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テーマ : 新型コロナ・全国

浮遊しやすい単体のウイルス多数 オミクロン感染者の唾液中

 新型コロナウイルスの従来株やデルタ株と比べ、オミクロン株に感染した際の唾液には、人の細胞と一緒になっていない単体のウイルスが多く含まれているとの研究結果を日本大などのチームがまとめた。空気中に浮遊して「エアロゾル感染」が起こりやすくなり、感染者が急増した一因になった可能性がある。
 ウイルスは口の中の唾液腺などの細胞に侵入し、増殖して細胞外に放出される。唾液中には、はがれ落ちた細胞に付着したり侵入したりした状態のウイルスと、単体で存在しているウイルスが含まれている。
 チームは2020年11月~22年2月、感染者90人の唾液を採取し、それぞれのウイルスの量を調べた。
 唾液1ミリリットルに含まれるウイルス全体の量は、デルタ株が約1860万個で、オミクロン株が約952万個、従来株が約123万個。うち単体のウイルスはデルタ株が約117万個なのに対し、オミクロン株は2・7倍の約321万個だった。
 オミクロン株は、短時間で増殖して唾液中に放出されているとみられる。細胞は直径約15マイクロメートル(マイクロは100万分の1)で、飛沫と一緒に口から出ても1~2メートルで落ちる。一方、単体のウイルスは直径約0・1マイクロメートルで、空気中を長時間浮遊し、間仕切りなどでは感染を防ぎ切れない恐れがある。
 日大歯学部の今井健一主任教授(感染症学)は「エアロゾル感染にはマスクや換気が有効なので、高齢者らと会う際は今後も続けるべきだ。新たなウイルスが発生した時も唾液中の状態を調べることで、感染経路を推定し効果的な対策を打ち出せる」と話した。
 研究成果は米医学誌「JAMA・ネットワーク・オープン」に掲載された。

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