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テーマ : 函南町

遠州の玄関口 湖西市白須賀地区 旧東海道の宿場町いまも面影【わたしの街から】

  photo01 旧東海道白須賀宿周辺の街並み=湖西市白須賀(静岡新聞社ドローンで撮影、浜松総局・山川侑哉)
 湖西市西部の県境に位置する白須賀地区は、旧東海道宿場町の面影を残すまちだ。遠江国の西の玄関口として古くから多くの旅人が往来し、今では国道1号バイパスなどの幹線道路が通る。この地域が培ってきた歴史文化や豊かな自然を次世代に継承しようと、住民有志の活動が本格化している。
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 東海道五十三次32番目の白須賀宿。宿場町近くの潮見坂(汐見坂)は東海道を江戸へ向かう旅人が初めて太平洋を見渡す景勝地として知られた。地域で“白須賀の生き字引”と親しまれる礼雲寺4代目住職の加藤憲学さん(93)は、二川宿(愛知県豊橋市)から白須賀宿へ向かう道に起伏が少ないことから、「潮見坂を急に下って大海を目にした旅人は驚いただろう」と思いをはせる。
  photo01 ▲急峻(きゅうしゅん)な坂道の先に遠州灘を望む潮見坂
 元の宿場町は潮見坂より海側にあったが、1707年の宝永地震で津波の被害を受け高台に移転した。坂の上下どちらの地域も、所々に残る格子戸の町家や道路に面して家が連なる街並みに往時がうかがえる。
  photo01 ▲江戸時代に大名行列がかち合わないよう設けられたS字型の道路「曲尺手(かねんて)」   photo01 ▲宿場町の面影を残す街並み
 2022年4月、地域住民有志らがNPO法人シラスカリフォルニアを設立した。30~80代の幅広い年代が集まり、休耕地を使ったビオトープの再整備や地域の文化を伝えるまちづくりイベント、海岸清掃などに取り組む。同NPOの杉山佳繁代表(48)は「海も山も近く、人も多すぎず少なすぎない環境が白須賀の魅力。人が集まる機会をつくり、次世代につなげたい」と話す。
  photo01 ▲NPO法人「シラスカリフォルニア」が整備するビオトープ。休耕地を活用し10年ほど前につくられた場所の再整備に取り組んでいる 秀吉命名「勝和餅」 逸話伝える販売会 かしわ餅の発祥説
 旧東海道白須賀宿~二川宿の地域には、端午の節句に欠かせない「かしわ餅」発祥の地との説がある。小田原征伐に向かう豊臣秀吉が国境近くの「猿ケ番場」と呼ばれた地の茶屋で餅を食べ、勝利を挙げた帰国の途中に「勝和餅(かちわもち)」の名を与えたという逸話が伝わり、浮世絵にも名物のかしわ餅を提供する茶屋が描かれた。白須賀地区内での勝和餅製造は途絶えたが、豊橋市の「丸八製菓」が名前を引き継いで製造している。5月4日にはNPO法人シラスカリフォルニアが、地域に残る逸話を伝えようと勝和餅の販売会を開き、多くの住民でにぎわった。
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来てここ
 ◇道の駅・潮見坂
 国道1号潮見バイパス沿いに2006年開業。湖西市産の野菜やかんきつ、浜名湖の海産物などが並び新鮮な食料品を買い求める人でにぎわう。遠州灘を望める足湯やシラス丼も人気。駐車場から徒歩で海岸の砂浜にも出られる。
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 ◇おんやど白須賀
 東海道400年祭に合わせ、2001年にオープンした歴史拠点施設。白須賀宿の街並みや宝永地震の津波被害の記録、地区内で行われた発掘調査の出土品などを紹介し、江戸時代の往来を再現した和紙人形も並ぶ。入館無料。月曜休館。
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(湖西支局・杉崎素子)

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