中国、日本団体旅行解禁へ ３年半ぶり、インバウンド回復弾み
【北京共同】中国政府が、日本への団体旅行を１０日にも解禁するとの方針を日本側に伝えたことが９日、分かった。複数の日中関係筋が明らかにした。新型コロナウイルス感染症流行で２０２０年１月に団体旅行を停止して以降、約３年半ぶりに再開される。インバウンド（訪日客）の回復に弾みがつき、日本経済への好影響が期待できそうだ。
東京電力福島第１原発処理水の問題を巡り日中関係の緊張状態が続く中、中国が観光をはじめとする人的往来を重視する姿勢を示した格好だ。
複数の関係筋によると、在日本中国大使館が日本外務省に対し１０日に団体旅行を解禁するとの趣旨を文書で伝達した。ただ、１０日から団体旅行の申請手続きが開始するかなど詳細は不透明だ。
中国は現在、個人の海外旅行は許可している。団体旅行については２月、タイやインドネシア、ロシアをはじめ２０カ国に対象を限定してコロナの行動規制解除後初めて解禁。３月にも新たにベトナム、フランス、イタリアをはじめ４０カ国への団体旅行を認め、対象は計６０カ国となった。日本は含まれていなかった。
日本政府によると、コロナ流行前の１９年には中国人客がインバウンド全体の約３割を占め、最多だった。中国人客による１９年の消費額は１兆７７０４億円に上っており、今回の団体旅行解禁により経済の押し上げ効果が予想される。
日本政府観光局（ＪＮＴＯ）によると、６月の訪日中国人観光客の推計値は約２０万８千人で、コロナ前の１９年６月比で７６％減と低迷。日本では旅行業界を中心に、団体旅行解禁を求める声が強まっていた。
