あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 新型コロナ・全国

新幹線利用、コロナ禍前に戻らず 8~9割、ビジネス客減少

 JR各社の2023年度上半期(4~9月)の新幹線の利用が、新型コロナウイルス禍前の8~9割程度にとどまることが25日、分かった。各社の発表を共同通信がまとめた。デジタル化によるビジネス客の減少が背景にある。車内で仕事をしやすくして出張需要の回復を狙う社もあれば、需要は戻らないとみて不動産など他の事業に注力する動きも出ている。

東海道新幹線の「N700S」
東海道新幹線の「N700S」

 JR東海の東海道新幹線はコロナ禍前の18年度比で90%にとどまった。週末は旺盛な観光需要に支えられ101%と好調だったが、平日は85%に落ち込んだ。東京、名古屋、大阪の大都市を結ぶため元々ビジネス需要が高く、オンライン会議の普及などで苦戦が続く。
 JR東日本の東北新幹線は83%、上越新幹線は85%、北陸新幹線が90%で、JR九州の九州新幹線は90・8%だった。JR西日本は19年との比較で山陽新幹線が87%、北陸新幹線は89%。JR北海道の北海道新幹線も19年比で89・6%だった。
 新幹線の収入が全体の約7割を占めるJR東海は、出張利用の促進を図る。ビジネス向けの「S Work車両」を今年10月に全車両に拡大。3人掛け席の一部を2人掛けにして空間に余裕を持たせ、角度を調整できるテーブルでパソコン作業をしやすくした。
 駅待合室にも仕事用スペースを設置。丹羽俊介社長は「できるだけ早い段階でコロナ禍前の水準に持っていきたい」と意気込む。
 同じくビジネス向け車両を山陽新幹線で導入したJR西日本は、荷物も輸送する「貨客混載」を実施。車内の空きスペースを有効活用する。JR九州は九州新幹線で、JR北海道はJR東日本と共同で生鮮品などを運んでいる。
 JR東日本はビジネス需要が戻らないと分析し、山手線高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)周辺の再開発や、交通系ICカード「Suica(スイカ)」の利用拡大などに引き続き取り組む。
 JPモルガン証券の姫野良太シニアアナリストは「ビジネス需要が増えるかどうかは今後の景気次第だが、コロナ禍前と同じに戻るのは難しい。観光での利用が補うことで、全体として回復していくのではないか」と話した。

▶ 追っかけ通知メールを受信する

新型コロナ・全国の記事一覧

他の追っかけを読む