農業廃プラ燃料に 「循環型」新モデルへ JAふじ伊豆三島函南地区本部
JAふじ伊豆の三島函南地区本部が循環型農業の実現に向け、産業廃棄物として処理してきたビニール製の土や肥料の空き袋をリサイクルし始めた。回収した袋を廃プラスチック燃料に変換する業者に提供する。廃プラ原料の燃料は既に同地区の若手生産者グループ「のうみんず」がトラクターの燃料に活用し始めていて、産廃処理料の削減や高騰が続く燃料の代替に期待が高まる。
![回収したビニール袋を積み込む川崎耕平さん(右から2人目)ら=三島市川原ケ谷](/news/images/n134/1336304/IP230927TAN900117000_O.jpg)
のうみんずの川崎耕平さん(35)が昨年、同地区の廃棄ビニール回収を請け負うヤギシ(三島市)と廃プラから軽油相当の燃料を生成する豊富士商事(裾野市)から農業用機械での廃プラ燃料の使用を打診された。軽油と混合しながら実証実験を繰り返し、現在は1対1の割合で燃料を使用。「軽油と遜色なく問題がない。今後も使いたい」と今年4月からは購入して使い続けている。
同地区本部は実証実験の結果も踏まえ、原料となる袋を7月中旬から回収。27日に三島市川原ケ谷の育苗ハウスで積み込み作業を初めて行った。管轄する三島市、函南町では昨年、プラスチック製廃棄物38トンを処理し、費用は約600万円に上った。燃料をはじめとした物価高騰による農業経営が逼迫(ひっぱく)する中、経費削減への期待も大きい。
豊富士商事によると、同社ではプラスチック製廃棄物1キロ当たり燃料1リットルの生成が可能。廃プラ燃料を1キロリットル使用した場合、原料を廃棄処理するよりも二酸化炭素(CO2)排出量を2・71トン削減できるという。
回収対象はビニール袋のみでスタートしたが、栽培で使う被覆材のマルチや農業用ハウスのビニールなどもリサイクルできないか今後検討を進める。同JAの遠藤弘崇三島函南統括営農経済センター長は「従来、費用を払って処理していた物が燃料になるのは画期的。農家の持続可能な経営の一助になる。他地区本部を巻き込み、全国への発信にもつなげたい」と意欲を示した。
(三島支局・岡田拓也)