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テーマ : 磐田市

大自在(12月18日)1本と一本

 剣道は「1本勝ち」、柔道は「一本勝ち」。数量や順序を示す場合は洋数字、慣用句などは漢数字を用いるのが新聞表記の原則。剣道は基本的に2本先取の3本勝負で争う。だから洋数字。一本勝負のため漢数字の柔道だが、その昔は3本勝負だった時代もあるそうだ。
 試合で選手が喜びを表すガッツポーズにも、剣道と柔道で違いがあるという。柔道女子五輪メダリストで日本女子体育大教授の溝口紀子さん(磐田市出身)が「剣道ではガッツポーズをすると1本が無効になるが、柔道の規定では禁止になっていない」と「体育の科学」(杏林書院)11月号に書いていた。
 全日本剣道連盟の「剣道試合審判規則・細則」によれば、「打突後、必要以上の余勢や有効を誇示した場合、審判員は有効の宣告を取り消すことができる」とある。ガッツポーズは「必要以上の誇示」に当たるということか。
 柔道では無意味な発声や相手、審判員の人格を無視するような言動で反則負けになる場合があるとしている。微妙な表現だが、確かに禁止とまでは言ってないようにも。ただ、ガッツポーズはしないという暗黙のルールはあるようだ。
 柔道女子五輪メダリストで筑波大教授の山口香さんは「柔道は互いに攻撃防御を行う武術。ライバルがいるから、切磋琢磨[せっさたくま]して自分を伸ばすことができる」という。「自他共栄」の理念。柔道の父、嘉納治五郎は社会生活全般に応用可能とした。
 柔道、剣道とも「礼に始まり礼に終わる」武道である。相手に敬意や感謝を示すという基本原則は同じといえよう。

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