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訪日客のカード利用額回復 3月、コロナ前の81%に

 訪日客がクレジットカードを利用して支払った金額が、3月時点で新型コロナウイルス流行前の81%まで回復したことが、三井住友カードの調査で分かった。都道府県別では29府県でコロナ前を上回った。昨年10月の水際対策緩和を受けて訪日客が増えたのが主因で、同社の担当者は「円安で外国人が買い物をしやすくなった影響もあると考えられる」と話す。

外国人観光客らでにぎわう東京・浅草の仲見世通り=5月17日
外国人観光客らでにぎわう東京・浅草の仲見世通り=5月17日

 三井住友カードの加盟店で訪日客がカード決済した金額を集計し、コロナ前の2019年3月と今年3月で比較した。
 都道府県別では、山形と高知、徳島、群馬がコロナ前の3倍超に達した。こうした地域はコロナ前の利用額が少なかったことで増加率が大きくなったほか、大型クルーズ船の寄港などの特殊要因もあったという。
 地域差も目立つ。最も減少率が大きかったのは鹿児島のコロナ前比70%減で、鳥取の67%減、島根の57%減が続いた。アジア圏からの旅行者の利用額が減ったという。
 コロナ前に中国人の訪日客でにぎわっていた地域も回復が鈍く、大阪は50%減、愛知は48%減だった。中国が日本への団体旅行に対する規制を続けている影響が出たとみられる。
 利用額を業種別で見ると、コンビニとスーパーはコロナ前の2倍超になった。コンビニでクレジットカードのタッチ決済が普及し、利便性が上がったことが影響したようだ。ホテル・旅館もコロナ前をやや上回った。一方、コロナ前に多くの中国人客が訪れていたドラッグストアはコロナ前比70%減だった。
 今後の利用額の動向について、分析担当者は「中国人客が戻るかどうかがポイントになる」と指摘している。

 水際対策 日本政府は新型コロナウイルス対策で外国人の入国を制限していた。2020年2月に中国湖北省に滞在歴のある外国人の入国拒否を開始。感染拡大を踏まえて拒否対象を増やし、1日当たりの入国者総数の制限も実施した。21年11月に外国人の新規入国を停止。世界的な流行が落ち着いたことで22年3月にビジネス客らの入国を認めたが、観光客の制限は続けた。同年10月に個人旅行を解禁するなど大幅に制限を緩和し、23年4月に完全に終了した。

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