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テーマ : 磐田市

卓球「みうみま」対決に終止符 パリ五輪代表選考レース 平野が代表入り確実

女子シングルス6回戦 準々決勝進出を決めた平野美宇=東京体育館(写真部・二神亨)  卓球の全日本選手権第5日は26日、東京体育館で行われ、女子シングルスでパリ五輪選考ランキング2位の平野美宇(木下グループ、沼津市出身)が27日の準々決勝に進出した。同3位の伊藤美誠(スターツ、磐田市出身)が6回戦で敗れ16強止まりだったため、平野の2大会連続、シングルスでは初となる五輪代表入りが確実になった。
 五輪選考ポイント486点で2番手に付ける平野は、6回戦で大藤沙月(ミキハウス)に4―0でストレート勝ち。451・5点で3番手の伊藤は初戦の4回戦から3試合連続フルゲームの末に6回戦で木村香純(Tリーグ名古屋)に3―4で競り負け、獲得ポイントで平野を上回る可能性がなくなった。

平野悲願「人生は自分で」示した成長
女子シングルス5回戦を突破した平野美宇=東京体育館(写真部・二神亨)
 「自分の人生は自分でコントロールする。相手のミスや負けに期待しない」。何度も言い聞かせてきた言葉を平野が大一番で体現した。フルゲームの初戦を皮切りに3連勝。パリ五輪を懸けたライバル伊藤との「みうみま」対決に終止符を打ち、悲願のシングルス切符を手中に収めた。
 4回戦で全日本ジュニア2位の面手(岡山・山陽学園高)にゲームカウント3―1から追い付かれた。「諦めてくれたかなと思ってしまった」。勝ち急ぐ気持ちを戒め、第7ゲームを11―5。いきなり訪れたヤマ場を越えて勢いに乗った。
 苦い記憶がある。5年前の東京五輪シングルス代表選考。重圧に押しつぶされ「現実逃避していた」という平野は石川佳純さんに逆転された。僅差のリードで最終盤を迎えるのは同じ。当時の悪夢が頭をよぎったが、今回は逃げなかった。
 この日の3試合、いずれも隣のコートで伊藤が苦戦を強いられていた。相手が負ければ勝負は決まる。だが、「(伊藤が)ここで負けるような選手なら、この場にはいない」と甘さを捨てた。6回戦は昨年11月の選考会で敗れた大藤(ミキハウス)にストレート勝ち。パリ切符が舞い込んだのはその直後だ。
 選考レースは2戦連続8位スタート。人目をはばからず号泣しながら、自分を変える決意をした。若手の挑戦を受け、たとえ負けても前向きに目の前の試合に立ち向かう。「いつかの弱さを乗り越えられたかな」。かつての天才少女は大人のアスリートに成長した。
 幼い頃から夢だった五輪のシングルスコートに立つ。「中国人選手に勝って、銀メダル以上を取らなければ面白くない」。23歳の大勝負が始まる。
(山本一真)


苦難の3戦連続フルゲーム 伊藤悔し涙止まらず 女子シングルス6回戦で敗れ、肩を落とす伊藤美誠=東京体育館(写真部・二神亨)  伊藤の苦難に満ちたパリ五輪レースが終わった。日本卓球界で現役唯一の五輪金メダリストは「さらに誰もたどり着けない、歴史に残るもの」を目指し、シングルス出場に望みをつないできたが最後に力尽きた。「支えてくれたチーム美誠をパリに連れて行けないことが心残り」。悔し涙が止まらなかった。
 2年にわたり、勝ちきれなかった選考会を象徴する全日本だった。初戦の4回戦から3戦連続フルゲーム。決めにいったボールを返され、ラリーはなかなか打ち勝てない。2019年全日本社会人覇者の野村(デンソー)、昨季の学生チャンピオン出沢(専大)は速攻に持ち込んで押し切ったが、常に全力を強いられる展開。昨年末の体調不良による脇腹痛が残る肉体は耐えきれなかった。
 東京五輪からわずか7カ月で始まった選考レース。迷いを抱えたスタートで「自分が東京を戦っている時から多くの選手がパリを目指していた」と後手に回った。海外を転戦しながら選考会とTリーグに参戦する過密日程に体も悲鳴を上げた。今でこそ「出場試合を選ぶべきだった」と考えられるが、「打倒中国」を掲げ全てに完璧を目指す性分が妥協を許さなかった。
 団体要員で選出される可能性はあるが、最大の目標だったシングルス金メダルが消えた直後では「選ばれた時に出るか、決められていない」とこぼす。ただ、このまま終わるつもりもない。「昔からいい時に辞めようと考えてきた。もう少し頑張る」。第一人者の言葉に意地がにじんだ。 女子シングルス6回戦で敗退し、記者会見で涙を流す伊藤美誠=東京体育館(写真部・二神亨)

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