コロナ患者の移送業務で談合か 公取委、旅行５社立ち入り検査
青森市が発注した新型コロナウイルス患者の移送業務の指名競争入札で談合したとして、公正取引委員会は１５日、独禁法違反（不当な取引制限）の疑いで、近畿日本ツーリストの青森支店など旅行会社５社を立ち入り検査した。新型コロナ関連の公共事業で、公取委が立ち入り検査するのは初めて。関係者への取材で分かった。
関係者によると、他に立ち入り検査を受けたのは、ＪＴＢ、日本旅行東北、名鉄観光サービス、東武トップツアーズの各青森支店など。
５社は市が２０２２年度に発注したコロナの軽症患者を車で宿泊療養施設や医療機関へ移送する業務で、落札業者や価格を決めるなどの受注調整をした疑いが持たれている。業務には運転手の防護服を準備する他、運転席と後部座席に仕切りを設けるなどの感染対策も含まれた。
入札は５回あり、全て近畿日本ツーリストが落札。契約金額は計約３２００万円だった。近畿日本ツーリストが他の４社に業務の一部を再委託していたとみられる。
市によると、移送は保健所が行っていたが、患者が増加し職員だけでは対応できなくなったため、２２年度は外部委託にした。市の担当者は取材に「入札の手続きは適切に行った。談合が事実だとしたら残念だ」と話した。
近畿日本ツーリストの広報担当者は立ち入り検査を受けたことは事実とした上で「全面的に協力する」とコメントした。
