国立科学博物館の寄付9億円超に コロナ禍クラウドファンディング
国立科学博物館(東京都台東区)は6日、新型コロナウイルス流行などによる資金繰り悪化を受けて行ったクラウドファンディング(CF)で、約5万7千人から約9億2千万円が集まったと発表した。年間予算の約4分の1に相当する額だという。
記者会見した篠田謙一館長は「大成功だった。非常に感謝している。今後は継続的な寄付に変えていくことが重要」と述べた。同館は独立行政法人で近年、予算の大半を占める国からの運営費交付金が減少。燃料費高騰も受けてCFを行った。
篠田氏は「もっと資金があれば、いろいろなことができる。(科博に)その能力はある。(国に)その部分は認めてほしい」と強調。インターネット上でCFに対するさまざまな意見があることに「お金がなくて困っている。理念で死ねと言われてもそうはいかない。(CFは)いろいろなことを考えるきっかけになった」との見解を示した。
寄付金のうち、約6億円は収蔵品の維持管理や拡充のほか、他館と連携した収蔵品の充実や巡回展の実施に充てる。約3億2千万円は返礼品などの費用にするという。
CFは8月7日~11月5日に実施。開始約9時間後に目標額の1億円を達成していた。CFの運営会社によると、金額と支援者数は国内CFで過去最多。
同博物館は1877年に創立。約500万点に上る資料や標本を収集、保存している。