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大自在(3月4日)パラリンピックブレイン

 右の上下肢は左側の脳が動かし、左の腕や脚は右側がコントロールすることが分かっている。ところが、義手や義足を身体の一部のように操作するトップアスリートの脳は、より広い範囲で運動をつかさどるのだという。
 障害に適応して「再編」されるパラリンピアンの脳を東大大学院の中沢公孝教授は「パラリンピックブレイン」と名付けた。同名の書籍には、掛川市出身で昨夏東京パラの走り幅跳びで自己ベストを更新し4位入賞した山本篤選手(39)も登場。義足でない右脚の神経系にも変容が確認された。
 2016年リオパラ400メートルリレーで山本選手とともに銅メダルを獲得した佐藤圭太選手(30)=藤枝市出身=は、山本選手との出会いがメダルを目指すきっかけになった。義足がフィットしていると「つま先に荷重がかかっているように感じる」(山田清機著「パラアスリート」)。
 パラリンピックは戦争で負傷した兵士のリハビリから始まり、スポーツ大会へと発展した。人間が何らかの障害を負うと、それを補おうとする変化が体内に自然に起こり、トレーニング効果は健常者よりも大きい―。スポーツからリハビリの手本へ、道が開きつつある。
 中沢教授によると、冬季パラ選手の脳は調べていないが、種目と障害に応じた再編が生じているだろうとのこと。体力測定では、アルペン選手などは特に鍛えられていた。
 北京冬季パラが異形で今日、開幕する。鍛錬と強い意志で人間はここまでできる。そして、恐怖と緊張をもたらしたロシア大統領も人間。頭の中は分からない。

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