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テーマ : 新型コロナ・全国

コロナ検査、不正申請280億円 11都府県、制度の不備指摘も

 新型コロナウイルスの無料検査事業を巡り、事業者による補助金の不正な申請が、東京や大阪など8都府県で計約280億円に上ることが24日、共同通信の8月末までを対象にした取材で分かった。これとは別に埼玉、高知、福岡の3県も精査中などの理由で金額を明らかにしていないが不正申請を確認しており、総額はさらに増えそうだ。8都府県のうち5都府県は計約68億5600万円を交付済みだった。

11都府県の不正確認状況(8月末時点)
11都府県の不正確認状況(8月末時点)

 事業は国の検討から3カ月ほどで始まり、都道府県には制度運用に加え不正の調査も委ねられた。複数の自治体が「制度設計の不備」を指摘し、検証と再発防止策の必要性を訴えた。
 制度は内閣官房が所管し、2021年12月~23年5月、国の地方創生臨時交付金約6200億円を財源に実施。PCR検査や抗原検査を希望者が無料で受け、事業者に件数などに応じた補助金が支払われる仕組みだった。
 不正を確認した11都府県は金額の多い順に、東京が約183億円(11事業者)、大阪が約81億9千万円(12事業者)、神奈川が約11億3400万円(1事業者)など。福井や京都など25府県は「不正はなかった」とし、北海道や愛知など11道県は「不正の有無を確認できていない」と答えた。
 不正の手口では、従業員ら関係者による複数回の受検や架空検査による水増しの他、無登録の事業者が検査所を運営していたケースもあった。各地で補助金の交付取り消しや返還命令、警察への情報提供が進み、警視庁や富山県警などが詐欺や詐欺未遂容疑で事業者側を逮捕した。
 不正対策の問いには、定期的な書類の確認や現地調査、受検者への電話確認といった回答があった。不正は大都市を抱える自治体で目立ち、担当者からは「検査件数が多く、全ての事業者の管理、チェックは困難」「国の責任で、抜け穴のない制度設計をするべきだった」といった意見が出た。

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