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テーマ : 磐田市

日本の「蚊帳文化」世界に発信 磐田の菊屋、遠州織物の技術生かす

 磐田市中泉の寝具・麻製品販売「菊屋」が、日本の蚊帳文化を海外に向けて発信している。「蚊よけだけでなく、安眠空間としての蚊帳をアピールしたい」と三島直也社長(28)。昨年8月に67歳で亡くなった父で先代社長の治さんの思いを引き継ぎ、遠州織物の技術を生かした蚊帳の価値を世界に広めようと奔走している。

蚊帳文化の海外発信に取り組む三島社長=磐田市中泉の菊屋
蚊帳文化の海外発信に取り組む三島社長=磐田市中泉の菊屋
CESのパナソニックブースに飾りつけられた蚊帳カーテン=米ラスベガス(菊屋提供)
CESのパナソニックブースに飾りつけられた蚊帳カーテン=米ラスベガス(菊屋提供)
蚊帳文化の海外発信に取り組む三島社長=磐田市中泉の菊屋
CESのパナソニックブースに飾りつけられた蚊帳カーテン=米ラスベガス(菊屋提供)

 1月9~12日に米ラスベガスで開催された世界最大の家電IT見本市「CES」。パナソニックブースの受付の装飾に、藍染めされた菊屋の蚊帳カーテンが採用された。徳島県の染め師が「日本らしい生地」として菊屋を指名し、コラボレーションが実現。光沢のある藍色が映える生地が好評を得たという。
 菊屋の蚊帳は産業用大麻「ヘンプ」の糸を、遠州地域では古くから漁網に使われていた絡み織りの技法で生地にすることで、丈夫で型崩れしにくくした。治さんはそんな独自素材を生かして「世界の菊屋」を目指した。マラリア予防で蚊帳をアフリカに贈ったり、ヘンプ麻の産業化に着手したタイ政府に助言したりと海外に目を向けていた。
 若くして菊屋を継いだ三島社長も「戦前は日本でもヘンプ産業が盛んだった。そんな日本のものづくり文化を大切にしたい」と海外進出に乗り出している。
 都内の家具製販会社は3月中旬から、イタリア・ミラノの自社拠点に、テント風にした菊屋の蚊帳を展示する方向で検討しているという。流行発信地での和の住空間提案に蚊帳が活用される。三島社長は「環境意識の高い欧州で、自然由来の材料を使った蚊帳がエコな商品と認知されれば」と期待する。今後は販売サイトの英語対応なども進め、海外からの受注増を図っていく。
 (磐田支局・八木敬介)

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