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テーマ : 磐田市

#注目トレンド 自分に似合う装い メークや髪形、AIが提案【NEXTラボ】

 美容やファッションを巡る消費者の意識が変化している。流行を追うだけでなく、自分に似合う装いを大事にしたいと考える人が増え、県内でも個々に適したメークや髪形を人工知能(AI)を使って診断するサービスなどが人気を博す。気持ちも前向きになる、今どきのおしゃれとは―。診断のための写真撮影。顔がよく見える状態で、角度を変えながら撮影する(写真部・小糸恵介、画像の一部を加工しています)
 静岡県内に5店舗を展開する化粧品店「ふしみや」では、昨夏から商品選びを手助けするカウンセリングの一環として、AIを活用した骨格診断を導入している。大手メーカー資生堂のブランドと連動したサービスで、顔の骨格や特徴を診断し、似合うメークを提案する。静岡市葵区のセノバ店で、静岡大3年生の小林怜加さん(21)に体験してもらった。ふしみやセノバ店(静岡市葵区) 普段のメークの小林怜加さん。診断結果を反映したメーク、すっきりした目元が強調され、生き生きした印象に(写真部・小糸恵介)
 まずは問診。資生堂の美容スタッフ田村亜紀さん(52)が、肌の悩みや眉の生え方、瞳の色や印象、髪質や髪色などについて、鏡の前で一緒に確認しながらタブレットで専用のソフトに入力していく。次に角度を変えながら顔の写真を撮影し、問診の結果と併せて診断を行った。
 結果は即時。小林さんの肌は黄味がかった「イエローベース」タイプ。きめ細かく透明感がある一方で、やや赤みがある。目元は一重ですっきりした雰囲気、目と眉の間は狭めで理想的-など顔立ちの特徴が判定され、肌の色に適した下地やファンデーション、アイシャドー、口紅の色、付け方のこつが細かく示された。
 「まつげが真っすぐ下向きなので、瞳が隠れないようカールさせてマスカラを付けて」―。田村さんが結果を基にメークを施すと、すっきりした目元が強調され、生き生きと明るい印象になった。
 一重まぶたを隠したいと思った時期もあったが、今は「素の自分を生かしたいと思う」という小林さん。仕上げの口紅は「使ったことがない色で新鮮」と選択肢の中で一番明るいオレンジを選んだ。
 田村さんは「似合うメークは自信につながる」と断言。AI診断は「似合わないと思っていた色が似合うなど、新たな発見がある」とした上で、「似合う色の対極にある色でも取り入れるテクニックはあります」と柔軟な楽しみ方を勧める。
◇好みと顔の特徴を踏まえて髪型 AI判断◇
 東京と静岡など5県に計67店舗を展開する美容室「フォルテ」は一昨年から、一部を除く店舗で、髪形のカウンセリングにAIによる画像診断を取り入れている。静岡市駿河区の中田店で見せてもらった。フォルテ中田店(静岡市駿河区) 好みと顔の特徴を踏まえて似合う髪形を診断する(写真部・小糸恵介)
 まずは顧客に長さや雰囲気の異なる髪形が並んだイラストを示し、理想のイメージを選択してもらう。続いて顔周りの写真を撮影し、顔の輪郭やパーツごとの特徴、バランスを目視で確認して入力。好みと顔立ちの特徴を掛け合わせて似合う髪形やカラーを判定する。
 診断はカットやパーマ、カラーなどの施術とセットで提供し、20代からシニア世代まで幅広い需要がある。副店長の中山美樹さん(36)は「今の髪形が似合っているか知りたいという方のほか、思い切って印象を変えたい、初めてカラーを試したいといった方にも人気」と話す。「髪形を決める上で、自分らしさを大事にしたいという志向は共通してある」と言う。
 自分の好みと似合うスタイルが異なる場合はどうするのか。「隔たりがある場合ももちろんありますが、新しい発見として喜んでもらえることの方が多い。うまく双方の要素を取り入れていけば『好き』と『似合う』は両立できます」
(生活報道部・西條朋子)
イメージ探しの専門家 「なりたい自分 明確に」  似合う色や着こなしなどのアドバイスを通じて個人のイメージ探しを助ける「イメージコンサルタント」の人気も高まる。磐田市を拠点に活動する松下亨枝[ゆきえ]さん(39)は2年前にサロン「branch(ブランチ)」を開業。個人を対象に「パーソナルカラー」「骨格」「顔タイプ」の診断や、服選びのショッピング同行サービスを行っている。「自信を持っておしゃれを楽しんでほしい」と話す松下亨枝さん=静岡市内(写真部・小糸恵介)
 相談はまず「なりたい自分」を明確にすることから。好きな雰囲気や周囲に与えたい印象などをじっくり聞く。その上でさまざまな診断を行い、結果を生かして理想に近づく方法を助言する。
 パーソナルカラーは自分に似合う色。診断では、顔の近くにさまざまな色のカラードレープ(布)を当てて、肌や目、髪の色などとの調和を見る。顔タイプ診断や骨格診断は、顔や体つきの特徴から、似合う服の雰囲気や着こなしのバランスを判定する。「これまでの自分の服選びは間違っていなかった、という反応もあれば、新しい発見に驚く人もいる」と言う。
 松下さんが相談を受けていて感じるのは「なりたい自分」を聞かれて戸惑う人が多いこと。自身も「子育て中はおしゃれを楽しむべきでない」と思い込み、自分の姿に否定的になった経験があり、「誰もに素晴らしい個性があると気づいてほしい」と願っている。
 「診断は自信を持つための手がかり。そこから自由におしゃれを楽しんでほしい。自分と向き合い、理想の姿を思い描くことは、生き方を考えることと同じ」とエールを送る。
女性の意識調査 「顔の特徴生かすメークを」62.9%  資生堂が2022年6月に全国の女性2500人に実施した「自己認識と美に対する意識調査」によると、「自分の顔の特徴を生かすメークをしたい」と考える人は62.9%で、「特徴を修正したい」と考える人(17.8%)を大きく上回った。メークを通じて自分の顔の特徴を生かしたいか?
 「自分らしい美しさ」がどのような状態かを問うと、「自分が似合うと思えること」(51.1%)「自分が納得していること」(45.8%)が上位を占めた。一方で「自分が似合うと思えること」が実現できている答えた人は25.8%と低率で、理想と現実のギャップも明らかになった。
 調査は、全国の15歳から69歳の女性からインターネットを通じて回答を得た。

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