン氏とは所属も使っていた建物も違った。だが97年、ワイスマン氏と偶然、コピー機の前で出会い、共同研究に結びついた。
 ワイスマン氏も研究費が獲得できず、論文も出せず、臨床試験が失敗する苦境にあった。だがカリコ氏との出会いが「マッチに火をともしてくれた」。それから四半世紀近くたち、研究開発は未曽有の感染症が世界的に大流行する中で花開いた。がんやインフルエンザ、エイズウイルス(HIV)のワクチンへと展開しつつある。
 ノーベル賞の発表は米国の早朝。朝4時前にノーベル財団側から電話で知らせを受けたカリコ氏は半信半疑でワイスマン氏に携帯電話でメッセージを送信。ワイスマン氏も「反ワクチン派のいたずらかも」といぶかる気持ちが拭えず、結局、発表の記者会見を見て確認。「本当だった」と感慨がこみ上げたという。
 120年余りの歴史の中で、生理学・医学賞を受けた女性は約6%。カリコ氏は後に続く女性にエールを送った。「夢をかなえる助けとなってくれ、あなたに尽くすより子育てをやってくれる適切な相手を見つけること。心身の健康を整えること。楽しむこと。誰かの言いつけに従ったり、お金をもうけたりするのではなく、問題解決が好きなのであれば、科学はあなたのものです」

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