家庭内感染、予防効果の検証開始 塩野義のコロナ飲み薬ゾコーバ
塩野義製薬は9日、新型コロナウイルス感染症の飲み薬ゾコーバについて、患者と同居する家族の発症予防効果を検証すると発表した。濃厚接触者となった家族を対象に臨床試験(治験)を実施し、ゾコーバを5日間投与した場合の有効性と安全性を調べる。効果を確認できれば、家庭内の感染拡大を防ぐなどの目的で使用できるようになる可能性がある。
治験では、ゾコーバと偽薬をそれぞれ投与した集団同士を比較し、実際に発症を予防できるかどうか検証する。9日に国内で最初の投与を実施した。12歳以上が対象で、主に日本や米国で2200人に投与する計画という。
国内では現在、新型コロナの治療薬としてゾコーバに加え、米ファイザーと米メルクの2剤も使われている。この2剤も今回のゾコーバと同様に発症を予防する効果を調べたが、有効性は確認できていない。
ゾコーバは国内で昨年11月に緊急承認され、政府は200万人分を購入した。今年3月には一般流通も始まった。
塩野義はゾコーバに関し、8日付で通常の製造販売承認を厚生労働省に申請したことも発表した。緊急承認の期限は1年間のため、販売継続に向け通常の承認を得る必要がある。