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テーマ : 磐田市

水道管の耐震化進まず、静岡県43% 財政難や人手不足が課題、災害復旧に影響

 能登半島地震では水道施設が甚大な被害を受け、断水の長期化が課題となっている。南海トラフ巨大地震が想定される静岡県でも対策は急務だが、主要な水道管の耐震化率は自治体の財政難や人手不足もあって4割強にとどまる。被災地で復旧や給水に当たった自治体職員らはインフラ整備の重要性を指摘する。

水道施設の被災状況を調べる浜松市職員ら=17日、石川県珠洲市(浜松市提供)
水道施設の被災状況を調べる浜松市職員ら=17日、石川県珠洲市(浜松市提供)


 「復旧作業がいつ終わるのか見通せない。長期戦を覚悟しなければ」
 石川県珠洲市で水道施設の被災状況を調査した浜松市水道工事課の河村栄二技監(49)は現地の深刻な状況を語った。道路があちこちで陥没し、損傷箇所の特定も容易ではなかったという。「効率的に耐震化を進める必要がある」と教訓を口にした。
 被災地では全国の自治体職員らによる給水支援が続く。同県七尾市に入った静岡市上下水道局水道事務所の三浦文敬主査(46)は「一昨年の台風15号の断水では全国から応援に来てもらった。恩返ししたいという思いで取り組んだ」と振り返り、「市民生活を守るため、水道管の入れ替えを着実に進めていくことが大切」と決意を新たにした。
 厚生労働省によると、主要水道管のうち、想定される最大規模の地震に耐えられる「耐震適合率」は石川県が2021年度末時点で36・8%だった。静岡県は43・6%。全国平均の41・2%を上回ったものの、国が掲げる「28年度までに60%以上」の目標達成は厳しい状況だ。磐田市は73・4%と高い水準だったのに対し、湖西市は21・9%にとどまるなど地域差も大きい。
 耐震化が進まない背景には水道事業を担う自治体の厳しい財政状況がある。人口減などで需要が減り、水道料金の値上げに踏み切る動きが相次ぐ。工事業者の人手不足も追い打ちをかけ、「入札不調が増え、思うように整備が進まない」(県東部の自治体)と悲鳴が上がる。
 長期間の断水は過去の大規模災害でも発生し、被災者の生活再建の足かせとなってきた。県の担当者は「病院や避難所につながる水道管の耐震化を優先的に進めていく必要がある」と指摘する。水道事業の広域化を進め、経営効率化を図ることも有効としている。
 (政治部・森田憲吾)

■石川県断水なお4万4千戸
 石川県では8市町の計約4万4千戸(26日時点)でなお断水が続く。このうち輪島市、珠洲市、穴水町、能登町、七尾市、志賀町はほぼ全域が断水している。現地では浄水施設の修繕や水道管の漏水確認が進むが、遅い地域では復旧が4月以降になる可能性もあるという。
 多くの被災者が長期間歯磨きや入浴を行えないなど衛生環境が悪化し、感染症や災害関連死のリスクが高まるとの懸念も出ている。

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