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テーマ : 新型コロナ・全国

「農泊」利用、コロナ前に回復 610万人、国内観光客が伸び

 農山漁村を訪れて観光や農業体験などを楽しむ「農泊」の宿泊者数が、新型コロナウイルス禍の落ち込みから回復した。農林水産省が先月まとめた集計で、2022年度は610万8千人と19年度の589万2千人を上回った。23年度は新型コロナの行動制限解除により、さらに増加が見込まれる。25年度までに700万人に引き上げる政府目標の達成には、インバウンド(訪日客)の取り込みが鍵を握りそうだ。

秋田県仙北市の宿泊施設「農家の宿 星雪館」(秋田花まるっグリーン・ツーリズム推進協議会提供)
秋田県仙北市の宿泊施設「農家の宿 星雪館」(秋田花まるっグリーン・ツーリズム推進協議会提供)
秋田県仙北市の「農家の宿 星雪館」で料理を楽しむ訪日客
秋田県仙北市の「農家の宿 星雪館」で料理を楽しむ訪日客
秋田県仙北市の宿泊施設「農家の宿 星雪館」(秋田花まるっグリーン・ツーリズム推進協議会提供)
秋田県仙北市の「農家の宿 星雪館」で料理を楽しむ訪日客

 農泊の宿泊者数は20年度に390万6千人へと急減し、21年度も448万3千人にとどまったが、22年度は国内観光客の利用が大きく伸びた。
 ただ訪日客による宿泊は22年度が15万4千人で、19年度の37万6千人に届いていない。政府は農泊目標700万人のうち、1割に当たる70万人は訪日客による利用を見込む。訪日客自体は政府観光局の推計で今年10月に251万6500人と、新型コロナの感染拡大後で初めて19年の実績を上回る水準となっており、農山漁村に呼び込む仕掛け作りが課題となる。
 農水省は農泊に取り組む地域を農山漁村振興交付金で支援しており、採択された地域は22年度末時点で全国621地域に上る。
 このうちの一つ、秋田県の仙北市農山村体験推進協議会は、グリーンツーリズムを提供する宿泊先のWi―Fi環境の整備を進め、英語に対応したホームページを設けた。キャッシュレス決済にも対応し、新型コロナ禍前までは順調に訪日客の宿泊を伸ばしてきた。
 仙北市内で「農家の宿 星雪館」を営む門脇富士美さん(52)は新型コロナ感染が落ち着き「予約が戻り始めた。外国人客も増えてきた」と話す。宿では隣接する畑で採れた野菜を提供し、のんびりと集落を楽しめるという。門脇さんは「国内外問わず宿泊に来てほしい」と期待を込めた。

 農泊 観光客が農山漁村に宿泊し、地域に根ざした食事や農業体験、地元文化を楽しむ滞在型の旅行。農泊の推進により、地域の収益確保や雇用創出が期待されている。農林水産省は古民家などを活用した滞在施設やWi―Fi整備などを支援している。農泊地域の1泊当たりの平均宿泊費は旅行全体に比べて安く、高付加価値化といった課題が指摘される。

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