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テーマ : 磐田市

小京都・森町 空き家拡大、町並み再生指針急務【迫る 森町長選㊦】

 「遠州の小京都」と呼ばれる森町。市街には古い町屋や蔵が軒を連ね、風情を漂わせる。古民家での暮らしに憧れて2012年、夫妻で町内に移住してきた早川直之さん(43)=磐田市出身=と幸恵さん(46)=福島県出身=は「だんだんと町並みが崩れてきているね」と口をそろえ、表情を曇らせた。街道筋にも空き家が増え、手入れの行き届いていない建物が目立ってきたと感じている。

空き家や空き店舗が増え始めた中心部の町並み=森町内
空き家や空き店舗が増え始めた中心部の町並み=森町内

 「移住促進の取り組みは進んできていると思う」と直之さん。町は恵まれた景観と地域に息づく文化伝統を前面に押し出し、移住定住者増加や観光振興を図ってきた。町に定住推進課が新設された18年度以降、19年度17人、20年度19人、21年度52人、22年度51人と、移住者は増加傾向にある。
 しかし、古き良き町並みをPRする一方、全国的に課題とされる空き家の増加は町内でも深刻だ。総務省によると、町の空き家戸数は18年の調査で690戸に上り、03年比で約4・5倍に増えた。町が22年に実施した独自調査では、使用実態がない空き家は建物総数の8・1%に当たる592戸で、このうち中心部の森地区が41・9%を占めた。
 町並みを維持するために住民有志が21年1月設立した「モリマチリノベーション」は、空き店舗などを改修して新たなにぎわいの場として活用する取り組みを進める。
 小倉崇代代表(42)は生まれ育った町が閑散としていく危機感から活動を始めた。「文化や歴史を体験できる施設を町中心部につくって人の流れを生み出したい」と意気込む一方、「小京都としての具体的なイメージを官民で共有できていないため町の足並みがそろっていない」と指摘する。
 近隣市町を含む多くの自治体が移住促進の施策を競う中、森町ならではの魅力の再整理と環境整備で確固たる方向性を示せるか。町の本気度が試されることになる。
 (袋井支局・北井寛人が担当しました) ▶森町長選 開票速報ページ

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