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テーマ : 函南町

“非常事態” 静岡県警の現役警官の不祥事 7、8月逮捕4人 過去3年分と同数

 静岡県警の現役警察官による不祥事が続く中、報道発表されていない案件もこの数カ月間で相次いでいたことが、8日までの関係者への取材で分かった。基準に満たないため発表されていないが、副業としてホストクラブで働いたり、一時失踪したりしていた。逮捕者は7月に3人、8月に1人と、2020~22年の3年間と同じ人数が2カ月弱で出る非常事態。逮捕罪名などに加え年齢層は20~40代と幅広く、約7千人いる全職員の綱紀粛正を徹底させるには時間がかかりそうだ。内部からは「でき得る再発防止策は講じているはずだが」「うみは出し切った方がいい」との声も漏れる。

7月以降に発生、または事実が特定された県警の主な不祥事案件
7月以降に発生、または事実が特定された県警の主な不祥事案件
静岡県警
静岡県警
7月以降に発生、または事実が特定された県警の主な不祥事案件
静岡県警

 「ついには他の警察にまで迷惑をかけてしまった。言い逃れが全くできない」
 一報を把握した幹部は絶句した。20代の県警警察官が東京都渋谷区で8月26日午後7時ごろ、酒に酔った状態で警視庁渋谷署員の顔を蹴るなどしたとして、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された。その直前には面識のない男性の顔を殴ったとして、傷害容疑と合わせて送検されたという。
 県警は逮捕の事実を発表していないが、この警察官は清水署配属で採用から1年前後の若手とされる。別の幹部は「せめて制服を目にした時点で自制ができなかったのか」とあきれた。
 衝撃を受ける理由の一つが、そのわずか1週間前にも、浜松市内の署勤務の20代後半の警察官が県東部の路上で泥酔して服を脱ぐなどし、保護される事案があったからだ。保護したのは以前同じ署での勤務経験がある警察官。逮捕に至らなかったが、事案を受け、監察部門から飲酒時の注意徹底などが通達されていた。
 他にも、沼津署の20代警察官が8月に職務を放棄して一時失踪していたことや静岡南署の20代前半の警察官が静岡市葵区のホストクラブで副業していたことが相次いで判明した。ホスト業では毎月10万円以上を稼ぎ、県警を辞職する意向を8月時点で示したという。

 一方、8日に免職になった警部補ら3人は36~44歳と一線で活躍する年代。古物営業法違反容疑で書類送検され、不起訴になった元高速隊所属の男性警部補=依願退職=も40歳。元警部補は車販売のディーラーから転職した経歴を長年悪用し多額の収益を得ていた。転売した相手は以前の所属署の幹部を含め、警察内部に多数いたといわれる。
 県警は7月以降、緊急の所属長会議開催や県内28署への巡回指導、全職員に向けた本部長のビデオメッセージ作成と発信など、前例のないさまざまな策を講じている。中堅職員の1人は「『個人の資質』による事案は多いが、ここまで歯止めがかからないと士気低下は避けられない」と危惧。ある警察関係者は、規律の回復と再発防止策の浸透には「背景や原因を分析した上で情報共有し、前代未聞の現状だと全職員が強く認識すべき」と指摘し、組織一丸での立て直しを願う。

 3人を懲戒免職 静岡県警
 静岡県警は8日、住居侵入、窃盗、県迷惑防止条例違反の罪で起訴された三島署刑事課の警部補(36)、窃盗の罪で起訴された県警交通機動隊の巡査部長(41)、覚醒剤取締法違反の罪で起訴された裾野署地域課の警部補(44)の3被告をいずれも同日付で懲戒免職処分にしたと発表した。監察課によると、3被告とも処分事由を認めているという。
 同課によると、三島署刑事課の警部補(36)は2022年6月24日ごろから23年6月19日ごろの間に、静岡県東部の20代女性宅に侵入して女性のシャツなどを盗んだほか、小型カメラを設置して女性の姿態の映像を撮影するなどした。県警交通機動隊の巡査部長(41)は7月19日午後1時ごろ、白バイで乗務中、浜松市中区の駐車場に駐車していた軽乗用車から、現金約18万円などが入ったバッグ1個を盗んだ。裾野署地域課の警部補(44)は7月28日ごろ、函南町の自宅で覚醒剤を使用した。
 静岡県警の日吉知洋警務部長は「3人もの職員が免職処分を受け、組織として重く受け止めるとともに、改めて被害者と県民に深くおわびする。職員への実効ある指導、教養を今後も継続して再発防止を徹底し、県民からの信頼回復に努める」とのコメントを出した。

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