静岡の県立学校、給食入札に最低価格導入へ/静岡空港国際線 新規航路に意欲/健康寿命延伸をアピール 県議会12月定例会
静岡県議会12月定例会は7日、公明党県議団の盛月寿美氏(静岡市清水区)が代表質問を、無所属の桜井勝郎氏(島田市・川根本町)と自民改革会議の岩田徹也氏(函南町)が一般質問を行った。県教委の水口秀樹教育部長は給食事業を安定的に継続するため、県立学校の学校給食の入札に最低制限価格制度を導入する方向で調整していると明らかにした。価格の安さ以外を評価対象とすることも検討する。盛月氏への答弁。
広島市の食堂運営会社「ホーユー」が事業停止し、県内を含む全国各地で学校給食などの提供が突如ストップした問題を踏まえた対応。特別支援学校や定時制高校の入札で同制度を導入することで、過度な価格競争を招かないようにする。
水口部長は「学校給食が停止するという事態となり、持続的に提供する体制構築の必要性を改めて痛感した」と述べ、価格以外の要素も考慮して事業者を選定する「総合評価落札方式」の導入を検討する考えも示した。人員配置や研修実施体制、衛生面の取り組みなどを加味して判断するとみられる。
県教委によると、県立学校の学校給食の業務委託は、一般競争入札によって事業者を決めるが、入札執行のたびに経営状況は確認していなかった。ホーユーの問題では給食停止後に会社と連絡が取れなかったことで混乱が拡大したため、緊急時の連絡体制や業務の受託実績などを新たに入札参加条件に設定したという。
水口部長は「学校給食は健康増進と食育推進を図る上で極めて重要。再発防止に向けた検討を行い、持続可能な提供体制を構築していく」と強調した。
(政治部・森田憲吾)
静岡空港国際線 新規航路に意欲 知事、人手不足解消も 静岡空港の国際線の利用促進に向け、川勝平太知事は2024年1~3月に運航する台湾からのチャーター便や、3月にベトナムとの双方向で運航するチャーター便に期待し、「実績を積み重ねて新規路線の就航につなげたい」と意欲を示した。空港の地上支援業務の人手不足を解消するため、国の補正予算に盛り込まれた人材確保支援策の活用を検討しているとも述べた。岩田氏への答弁。
静岡空港の国際線定期便は3月に韓国・ソウル線が、9月に中国・上海線が再開するなど回復傾向にある。県は国内線を含む23年度の搭乗者総数を50万人超と見込む。ただ、中国の一部路線や台湾路線の欠航や運休が続いている。知事は「定期便の早期再開に向けて働きかけを強める」とともに、チャーター便の実績を新規航路の開拓につなげたいと強調した。
一方、インバウンド(訪日客)の受け入れ体制を強化する上で、航空機の誘導や旅客カウンター業務、保安検査などの人手不足が課題になっていると指摘。他空港からの応援派遣や一部業務の外部委託化などに向けた国の支援策の活用を検討しているとした。
静岡県の健康寿命延伸を知事がアピール 全国順位は低下 静岡県の健康寿命について、川勝知事は自身の就任間もない2010年から着実に延伸しているとアピールした。盛月氏が「本県は順位を落としている。日本一を奪還するくらいの意気込みが必要」とただしたのに答えた。
10年の健康寿命は男性が71・68歳で全国2位、女性が75・32歳で全国トップだった。最新の19年は男性73・45歳、女性76・58歳でいずれも5位。知事は「全国順位の変動は見られるものの、男性は1・77年、女性は1・26年延び、平均寿命との差が縮まっている」として高齢者の健康づくりや生きがいづくりといった取り組みの成果が出ていると強調。「県民の多くが希望する、住まいで最期を迎えることができた人の割合も増加している」と胸を張った。
答弁に対し、盛月氏は知事自身が静岡県で最期を迎えたいかを再質問。知事は「天のみぞ知る」と述べ、静岡県とは回答しなかった。知事の自宅は長野県軽井沢町。
寄付講座提案巡り議論への影響否定 高畑英治くらし・環境部長は、リニア問題の県地質構造・水資源専門部会長の森下祐一静岡大客員教授がJR東海に要求した寄付講座に資金提供を断られたことが議論に影響しているとの指摘に対し、「(森下部会長から)部会運営や発言に何ら影響していないと伺っている」と述べた。桜井氏への答弁。
高畑部長は、寄付講座の提案について「当時、県職員数人が説明を聞いたが、実際に提案したことは聞いていない。知事も報道で知った」と答え、提案への県の関与も否定した。
知事が2022年12月に国土交通省で関係者にルート変更や全線一括開業を求めたとの報道の真偽について、川勝知事は「昨年12月に国交省で関係者に会った事実はない」と、全面的に否定した。
代表・一般質問要旨 公明・盛月氏
学校給食業務を委託している広島市の業者が突然給食の提供を停止し、計7校の児童生徒や職員に影響が出た。入札時の業者選定は非常に大切。持続可能な学校給食に向けてどのような再発防止策を講じるか。
高齢化が進む中、自分らしく暮らせる長寿社会の実現に向けて知事が取り組んできた施策の効果は十分に表れているか。健康寿命は男女とも高い順位だが、就任直後から順位を落としている。日本一を奪還するくらいの意気込みが必要だ。
無所属・桜井氏
川勝知事が昨年12月に国関係者にリニア中央新幹線の全線一括開業やルート変更を提案したと報道された。期成同盟会への裏切り行為だ。県専門部会は知事の意向をくむ否定的な議論をしている。森下祐一部会長による寄付講座開設要求をJR東海に断られたことが起因ではないか。知事は要求を知っていたか。
自民・岩田氏
静岡空港の10月の国内線利用者数は新型コロナウイルス禍前の水準を超えたが、国際線は中国の一部路線や台湾路線の運休、欠航が続き回復途上にある。旺盛なインバウンド(訪日客)需要を取り込み、観光を中心とした地域経済の活性化につなげるには路線の早期再開や新規開拓が必要と考えるが、県の取り組みは。