過大請求で近ツー社長辞任へ コロナ受託事業巡り引責
近畿日本ツーリストは9日、新型コロナウイルス関連の受託業務で過大請求をしていた問題を受け、高浦雅彦社長が8月31日付で辞任すると発表した。
東京都内で記者会見した親会社のKNT―CTホールディングス(HD)の米田昭正社長は「(近畿日本ツーリストの)社員逮捕という遺憾な事態を招いたことは痛恨の極みで、改めて心よりおわび申し上げる」と謝罪した。
近畿日本ツーリストはワクチン接種業務を巡り、自治体から指定された人数より少ない人数で再委託し、人件費を過大に請求していた。5月には過大請求が最大約16億円に上ると公表していたが、社内点検を進め、現時点では最大約50自治体、計9億円まで減った。
問題の責任を取り、米田氏を含むKNT―CTHDと近ツーの幹部16人を報酬減額の処分にした。詐欺容疑で大阪府警などに逮捕された元支店長ら4人は懲戒解雇処分とした。
高浦氏は記者会見で「業績の良くない地区や支店があり、新しい事業で業績を上げようという思いが働いた」と過大請求の動機を語った。後任の近ツー社長には近畿日本ツーリストブループラネットの瓜生修一社長が就く。
KNT―CTHDは再発防止策として、社内にコンプライアンス委員会を設置。全社員を対象に企業風土改革に向けたアンケートを実施し、結果を踏まえて再教育を徹底する。