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テーマ : 函南町

函南・丹那地区 乳牛品評会50回で幕 高齢化や維持費高騰打撃に

 酪農が盛んな函南町の丹那地区で半世紀続いた乳牛の品評会「丹那ブラック&ホワイトショー」がこのほど、50回目の開催を節目に幕を下ろした。酪農家の高齢化に加え飼料代や光熱費の高騰が経営を圧迫し、品評会を続ける余裕がなくなったという。関係者は「1年先の状況も読めない。50回も続けたことを前向きにとらえ、終わりにしたい」と語る。

50回目を最後に幕を下ろした乳牛の品評会=函南町丹那
50回目を最後に幕を下ろした乳牛の品評会=函南町丹那

 品評会は乳器を付ける牛の正確な骨格やたたずまい、歩き方などが審査され、家畜を飼育、調教するための技術を互いに学び合う恒例行事。主要産業の酪農を盛り上げようと1972年に始まり、これまでJA函南東部の青年部を主体に酪農家の研さんの場として続けられてきた。品評会を立ち上げた石川敏博さん(76)は「立派な牛を育てる思いを地域全体で共有できた」と意義を口にする。
 ただ、20年前に33軒あった丹那地区の酪農業者は9軒に減った。新型コロナウイルスの影響で消費低迷が続く上、支出の半分を占めていた飼料価格の割合は8割に迫る勢いで高騰。上昇を続ける光熱費も追い打ちをかけ、同町内では昨年だけで3軒が酪農を辞めた。同JA青年部の片野恵介部長(42)は「経営を維持するのに精いっぱい。高齢の酪農家に出品をお願いするのも心苦しい」と今回で品評会を終える理由を説明する。
 最後の品評会は、例年3月の開催を1カ月ほど前倒しした。忙しい年度末を避け、これまで呼ばなかった田方農業高(同町)の生徒にも参加してもらうためだ。21頭の乳牛が集まり、活気あふれる会場の様子を「若い人の目に焼き付けてもらいたい」と片野さん。そして、いずれは「若者の手で復活させてほしい」との願いを抱いている。

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